プラネタリウムのふたご

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レビュー : 250
  • Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062118262

感想・レビュー・書評

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  •  ホンモノでなくてありゃしない。世の中はニセモノだらけだ。
     だからこそ、ホッとしたりして心が休まるんじゃないだろうか。最初からニセモノだとわかっているからこそ、そのウソを楽しむことができる。ホンモノばかりを声高に主張されても疲れるからね。ニセモノやウソを楽しんで、それを真似たり憧れたりしながら、さらに楽しいニセモノやウソが増えて行く。そんな遊び心がある世の中の方が楽しいのだ。
     この物語のなかで、コンタクトレンズをはめてホンモノの世の中がはっきり見えるようになった馬がどうなったか。それは書かないでおく。別にホンモノが見えなくても構わない。ニセモノやウソを楽しむことで、逆にホンモノを気取った現実の仮面が剥がれることだってあるんだ。

     プラネタリウムと手品。作り物の星座と手の動きで、観る者の目を惑わすニセモノ。そこにウソという名の想像力を加えながら、ありもしない物語が続いていく。
     離れ離れになった双子の兄弟が、片やプラネタリウムを営みながら郵便配達人、片や手品を生業としながら旅芸人として生きていくという設定がいい。共に動きながら、ニセモノの姿を晒しながらウソを広めていく役割。
     読み終わったあとに残るのは、ニセモノがウソを結び紡いで織りあげたような不思議な清涼感。

  • 「プラネタリウムのふたご」
    ”この世の人は誰だって、手品師。身近にいる誰かに魔法のような気分を味わってもらうため、こっそりと種を仕掛け、あっと驚かせる。”
    星の見えない村のプラネタリウムで拾われたふたごの不思議な、こころ温まる物語。

  • 喉と胃のあいだに四角いものが詰まったような、かなりの読後感。
    後味が悪いわけでなく、伏線回収も落ちの付け方も丁寧で、
    話はこれでもかというほど綺麗にまとまっています。
    でも、何だか詰まるような息苦しさが残る。

    夜空の見えない村のプラネタリウムに捨てられた双子。
    星の解説者泣き男に育てられ、やがて彼らは別々の道をゆく。
    一人は村の郵便配達人に。一人は世界を旅する手品師に。
    村の郵便配達人は「くろくておおきなもの」がいる山を守るため奔走し、
    手品師は世界中の観客を魔術で楽しませるために情熱をそそぐ。
    村の魔女は言う。
    「あんたじゃなきゃ務まらない役柄がこの世には用意されてる。
    結局自分にできることしかできやしない。
    大事なのはその仕事だけは手をぬかずやりとおすこと。」

    この物語は人物設定や伏線のつなぎ方に無駄がない。
    加速型の本で、中盤以降急かされるように読みました。

    真実でない事を、安直に嘘と呼んでしまうのはなんとも味気ないもので。
    だます人とだまされる人の間には、魔法のような優しさが満ちている。
    そんな風に考えれる物語。

  • 星空を見ることができない町に生れ落ちたふたつの「彗星」。
    にせもの、ほんもの。大事なものは?
    真っ暗闇の中に映るものは何だろう。

  • あー、納得!
    いしいしんじさんの本は「ぶらんこ乗り」しか存じ上げなかったのですが、この本のタイトルで全部納得。

    彼の文体は、江國香織さんと宮沢賢治を足して二で割ったような文体で不思議だなあと思っていたのですが、「プラネタリウムのふたご」とはずばり彼の文体をそのまま表したような単語です。

    江國香織さんのように、水底のような透明感、
    宮沢賢治のような星々のきらめきをたたえた、
    でも江國さんのようなあまやかなとろりとした雰囲気はない、
    宮沢の圧倒的な自然の力を感じることもない、

    それはまさしく人工的で、けれどうつくしい、
    耳に心地よいプラネタリウム!


    作品の解説になってなくて申し訳ないです。
    いしいしんじはだから、上にあげた二人が好きなら読んでも損はないんじゃないかなあ。

  • 心に残るお話は暖かい中にいつもどこか寂しい。

  • なんで買ったのかあまり覚えていないけれど、いしいしんじ作品を読んでみたかったような。「プラネタリウム」「手品師」「双子」というキーワードと、冒頭少し読んだ雰囲気で買った気がする。
    さらりと読むには苦しい話なのだけど、何気なく買ったにしては、予想以上に感情を揺さぶられて大当たり。

  • いしいしんじさんの作品の中で
    一番最初に読んだ本。
    プラネタリウムで解説しているシーンも好き。
    静かな空間に心地よい声が響いている感じ。

  • 童話のように綺麗だが、とてもリアルな出来事がさまざまな幸福や不幸を引き起こしている。変な形のものたちが不格好に出てくるが、それを魅力に変えたキャラクターが印象的だった。私は、この光のかけらが詰まった本にだまされて生きていきたい、と思う。

  • うつくしくも哀しいふたごの話。

    子どものころのおとぎ話を読んだときのような気分になった。
    でも、大人のおとぎ話はもっと現実的でもっと哀しかった。

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著者プロフィール

1966年生まれ。作家。著書に「アムステルダムの犬」(講談社)、「ぶらんこ乗り」(新潮社)、「トリツカレ男」(新潮社)、「悪
声」(文藝春秋)ほか。「麦ふみクーツェ」(新潮社)で坪田譲治文学賞受賞。京都府在住。

「2019年 『靴のおはなし2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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