プラネタリウムのふたご

  • 講談社 (2003年4月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784062118262

みんなの感想まとめ

物語は、プラネタリウムで育てられた双子の赤ちゃん、テンペルとタットルの成長を描いています。彼らは、泣き男と呼ばれる解説員のもとで育てられ、やがて手品師と郵便配達員として異なる道を歩んでいきます。この作...

感想・レビュー・書評

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  • プラネタリウムで拾われた双子の赤ちゃん、テンペルとタットル。泣き男と呼ばれるプラネタリウムの解説員に育てられた二人は、とあることから手品師と郵便配達員に道を違えていく。

    騙されること、騙すこと。大きな悲しみがあったとしても、それを驚きに変えていく。そして、密かに手をとり、繋がっていく。

    星座にまつわる神話のような静かな語りの中に、何か大きなものに見守られているような暖かな眼差しを感じる物語。

  • ずっとずっと、騙されたままでいることにします。

  • 宮沢賢治の童話のような雰囲気もありつつ。

    星のみえない村のプラネタリウムで育ったふたごが、一人は世界をまわる手品師に、一人はプラネタリウムの語り手に育っていく。

    銀髪のふたご、間抜けな工場長、村はずれの魔女めいた老婆、稀代の手品師とその一座などなど、登場人物や小道具、舞台装置はホントに童話の世界。

    それが全体的に幻想的な空気を醸し出してるんだけど、語られる現実は結構シビアだったりする。
    それでも最後に伝えられるのは、やっぱりすごくストレートな愛のメッセージ。

    いやーとても好きな作品でした。
    あちこち泣けた・・・。

  • ファンタジー好きにオススメ。

    友人が、「10代の頃に読んだ、1番好きな本」だと貸してくれた本。
    眠れない夜に、ベッドの中で少しずつ読むのが至福の時間だった。

    プラネタリウム、銀髪の双子、サーカス団、占い師の老婆、とくすぐる設定がとても良い。
    どこか異国の国の話。
    今まで見た、満天の星空に想いを馳せて、読み進めた。

    ちょうど、ニュースで熊の凶暴化が話題になっていた頃に読み始めたので、各章でキーとなる熊がどうなるかハラハラした。

    緻密に構築された世界観、設定、そして物語。
    最後の章で、「え?」と「唐突だ」「呆気ない」と思ったけれど、帯に書かれた「騙される才覚がないと世の中は…」に押し黙って受け入れるしかなかった。
    この帯は、このためだったのか?
    ツッコミをするのは無粋だったと反省し、
    受け入れて物語を読み進めたら、それまでと同様に
    最後の最後の終わり方までが美しかった。

    翻訳されて全世界に読んでほしい完成度。

    ティムバートン監督に、映画化してほしい。
    10代の頃に観た映画で、ティムバートンのビッグフィッシュが1番好きなのだけれど、描写の仕方が映画的なのもあって、この本を読んでいて、ビッグフィッシュを思い出したのだ。

    この作者の他の作品も読んでみたくなった。

  • プラネタリウムに置き去りにされていたふたごを、プラネタリウムを運営する”泣き男”が拾って育てる。彼はふたごを星の名にちなんで、テンペル、タットルと名付けた。
    やがて2人は成長し、テンペルは手品師として世界へ羽ばたき、タットルは郵便配達夫兼プラネタリウムの特別解説員として大人子どもに夢を与える。

    最後は悲しい結末になってしまったけれど、なぜか温かい気持ちで読み終えた。人は失敗することもあるけれど、その失敗をやるべき仕事で挽回すればいい。その後悔や努力を見ている人は必ずいるから。

  • とても描写がきれいで惹きこまれました。
    だましだまされることの幸せと哀しみ、そんなことを考えました。

  • 空に輝く星が、
    ここでは見えない!と言うのなら、

    プラネタリウムに行きましょう。

    (所詮、偽物の星でしかない?)
    (窮屈な有限の宇宙?)

    捨てられた双子の赤ちゃんの泣き声までどっかから聞こえてくるし!

    あぁ、
    でも…
    その解説員の声はとても優しくて
    「目を閉じて」

    偽物の星に騙される事の面白さを思ってごらん。

    ひょっとしたら、より多く騙される才能のある人程、
    幸せなのかも知れないよ。

    双子はいつの間にか泣きやんで、
    どこかでじっ…と星を見ている。

    この子達の成長と共に、有限の宇宙がゆっくりと広がる様を魅せてくれる温かい物語。

  • いしいさんの文章が本当に大好きです。
    六本目のゆびでつながりあった、銀色のふたご。

  • 「だまされる才覚がひとにないと、この世はかさっかさの世界になってしまう。」

    この地球の北半球のどこかのちいさな村。
    星の見えないこの村のプラネタリウムに捨てられた、銀髪のふたごの物語。

    久しぶりに「純文学」と思われるものを読みました。
    初めは、子供向け?と思ったけど、しっかりとオトナ向けのメッセージが
    含まれた、ステキなファンタジーでした。
    内容はぜんぜんファンタジーではありません。魔法も不思議な出来事もないし。
    でも、ふたごのテンペルとタットルやその他の登場人物たちの優しい気持ちや プラネタリウムという場所、田舎の村の情景描写・・・
    まるで気持ちよく魔法にかかったような気分にさせてくれます。

