K・Nの悲劇

著者 :
  • 講談社
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感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062117135

感想・レビュー・書評

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  •  予定外の妊娠。<br>
     一時はそれを喜ぶが、今後の生活を見直してみると、今は「その時」ではないと判断を下し、夫婦は中絶を決心する。<br>
     しかし、それから徐々に夫人の行動が常識を逸脱し始める。<br>
     まるで何かが憑依したかのように。<br>
    <br>
     中絶自体をはたから「善か悪か」と論ずるのは大嫌いです。<br>
     どれだけその個人が悩み苦しみその答えを出すのかをわからずに、ただ「悪い」だなんて誰が言えますか。<br>
     中絶が「善か悪か」を考える前に「必要か否か」をもっと論じるべきだと考えます。そして、それに答えは無い方が良い。<br>
     そういう意味でこの本はニュートラルな位置(結果よりも原因を責める辺り)に立ち書かれているし、物語的にも面白いです。<br>
     ただ、不満点が0かと言えば、微妙なところですが。夫人の意思が置いてけぼりになったりとか……<br>
     まあ、目をつぶりましょう。<br>
    (しかし、中絶を「殺人」と捉えると、また話は違ってくるんでしょうけれどね。<br>
     個人的に、「危険」という看板の立っていない崖に文句を言う感じだとは思いますが)<br>
    <br>
     映画化もしたデビュー作の「13階段」も死刑という問題を扱っていました。この人の書くお話のテーマはそんなふうに重い物が多い。<br>
     でも、それを気負いにさせない軽妙な描写が不思議なアンバランスさを持って魅力となっている。<br>
     数少ない「エンターテイメント」を知っている作家さんであると思います。<br>
    <br>
     と言うわけで、オススメ。<br>
     少し前の作品ですが、文庫化が遅い文藝春秋。これも結構経ってからされそうです。<br>
     つまり、センスの悪いハードカバーほど買うのに躊躇する物はありませんよね。

  • ホラーでもありオカルトでもあり医療ミステリーでもある。

  • 途中でアレ? これってホラー? とどういう着地をするのか不安になりました。多重人格、憑依ってあるとは思っているけれど、身近にいたら怖いというか、どう対処したら良いか分からないなぁ。
    まぁ、思ったよりハッピーな着地でしたが、安易に中絶という選択をした夫、それを受け入れてしまった妻には全然共感が持てませんでした。でも、そんな夫も最後まで妻を見捨てなかったのは良かったと思います。

    「一人の女性を好きであり続けるには、ふわふわした感情だけじゃなくて、時には意志の力も必要なんでしょう。それが良く分かりました」

  • 大きな波乱もなく、淡々と物語が進んだ印象。最終的な落とし所も想定内だった。赤ん坊の名前を飛鳥にしたのは驚いたが。

  • この本は以前読み始めて途中でなんとなく気分が乗らずに放棄していた。

    このたび気楽に読める本として再トライ。

    ちょっと怖かったし、ドキドキして物語の展開を見守ったけど、最後はやっぱり高野さんだよなぁというところに落ち着く。それは簡単に言っちゃうと“愛”ってところかな。ホロリとして、やっぱり人間て捨てたもんじゃないよな、と思えて良かった。

  • 妊娠した妻に経済的理由で堕胎を求めた夫と正面から歯向かえない妻の心の葛藤。それを霊の憑霊とするか、精神障害とするか。余りにも自分勝手な夫婦に振り回された周りが不憫な話で少々不愉快

  • じっくり読めた。

  • 最後は少し物足りなかったけど
    精神疾患、多重人格と憑依と妊婦さんと好きなテーマが合わさった小説だったので面白かった。
    初めは、結婚生活→その後精神障害→ホラーへと話が進んでいき
    どういう話か分からないまま展開していった。
    最後はハッピーエンドだったので、まぁよかった。
    多重人格はある程度思い込みによるものもあるのか

  • 仕事も順調、家庭も順調だった夏樹修平、果波夫妻。しかし、果波が妊娠したことで、事態は急変する。
    科学とオカルトが混じったようなお話。引き込まれる。面白かった。

  • 内容知らずに読み始め、ホラー?オカルト?、ドキドキしながら展開を楽しめました
    濃い内容ですが、真がシッカリしてるので、崩れることなく満足
    さすが「高野 和明」って感じですかね

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著者プロフィール

1964年生まれ。2001年に『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。著書に『幽霊人命救助隊』、『夢のカルテ』(阪上仁志との共著)など。2011年、『ジェノサイド』で第2回山田風太郎賞を受賞。自著のドラマ化『6時間後に君は死ぬ』では脚本・監督も務めた。

「2012年 『グレイヴディッガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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