ピアニッシシモ

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062118606

感想・レビュー・書評

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  • 松葉が幼い頃心慰めてくれた隣家のピアノが譲られた先で出逢った紗英。華やかで自信家の紗英に松葉は惹かれていくのだった。

    性格も家庭環境も違うふたりの少女が出逢うことで始まる物語。しかしそこから想定される展開は待っていませんでした。憧れが自己を昇華してくれる訳でもなく、他者を受け容れることで自己が変わっていく訳でもなく。なれ合いでも依存し合うのでもない友情。でも松葉と紗英は出逢うことで、それまでとは違う自分を見付けることになるのです。いや、それまで気付かなかった自分を見付けると言うべきでしょうか。

    松葉は自分のことを平凡で良くも悪くも特化していないと思っています。周りに合わせて流される、そんな風にも思っています。しかしそれは松葉に嘘がないからかも知れません。他者に合わせてしまうのは他者への思いを真っ直ぐ見ているため。それは憧れだったり尊敬だったり幻滅だったり諦めだったり。相手への感情に嘘がないので、相手を見る目も容赦ないのかもしれません。それは親や先生への反抗ともなり、友達への想いに繋がる。その松葉の目がこの物語の核となり、松葉の周辺の人々を解体していきます。そして読者は松葉の目を通して、自らの親や友達への思いに気付くのかもしれません。

    そんな目をもつ松葉だから、紗英によって変わっていくというよりも自己を確立していくように見えます。だから紗英が物語から逸れて行っても、松葉は自分の道を淡々と進んだのでしょう。そこに本人が気付いていなかったとしても。
    何とも面白い読後感がありました。

  • けっこう昔に読んだ本。
    透明だけれどどこか悲しいこのひとの書く文章が大好きです。
    梨屋さんはもっと評価されるべきだと思います。

  • 私が初めて読んだハードカバー。
    あの時はちょっとだけ背伸びできて、うれしかった。

  • 初めて読んだ梨屋さんの本。

  • 松葉と紗英の物語。と言うより松葉の心の成長物語、かな。
    不思議なお話では無いけれど意外なエンド。松葉はとっても強くなった。

    2019/03/15読了。

  • 【あらすじ】
    いちばん弱い音が、いちばん強く心に響く
    1台のピアノが、結びつけた松葉と紗英。
    ふたりが抱えるそれぞれの「痛み」。

    幼い頃に松葉の孤独を慰めてくれたのは、隣の家から流れるピアノの音色だった。中学3年になった松葉は、そのピアノの行方を追い、新しい持ち主紗英と出会う。同い年でも、性格も家庭環境もまるで違うふたり。松葉は華やかで才能のある紗英に憧れ、心の拠り所を求めていくが……。

    【感想】

  • 紗英が可愛い

  • 数日前に読んでいたのの登録しそびれ。何冊目かの梨屋アリエさん。
    けっこう好き。だけどセトが役割以上には活きてなかった気がするのが、ちょっと残念。ムゲンもそれほど描き込まれてはいなくて、それは松葉にみえる範囲以上のことを描かないせいなのかもしれないけれど、おはなしに「使われて」しまっている印象を受けた。このあたりは読みやすさと紙一重なのかなぁ。
    梨屋さんは、いつも斜にかまえた感じの書きぶりなのが、ちょっと好き。

  • 楽器を演奏するひとが、うらやましい。とてもうらやましい。
    孤独をいやしてくれるのは、◯◯(←楽器のなまえ、ね)。
    そう言えるひとは、ブキヨーものからすると、ほんとうらやましいものなんですよ。
    「好きな音楽を聞く」以上に、心に効く(いやし、浄化、幸福感)らしいです、「好きな音楽を演奏する」のは。

    梨屋さんは、音と言葉を紡ぐひと、だと思います。

  • 04.07/23 04.07/23

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著者プロフィール

栃木県小山市生まれ。児童文学作家、YA作家。
法政大学兼任講師。
1998年、『でりばりぃAge』で第39回講談社児童文学新人賞受賞し、翌年、単行本デビュー。
2004年、『ピアニッシシモ』で第33回児童文芸新人賞受賞。『ココロ屋』が2012年全国読書感想文コンクール課題図書に選ばれる。その他、『プラネタリウム』『わらうきいろオニ』(講談社)『スノウ・ティアーズ』、『きみの存在を意識する』(ポプラ社)など著書多数。

「2020年 『エリーゼさんをさがして』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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