十二歳

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062112246

感想・レビュー・書評

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  • 鈴木さえ、12歳。木成小学校6年3組。
    みどりちゃんやカナちゃんと一緒にポートボールのチームに入ったり、最近おばあちゃんが時々おかしかったり、大好きな直人先生の写真を机に引き出しにしまっていたり、西田の恋を応援してやったり、木下さんの絵に感心したり、すいちゃんのことを考えたり、女の子の白い足に気持ちが悪くなったり、自分が自分でなくなってしまったり。
    12歳のさえの等身大の日々を綴る。

    12歳の自分は何を考え、どんなふうに生きていただろうか。
    この文章を読んでいると、後から後から、ああ、自分にもこんな時があったと、匂いや空気感のある触れられそうなリアルな記憶が脳裏から蘇ってくる。
    それはこの本の中のさえがリアルな12歳だからで、その頃の自分を微かでも覚えている自分は、たちまちに彼女に共感し、懐かしい過去の世界に己を投影したくなるのだ。
    そして、自分は実際には経験したことのないことであっても、彼女の持つその12歳の空気感は、読んでいるこちらの心を掴んで離さない。(例えば、セミの抜け殻を空の瓶に入れたりだとか。)
    この本を読んでいる間ずっと、私は自分の中の小さな12歳の自分を、心の中から追い出すことが出来なかった。読了後の今もなお、はっきりと過去の自分が、胸の中に住み着いてしまっている。
    最後にさえは12歳を卒業するが、例え卒業してしまっても、それを身をもって経験した者は、いつでもそこに立ち返ることが出来るのだと、この物語はまざまざと思い知らせてくれる。
    私は、転校して初めて入った応接室の空気も、初めて声を掛けてくれた女の子のことも、慣れ始めた学校で友達と遊んだ少し危険な遊具の鉄の感触も、いじめられていた時の給食の配膳台のビジョンも、意地悪だったクラスメイトの女の子たちのことも、優しかった女の子の笑顔も、仲の良かった男の子のことも、おじさん先生のジャージ姿も、初めて入った機械体操部の練習の空気も、今でも、はっきりとした感触を持って思い出すことが出来るのだ。
    それと同時に、あの時の、傲慢で独りよがりで、それでも一生懸命考えて行動していたはずの自分を、幼くて不器用で失敗をしたり友だちを傷つけたり、逆にひどく傷ついたりしながら喘いでいた自分を、思い出すことも出来るのだ。
    そう。12歳とは、こんな年齢だった。確かに、こんなふうだった。
    それを思い出させてくれただけでも、この本にはとても価値がある。

    この本を、たった今12歳を駆け抜けている少女たちが読んだら、どのような感想を抱くだろうか。
    共感するだろうか。よく分からないだろうか。面白いだろうか。面白くないだろうか。
    (男子、というよりは、少女に読んでもらいたい。)
    この話は、12歳の日々の出来事でありながら、やがて未来を歩き出す少年少女たちへの、力強いメッセージにもなりうる。淡々とした一少女の日々を綴った文章であるが、さえが感じる感覚は、まさにこれから思春期へと踏み出していく、あるいはもうすでに思春期に突入していて、これから大人への階段を上っていく少女の瑞々しい感性であって、そこで感じる発見や気付きこそが、同じ道を歩んでいく少年少女たちへの力強い応援のメッセージに他ならない。
    今12歳を迎える少年少女たちに、とりわけ少女たちに、この物語を贈りたいと思う。

  • 水着の線を残して汗で濡れているっていいなぁ

  • 確かに十二歳の頃はあったんだ、と思い出すような小説でした。
    それは、自分だけのことではなく、周りにいる、あの人にもあいつにも、みんなにあったんだなあ、と思うような。
    ちょっと、森絵都さんの語り口にも似てるかな?
    確かにあったあの不思議な感覚が蘇る、価値ある小説です。

  • 椰月さんは日常の何気ないこととか、ちょっとしたことだけどわかるわかる!ってのを表現するのが本当に上手だなあ。人間離れをする感覚とか、自分の名前とかを言ってみるとかすっごいわかるってなりました…
    思ってるけどうまく言葉に出来ないことを文字に出来るなんてすごい

  • まあこれまで読んできた児童文学の王道を行く感じ。小学生はなかなかはまるのではないでしょうか。

  • 小学6年生の女の子の話。同じ年頃の女の子が読むと、共感できるのかな?

  • 2014年7月25日

    装画・装丁/木内達朗(東京目印)

  • ブランチで椰月さんが取り上げられてたので、初めて読んでみた。
    たんたんと読み終わった感じ。
    人間離れはよく分からなかったけど、さえの気持ちは何となく理解できるのかなぁー。分かるような分からないような。
    もう何冊かこの人の本を読んでみようと思う!

  • 十二歳のさえのポートボール大会のシーンから始まる。

    このポートボールの響きだけで、自分の小学校6年生の記憶がよみがえる。
    今もポートボールってやるのかな~私たちの少し後の世代は、ミニバスケになってしまったような記憶があるのだけれど~

    さえは小田原あたりの小学生。
    亡くなったおじいちゃんとの思い出、ポートボールの名コンビのみどりちゃん、でも学校のチームに所属することになり、微妙に変わっていく二人の関係。
    ちょっとした違和感から、さえはポートボールチームをさぼる。
    身体の成長と、気持ちの成長がマッチしない気持ちの悪さ。
    頭痛。
    そして感じる自分が自分でないような感覚、人間離れ。

    ここからの数年間の時間は本当に辛い、その幕明け。
    これを越えないと人として一人前になれないのだろうか。
    その後の人生を生き抜くために試されているのだろうか。
    誰しも同じように、気持ちの悪い感覚のままでいるのだろうか。

    あの頃、毎日鼻血がとまらなくて、死んじゃうんじゃないかと思っていたなぁ。死ななかったし、自然に鼻血もでなくなったけど~

  • 特に何か事件や出来事があるわけではなく、たんたんと12歳のさえの日常と心境をつづった話。
    児童書だけど12歳が読んで共感するのかな?
    亡くなったおじいちゃんの当時シーンがよかった。

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