熊の場所

  • 講談社 (2002年10月1日発売)
3.53
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784062113953

みんなの感想まとめ

濃密な短編集でありながら、軽快な文体が特徴的な作品は、読者を独特の世界に引き込みます。収録された三篇は、破壊衝動や倫理的な問題を扱いながらも、カラッとしたユーモアや明晰な論理性が光り、読んでいる最中も...

感想・レビュー・書評

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  • 4作目は短編集。文庫がコレクター値段になっていたので、図書館で借りてきた。本が熊みたいにモコモコしてて造本に金かけてんなというのが分かったので、単行本借りてきて良かった。帯に「純文学」と宣言している通り、3作中2作は「群像」に掲載。おーすげえと思う文章が3作のどれかにあったんだけど、どれだか忘れてしまったので、そのうちまた読んでみようと思う。

  • 舞城王太郎さんの作品を読むのは初めてなのですが、想像よりずっとイカれていて驚いた
    3篇収録された短編集ですが、そんなに時間もかけずに読める文章なのにやたらに濃密で、扱われる出来事は相当に胸糞悪くなる内容で、かつ倫理的にも問題がある描写がたくさんです
    なのにどこかカラっとしたユーモアや、明晰な論理性もあって、終始、こいつはヤバいものを読んでいるぞ…という、ときめきが止まらぬ読書になりました
    読み終わっても読んでる最中の熱さや狂気が身体に残る、毒に痺れたような感覚と読むことの快楽が脳に染み渡りこびりついたままでいます
    暴力の描写がすごくいいのが印象的です
    暴力や破壊の衝動に当てられた人間の安らぎや心地よさってこんな感じなのかなって、手に取るように同化出来る気がして、うっかりほっこりしてしまった

    『熊の場所』
    前回読んだ本の中で引用されていた作品のため、この短編読みたさに手に取りましたが、インパクトが凄すぎた
    小学校の同級生の少年が、猫を殺しているのではないか? と疑惑を持ち、その動向を探るうちに凄く仲良くなり、彼の破壊衝動が自分に向けられつつあることを愉悦を感じるようになるも、更に奇妙な事件が起きる…という、展開がまるで読めず、事態はどんどん悪化し、よりおぞましい事が立て続けに起きる話なのですが、“次はどうなるんだ?”って楽しみに読んでしまう
    小動物が殺される話など、普段なら不快でたまらないはずなのに、語り口の懐述の独特な疾走感が病みつきになる、読めてしまう、そして面白い
    最後に彼の死に顔を知ってたのは、その姿を発見して昔のように観察しており、それを何食わぬ顔で隠していたのだろうか
    だとしたら、語り手は完璧に“熊の場所”を克服したのだと言える

    『バット男』も『ピコーン!』も作中で起きてることが、たまらず嫌なことばかり、でもそれに相対する語り手のある意味、健気さがたまらなく愛おしい
    舞城王太郎さん、凄く好きになってしまった

