職人学

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062118460

作品紹介・あらすじ

「熟練」「技」とはなにか、これからの時代にあるべき優れた職人像と、その生き方はどんなものか、体系的に提示。現代の職人の技能と知恵の世界についての優れた証言集ともなっている。熟練技能の伝承という課題を抱えるわが国製造業界に一石を投じる、価値高い「人生論」の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • Vol.58
    新しい時代への挑戦!技を身につける第一条件とは?
    http://www.shirayu.com/letter/2010/000109.html

  • 心を熱くさせる内容だ。
    自分があこがれていたものを思い出した。

    自分はソフトウェア開発に携わっているのだけど、職人は育ちにくい環境だと強く思う。
    現場(プログラミング)の地位が低いし何かこう、技能に対する理解が低い。分野というよりも時代だろうか。
    みんな素養を持っていると思う。この本を読んで気づいてほしいなあ。いや、自分の役目か。w

  • 大学の教授に薦められて読んだ本。

    人の手は髪の毛の太い、細いを感知できるほど感覚が優れている。

    百分の一ミリの制度を感じることができる。

    訓練すれば感じることができる。一ミリの世界が感じられないようではダメだなと思った。

  • 「職人学」小関智弘著、講談社刊。モノづくりの流れの中に身を置く者の端くれとして、背筋が伸びる”校正用基準原器”のような本。モノづくりに限らず、仕事…”事を為す”上での視野と姿勢がただされます。「1/100ミリなら、職人でなくても誰でも感じる能力はある。」では何が職人にするのか。

  • 「職人とは,ものをつくる手立てを考え,そのための道具を工夫する人である」.手慣れから先に進めるか.

  • ちょっと前に感動した本です。
    読み返しました。

    中身はとてもシンプルで、
    継続すること、楽しむこと、諦めないこと、向上心をもち続けること、尊重することなど、
    当たり前のことがとても大切。
    そして、結果だけでなく、過程から学び、いずれ全体が見えてくる。失敗とは、諦めるから失敗といわれるだけで、諦めなければ成功までの過程でしかないんだという事。

    そういったことがかいてあると私は解釈しました。

    この本を読んで思ったことは、

    人間ってきっとみんな職人で、みんなアーティストなんだなーと思いました。
    みんな必ず何かを作り出す過程で、自分なりのこだわりってありますよね。
    その一つ一つの積み重ねが独自の技術を身に付けさせて、オンリーワンになるんだなーと本気で思いました。

    俺なんてまだまだひよっこですが、
    そんな感覚を毎日忘れないように努力していって、
    自分の人生に満足できるようになりたいと思います!

  • 日経BP図書賞2004

  •  この本を通して次のような“職人の思想”を知った。
     『真剣に働く者にとって、働くということは常に恥を晒して生きるということである。そういう営みの中でこそ、ほんとうに学ぶことができるのではないか。自分の恥と向き合うことなしに、働きながら技能を向上させるなんて絵空事ではないか、とさえ思うのである。知恵は訓練だけでは得られない。問題に直面している現場に居合わせ、ものと向き合ったときに、はじめて湧いてくるのが知恵である』。
     人前で恥をかき、現場で何度も失敗を繰り返しながら自分の中に技能や知識を蓄えていく。
     それにしても職人と呼べる人がどの分野でもめっきり少なくなった。自営業に限らず、企業の中の最後の職人世代とも言えるのが、いわゆる団塊の世代ではないだろうか。あと2年でこの世代が大量退職する時期を迎え、様々な職場では今、彼らの技能や知識の継承に向けた取り組みが行われている。
     ただ、一番大切な職人の“心”は、次の世代にきちんと
    受け継がれていくのだろうか。

  • 旋盤工だった著者が自分の経験や同業者などのコメントを交えつつ
    現場での職人の存在に迫った本。
    職人とは伝統の技術を会得したものではなく
    伝統の技術と新しいものを知恵によって掛け合わせて
    常に現状の自分を自己否定しながら革新していく存在であるという。
    僕らの生活の中でほんの些細なもののように感じられるもの
    例えば釘であったり携帯のパーツであったり
    そういったものの作り方が現代のニーズに合わせて
    どのような作り方を開発してきたのかが分かる。
    結果として個性のない汎用的なものを作っているとしても
    その作る過程で独創性を発揮できるのが職人だ。
    そこには確かな技術・新しいものへの好奇心・チャレンジ精神・想像力がある。
    ここに出てくる話はほとんどが金属の加工などの話だけれども
    そこにはっきりと見てとれる職人気質というものは
    ものづくりをするすべての人に必要とされるものだ。
    僕は音楽をやっているので
    ここに書かれていることを
    音楽に置き換えながら読んでみたけれど
    驚くほど根底に流れる部分は共通していた。
    職人というと手技術のように思われがちだが
    実際にはコンピュータも大々的に使われている。
    そのコンピュータをどのように使うのか
    マニュアル通りに使うのか、
    マニュアルを踏まえた上で自分なりのやり方を編み出せるのか
    そこが大きな違いになっているところなんて
    コンピューター・ミュージックに言及しているかのようだ。
    必要な道具が存在しないなら作ってしまうところなど
    そのクリエイティビティはあらゆる業種に共通するものだろう。
    そのイマジネーションにも技術にも
    本当に感動した。
    僕が目指してるのって音楽における職人なんだと思った。
    もうひとつ収穫があって
    それは父親の仕事を初めて少し理解できたということ。
    父親はメリヤス工場で働いている人で
    基本的に仕事の話は家ではまったくしない人なんだけど
    ひとつだけ記憶に残っている話があって
    それは生地を織る機械の話で
    普通に使ってたらできないような模様を
    針やプログラムなんかを工夫してできるようにしたって話で
    それで大きな仕事が取れたんだって言ってた。
    どういうことなのか上手く想像できなくて
    それってすごいことなのかなぁって思ってたんだけど
    それがとてもクリエイティブなことだと分かって
    父親のことを前よりも尊敬できるようになったことが
    この本を読んでよかったなぁと。
    クリエイティブっていうと芸術方面をどうしても想像しがちだけど
    どんなところにもクリエイティブな現場はあるのだと分かったことは
    僕にとって新しい見地を与えてくれるんじゃないかと思う。

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著者プロフィール

1933年、東京生まれ。
都立大学附属工業高校卒業後、旋盤工として町工場に勤務する。
そのかたわら、執筆活動をつづけ、作品を発表する。
◎おもな著書
『大森界隈職人往来』(朝日新聞社、81年)--第8回日本ノンフィクション賞
『粋な旋盤工』(風媒社)、『春は鉄までが匂った』(晩聲社)、『羽田浦地図』(文芸春秋)ほか

「1985年 『鉄を削る 町工場の技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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