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- / ISBN・EAN: 9784062113953
感想・レビュー・書評
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舞城王太郎さんの作品を読むのは初めてなのですが、想像よりずっとイカれていて驚いた
3篇収録された短編集ですが、そんなに時間もかけずに読める文章なのにやたらに濃密で、扱われる出来事は相当に胸糞悪くなる内容で、かつ倫理的にも問題がある描写がたくさんです
なのにどこかカラっとしたユーモアや、明晰な論理性もあって、終始、こいつはヤバいものを読んでいるぞ…という、ときめきが止まらぬ読書になりました
読み終わっても読んでる最中の熱さや狂気が身体に残る、毒に痺れたような感覚と読むことの快楽が脳に染み渡りこびりついたままでいます
暴力の描写がすごくいいのが印象的です
暴力や破壊の衝動に当てられた人間の安らぎや心地よさってこんな感じなのかなって、手に取るように同化出来る気がして、うっかりほっこりしてしまった
『熊の場所』
前回読んだ本の中で引用されていた作品のため、この短編読みたさに手に取りましたが、インパクトが凄すぎた
小学校の同級生の少年が、猫を殺しているのではないか? と疑惑を持ち、その動向を探るうちに凄く仲良くなり、彼の破壊衝動が自分に向けられつつあることを愉悦を感じるようになるも、更に奇妙な事件が起きる…という、展開がまるで読めず、事態はどんどん悪化し、よりおぞましい事が立て続けに起きる話なのですが、“次はどうなるんだ?”って楽しみに読んでしまう
小動物が殺される話など、普段なら不快でたまらないはずなのに、語り口の懐述の独特な疾走感が病みつきになる、読めてしまう、そして面白い
最後に彼の死に顔を知ってたのは、その姿を発見して昔のように観察しており、それを何食わぬ顔で隠していたのだろうか
だとしたら、語り手は完璧に“熊の場所”を克服したのだと言える
『バット男』も『ピコーン!』も作中で起きてることが、たまらず嫌なことばかり、でもそれに相対する語り手のある意味、健気さがたまらなく愛おしい
舞城王太郎さん、凄く好きになってしまった -
表題作、バット男、ピコーンの三作。らのべちっく。文体は軽くて読みやすいが、中身はそこそこ重め。面白かった。
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生と死そのもののテーマを、憐れみなく、理解したふりも共感もなく、余分な重みもなく、等分の痛みと罪と罰を、未来を、人が感じる真っ直ぐな感情そのままに直線で叩き出す潔さ。このひとが天才だと言われる所以が、やっと分かった気がする。
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3つの短編が収められた、作品。
「熊の場所」「バット男」は会話のセンスが絶妙でかなり笑える!
舞城さんって、純文学に分類されるらしいけど、ほんとにそうなのかな?どの作品も純文学(明確な線引きが分かりませのでイメージ)という感じがしない。
ナンセンスコメディとか?
この作品も舞城ワールド全快。
愛情や人間関係・社会の仕組みを独特のセンスで揶揄して笑いにつなげるのは見事!
このセンスが羨ましいな。 -
講談社のこの本の中には、「熊の場所」「バットマン」「ピコーン!」が収録されている。
三つを一緒にしたのは大正解だ。最後まで飽きることなくリズム良く読めた。
この人の書く文章は、大分テンポというかリズムというか語呂というものを重視しているように思えるし、今まで読んできた本の文体とは似つかない。最初は、「うわ、癖があるなぁ。」と、思うだろうが、次第に型にはまらないその文章が痛快になり、仕舞いには中毒性まで感じてしまう。この文体に拒否反応を覚える人もいるだろうが、私は好きになれた。 -
3番目の物語 『ピコーン』
IQ高めヤンキー女子の謎解き、面白すぎて一気読み
シリーズ化してほしい -
え、純文学なんですか?
(定義がよくわかってない)
主人公視点での語り口調は物語の世界に入りやすかったです -
読み易く表現の筆力も確かなものを感じる。ストーリーは馴染めない歪さ。
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読み終わると、夏目漱石の夢十夜のような、神秘性を感じさせる怪談のような読後感がありました。
凄惨な暴力と恐怖を目で追い、取り憑かれた人間の終着を見せる「熊の場所」。
人生の弱肉強食のイメージの伝染。弱者になりたくないと乞い願う「バット男」。
恐怖に乗り込み、得たものと失ったものを思い出す「ピコーン!」。
私は恐怖に負けるタイプだと思いました。
文章のライトさと力強さと濃密さがはじけた魅力になってますよね。話の内容はあちこちに飛...
文章のライトさと力強さと濃密さがはじけた魅力になってますよね。話の内容はあちこちに飛んでいくし、かと思ったら重要なのかどうかわからない出来事を執拗に書いたりするし、胸糞悪いのに異常に気持ちよさを覚えたり、でも最後は晴れやかな気分になるし、言葉で思考の限界を超えようとするゆるぎない信念にあてられます。読んでもらいたいけど非常に勧めにくい作家さんでもあったのでたけうちさんが読んでくださって、しかも好きになってもらえてとても嬉しいです!毒と快楽がこびりついて離れないというのもまさにまさに。
あと暴力とかアクションとかエロとかユーモアの部分がめちゃくちゃ良いんですよね~。これも読んでもらわないことには上手く伝えられない部分。
『熊の場所』は「恐怖に対峙する」「恐怖を克服する」というテーマがわかりやすく、ドライブ感のある文体は刺激的ですよね。舞城王太郎は自分の中で特別な作家なのでたけうちさんの感想が読めて心が躍るようでした。
ずっと気になっていた作家さんである舞城王太郎さんですが、遅ればせながらようやく読めました
そしてめちゃくちゃ面白かっ...
ずっと気になっていた作家さんである舞城王太郎さんですが、遅ればせながらようやく読めました
そしてめちゃくちゃ面白かったです!
この『熊の場所』はずいぶん前の作品なんですね
作家としてのギラつきと洗練も共に感じました
相反する要素が独特の調和を持ってそこにある、稀有な作家さんですね
中毒性の強い文体も癖になります まとめて読みすぎると影響うけてしまいそうで怖いですね
そしてオススメしづらいのも分かります! うわ~これはダメな人いるだろうなあ~って思いながら読んでもいました 癖が強すぎるし身体に悪そうなのに止められなくなる魔性感あります 読む脱法ハーブかな『熊の場所』は小学生の視点の、倫理観より好奇心と独特の感性、謎の万能感、自分は特別だという自意識、そんなこころにも立ち返れる作品でした
『バット男』も、弱者でありたくないという恐怖を扱っている作品でしたし、訳の分からないこじれる人間関係のリアルさも共にあって、そういうことあるよなって感じられるから、より語り手に同化してしまう
『ピコーン!』は、性的な話を明け透けにしているけど、ビッチ女じゃなくてあくまで純情で一途、そしてフェラチオ自慢と岩波文庫と名推理とすげえ行動力、好き~ってなりました!
舞城王太郎さんの他の作品も読んでみますね!