    • 傘籤さん
      たけうちさんが舞城王太郎を読んでくださってる……!!
      文章のライトさと力強さと濃密さがはじけた魅力になってますよね。話の内容はあちこちに飛...
      たけうちさんが舞城王太郎を読んでくださってる……!!
      文章のライトさと力強さと濃密さがはじけた魅力になってますよね。話の内容はあちこちに飛んでいくし、かと思ったら重要なのかどうかわからない出来事を執拗に書いたりするし、胸糞悪いのに異常に気持ちよさを覚えたり、でも最後は晴れやかな気分になるし、言葉で思考の限界を超えようとするゆるぎない信念にあてられます。読んでもらいたいけど非常に勧めにくい作家さんでもあったのでたけうちさんが読んでくださって、しかも好きになってもらえてとても嬉しいです!毒と快楽がこびりついて離れないというのもまさにまさに。
      あと暴力とかアクションとかエロとかユーモアの部分がめちゃくちゃ良いんですよね~。これも読んでもらわないことには上手く伝えられない部分。
      『熊の場所』は「恐怖に対峙する」「恐怖を克服する」というテーマがわかりやすく、ドライブ感のある文体は刺激的ですよね。舞城王太郎は自分の中で特別な作家なのでたけうちさんの感想が読めて心が躍るようでした。
      2024/05/23
    • たけうちさん
      傘籤さん、こんばんは!
      ずっと気になっていた作家さんである舞城王太郎さんですが、遅ればせながらようやく読めました
      そしてめちゃくちゃ面白かっ...
      傘籤さん、こんばんは!
      ずっと気になっていた作家さんである舞城王太郎さんですが、遅ればせながらようやく読めました
      そしてめちゃくちゃ面白かったです!
      この『熊の場所』はずいぶん前の作品なんですね
      作家としてのギラつきと洗練も共に感じました
      相反する要素が独特の調和を持ってそこにある、稀有な作家さんですね
      中毒性の強い文体も癖になります まとめて読みすぎると影響うけてしまいそうで怖いですね
      そしてオススメしづらいのも分かります! うわ~これはダメな人いるだろうなあ~って思いながら読んでもいました 癖が強すぎるし身体に悪そうなのに止められなくなる魔性感あります 読む脱法ハーブかな『熊の場所』は小学生の視点の、倫理観より好奇心と独特の感性、謎の万能感、自分は特別だという自意識、そんなこころにも立ち返れる作品でした
      『バット男』も、弱者でありたくないという恐怖を扱っている作品でしたし、訳の分からないこじれる人間関係のリアルさも共にあって、そういうことあるよなって感じられるから、より語り手に同化してしまう
      『ピコーン!』は、性的な話を明け透けにしているけど、ビッチ女じゃなくてあくまで純情で一途、そしてフェラチオ自慢と岩波文庫と名推理とすげえ行動力、好き~ってなりました!
      舞城王太郎さんの他の作品も読んでみますね!

      2024/05/23
  • 表題作、バット男、ピコーンの三作。らのべちっく。文体は軽くて読みやすいが、中身はそこそこ重め。面白かった。

  • 生と死そのもののテーマを、憐れみなく、理解したふりも共感もなく、余分な重みもなく、等分の痛みと罪と罰を、未来を、人が感じる真っ直ぐな感情そのままに直線で叩き出す潔さ。このひとが天才だと言われる所以が、やっと分かった気がする。

  • 3つの短編が収められた、作品。
    「熊の場所」「バット男」は会話のセンスが絶妙でかなり笑える!
    舞城さんって、純文学に分類されるらしいけど、ほんとにそうなのかな?どの作品も純文学(明確な線引きが分かりませのでイメージ)という感じがしない。
    ナンセンスコメディとか?
    この作品も舞城ワールド全快。
    愛情や人間関係・社会の仕組みを独特のセンスで揶揄して笑いにつなげるのは見事!
    このセンスが羨ましいな。

  • 講談社のこの本の中には、「熊の場所」「バットマン」「ピコーン!」が収録されている。
    三つを一緒にしたのは大正解だ。最後まで飽きることなくリズム良く読めた。
    この人の書く文章は、大分テンポというかリズムというか語呂というものを重視しているように思えるし、今まで読んできた本の文体とは似つかない。最初は、「うわ、癖があるなぁ。」と、思うだろうが、次第に型にはまらないその文章が痛快になり、仕舞いには中毒性まで感じてしまう。この文体に拒否反応を覚える人もいるだろうが、私は好きになれた。

  • 【内容】
    表題作「熊の場所」の他、短編3作で構成された短編集。

    【感想】
    読んでて気分が悪くなるような露悪的描写が続くのに、なぜか読了後は切ない気持ちになる作品群。どの話も何度も途中で読むのをやめようと思ったが、読了後は最後まで読んで良かったと思える不思議な読書体験だった。きっとそれは、勢いのある文章の裏にある確かな人間描写と、露悪的な表現の裏にあるどうしようもなく弱く矛盾だらけだけどその人なりに精一杯生きようとする人々への暖かな目線が感じられるからだろう。清潔で安全安心安定に満ちたこの社会からはみ出した人々のあり様を否定するのでもなく積極的に肯定するでもなく、面白おかしくでも寄り添って描写しているところに著者の想いが感じられた。
    読む人を選ぶと思うし、私自身もう一度読み返したいとは思わないが、おすすめはしたいというなんとも複雑な一冊だ。