    その上での、冒頭の一文。
    すぅっと沁みました。

    他にもたくさんステキな言葉が散りばめられていましたが、
    私にはこの一文が一番キました。

    ちょっと厚めの本ですが、優しい気持ちになれるオススメの一冊です。
    「童話物語」と並んで、何度も読み返したい本になりそうです。

  • その村は、北側に禁猟区の森、海外資本の化学工場にその他の三方を囲まれ、工場の巨大えんとつから出される煙のせいで一年中もやに覆われている。しかし村の人々は一年中星を見ることが出来た。解説員の泣き男が切り盛りするプラネタリウムにて。ある日、銀色の髪をもつふたごの赤ちゃんがプラネタリウムに捨てられていた。ふたごは星座の名前にちなんでテンペルとタットルと名付けられた。

    心に染みる物語。序盤はほのぼのとした話でこのまま終わるのか、と予想していましたが、テンペルとタットルがそれぞれ彼らにしかできない仕事に巡り合い、別の道を歩む辺りからの展開にどんどん引き込まれていきました。

    いしいしんじさんの物語に共通するのは「大切な誰かを想う優しさ」だと思う。
    歯のない老犬と靴をなくした兄貴も、
    目の見えない老女も、
    ウサギを愛する少年も、
    テオ一座も、村の人々も、
    そして泣き男と銀色の髪のふたごも…
    すべてがやさしい。

    「それ以上に大切なのは、たったいま誰かが自分のとなりにいて、自分と同じものを見て喜んでいること、こころから信じられることだ。そんな相手が、この世にいてくれるってことだよ。」

  • もうずいぶんと前、たぶん20年前に大好きな友人から紹介されて買ったまま読んでいなかった本。
    ようやく読む気になって、ゆっくりと読みました。The物語という感じで、読み進める中で作品の世界がゆっくりと形作られていきました。

  • めちゃくちゃおもしろかった。
    びっくりのどんでん返し、きれいにだまされる、というよりは、一文一文、一言一句の一冊を通してのつながりにため息が出てしまう感じの読後感。
    もちろん描かれるやさしい世界観も好きだなぁと思った。星が出てくる話ってだけで、まず大好きなんだけども。騙す。騙される。それってこんなにもやさしい関係なんだなぁと。
    ただ、あのときの、あの言葉が、あの出来事が、あの感情が、こうつながってくるのか〜〜とね、、

    全てがつながってる。全ての瞬間が今のその人を構成する。それが人生であり、「生きていく」ってことなんだよね。

    この感覚を味わえる作品に出会えたことが幸せだなと思う。
    これ、晴れ、時々くらげを呼ぶの小崎ちゃんがおすすめしてて読んでみよ、と思ったやつのはずだけど、ほんと鯨井あめさん信頼しかないな。

  • 少しずつ少しずつ読んでいきました。
    愛おしいです。

  • 物語に登場する人々の心の交流がとても綺麗で、それぞれの場面は幻想的にも感じました。
    プラネタリウムでの星座の解説は実際に語り部の声が聞こえてきそうな臨場感があり、星々の話はロマンティックで惹きこまれます。読んでいる途中星空を見上げて星座を確かめてみたくなりました。

    登場人物それぞれの愛情、プラネタリウムという舞台、星座にまつわる話、それらが物語に優しく溶け込んでいてとてもいい雰囲気を作り出しています。

    深い悲しみでさえも、ほのかな温かさ、優しさで包みこんでいくところ。
    さすが、いしいしんじです。

  • 華やかな舞台の上(じゃない時もあるけど)と、山の中の小さな村の中と言う、全然違う世界だけど、ふたごそれぞれのまわりの人に対する優しさで、和やかな気持ちになれた。


    ふたごが最後に再会して終わりかな~と思いきや…。

    備品室での泣き男。

    最後の優しさに溢れた手品。

    山に消えてくパイプ。



    いしいしんじさんの本は初めて読んだけど、他の本も読んでみたいと思った。

    最後に、子供の頃のふたごや栓ぬきのような「だまされる才覚」、欲しいな。

  • はじめは世界がつかめなくて、しんどかったのですが、最後はとても悲しいいながらも、心が研ぎ澄まされたような気持ちになりました。

  • サイン入り

  • 前から気になっていた本だったので借りました。
    最後の最後までドキドキして暖かい気持ちにひたれる本でした。
    言葉づかいもとても優しい感じでどこかなつかしい気分になりました。
    http://www.lib.miyakyo-u.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=205895

  • 星が見えない村にある、プラネタリウムで拾われた双子。
    成長した双子は一人はサーカス団の手品師となって世界中を巡り、一人は育ての親の元でプラネタリウムの解説員となった。
    別々の道を進みながらも、にせものを人々に見せ続ける双子の物語。

    ◆大きな起伏が少なく、序盤は少し冗長に感じてしまいましたが丁寧に伏線が張られていました。
    少しせつないけれど、決して悲しいだけではない清々しい読後感。

    騙す・騙される事についての認識が変わる一冊。
    作中でいくつか本当にだまされましたが、とても心地良かったです。

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著者プロフィール

いしい しんじ:作家。1966年大阪生まれ。京都大学文学部卒業。94年『アムステルダムの犬』でデビュー。2003年『麦ふみクーツェ』で坪田譲二文学賞、12年『ある一日』で織田作之助賞、16年『悪声』で河合隼雄物語賞を受賞。そのほか『トリツカレ男』『ぶらんこ乗り』『ポーの話』『海と山のピアノ』『げんじものがたり』など著書多数。趣味はレコード、蓄音機、歌舞伎、茶道、落語。

「2024年 『マリアさま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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