  • 恐怖を打ち消す為には原因になっている場所に戻らなければならない(熊の場所)。他2編からなる短編集で手に取りやすい内容になっている。

  • ピコーン!世界観どっぷり浸りました
    スラスラ読める、一気読み。
    どんどん走って、一回哲也の死で止まったけど、また最後まで走り抜けた感じ。

    すごいなあ。
    どうしても、本当に悲しいけど、、
    ほんのちょっとの一筋の光があるような。
    愛がどんどん自分を前進させる。

    死ぬ時に思い浮かべるようなこと。
    この二人にとってはこれだったけど、
    自分にとっても同じようなものがあるといいな。

  • 3番目の物語 『ピコーン』

    IQ高めヤンキー女子の謎解き、面白すぎて一気読み
    シリーズ化してほしい

  • え、純文学なんですか?
    (定義がよくわかってない)

    主人公視点での語り口調は物語の世界に入りやすかったです

  • 読み易く表現の筆力も確かなものを感じる。ストーリーは馴染めない歪さ。

  • 読み終わると、夏目漱石の夢十夜のような、神秘性を感じさせる怪談のような読後感がありました。

    凄惨な暴力と恐怖を目で追い、取り憑かれた人間の終着を見せる「熊の場所」。
    人生の弱肉強食のイメージの伝染。弱者になりたくないと乞い願う「バット男」。
    恐怖に乗り込み、得たものと失ったものを思い出す「ピコーン!」。

    私は恐怖に負けるタイプだと思いました。

  • 舞城王太郎の作品は読み終わると心のどこかがボコボコになっている。
    著者に初めて出会った作品、読み直したけどやっぱり好き。

  • 久々の舞城さん。この独特の世界観と圧倒的な文圧、立て続けに読むと頭おかしくなりそうだけど、時々読みたくなるんだよね。
    かわいい装丁とは裏腹に内容はやはりぶっとびまくってる。というか、これR指定とかしなくて良いの?って思う。子供には絶対読ませたくないし、中学生くらいの子がうっかり読んでしまったら、トラウマものになっちゃうんじゃないのかな。
    短編3本はどれも軽いタッチで描かれているが内容は重め。私はバット男が一番好きだったかな。ピコーン!も舞城ワールド全開って感じで好きだったけど。
    舞城さんの狂った愛情の表現の仕方がなんか良いんだよね。唯一無二って感じで。キレイな言葉を並べるよりも、ずっとずっと深い愛情が感じられるし、何よりドストレートなのが良い。

    以下、本文より抜粋。
    ・恐怖を消し去るには、その源の場所に、すぐに戻らねばならない。
    ・弱い方へ弱い方へ、ストレスの捌け口は見出されていくんだ。弱い方へ弱い方へ、不幸は流れ込んでいくんだ。
    ・忍耐と満足と許容が足りねーんだよ
    ・愛情というのはどうしてこんなにも乱暴になれるのだろう?どうして物事をうまくいかせようとすることを、こんな風にむりやり阻んだりするのだろう?

  • ぼのぼの?あんなにほのぼのはしてないけど、むしろスプラッターなんだけど、どこかぼのぼの的だなと思いました。それから、道徳的かな…。色々興味がわきました。舞城王太郎

  • 舞城氏の作品を連続で読んでいると同じようなシーンが結構出てくるのでそれはそれで面白い。思考の方よりも見て取れるように思う。
    日常に潜む非日常

  • 【386】

  • やっぱすごい。軽薄でありながら、ぐいぐいひっぱる力はほんもの。抜けきらない感じがあるが、もう抜け切ろうとも思っていないのだろう。従来の小説の価値観とは別の価値観で戦っている気がする。クラシックではなく、あくまでJ-POPの世界で戦っている感じ。でも力は本物だと思う。

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著者プロフィール

1973 年、福井県生まれ。2001 年『煙か土か食い物』で第 19 回メフィスト賞を受賞しデビュー。03 年『阿修羅ガール』で第 16 回三島由紀夫賞を受賞。16年『淵の王』で第 6 回 Twitter 文学賞で第 1 位に。『熊の場所』『九十九十九』『好き好き大好き超愛してる。』『ディスコ探偵水曜日』『短篇五芒星』『深夜百太郎』『私はあなたの瞳の林檎』など著書多数。

「2026年 『短歌探偵タツヤキノシタ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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