魔女モティ (文学の扉)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062119757

作品紹介・あらすじ

この三人が家族?紀恵のお父さんがピエロ。そしてお母さんは、「魔女」。『霧のむこうのふしぎな町』の柏葉幸子が5年ぶりに贈る、待望の長編ファンタジー。小学中級から。

感想・レビュー・書評

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  • 小学中級から対象と書いてある通りの、物語だと思ったので、大人が読むには、少々物足りなさも感じましたが、言葉に出さなくとも、子供は、家族に対する真剣な想いを、胸に秘めているといった、大切な事を実感いたしました。

    何、当たり前の事を書いてんだと思うかもしれませんが、世の中には気付かない人もいるのです。

    訳あり魔女「モティ」の家族募集に、志願する形になった、娘役の「紀恵」と、父親役のピエロの「ニドジ」は、それぞれの悩みを抱えながらも、ある意味、偽りの家族をなんとかしていくために、悪戦苦闘する中で、それぞれの人柄の良さに気付いていき、それが、自分の悩みを見つめ直すきっかけにもなるという、モティ含めての成長物語となっております。

    その中でも、紀恵の、お母さんに求める愛情が、行き所を求めて彷徨う様子には、繊細な子供のいじらしさを感じて辛く、それを知るために、親御さんが読むのも良いかと思いましたが、大人が自分等の都合で新しい家族を作るのだから、子供だって自ら望む家族を求めてもいいのでは、といったメッセージには、少し複雑な思いを抱かれるかも。

  • 自分の誕生日なのにお母さんは全く覚えていてくれなかった。
    家出をした紀恵は、不思議な猫に誘われて
    魔女の擬似家族として暮らすことになる。
    当然のように最後は家に戻ってめでたし、なのだけれど。

    読み終わって、ちょっと考えてしまった。

    紀恵お母さんは実の母親ではない、と最後に明かされる。
    紀恵の実のお父さんと結婚する時に、
    お母さんは、自分は家族がいること、
    子どもがいることに馴れていないから、
    お母さんの子どもですよーって信号送って欲しい、
    と紀恵たちに言ったのだと言う。
    紀恵は一生懸命お母さんに信号を送り、
    お母さんはそれに安心してしまったのだと。

    お母さんも人であって完璧ではないのだし、
    言いたいこともわからないではない。
    でも、私は気づかないから、そっちからアプローチよろしく、
    って幼い紀恵たちに言う母親ってどんなだろう?
    めでたし、で終わってるし、お母さんも反省していい感じで終わっているので、
    うっかりするとスルーしてしまいそうだけど、
    よく考えれば、かなり自分勝手な、というか自分に甘い人だと思う。

    女海賊と息子のエピソードはしっくりきた。
    親は勝手に再婚して、今日からこれがお父さんだよ、もしくはお母さんだよ、
    という権利があるのに、子どもには親を選ぶ権利がないなんて。

    ほかのエピソードも様々な親子の関係とその問題が焦点になっていて、
    好き嫌いはともかく、結構深い、というのが感想。

  • 可愛い話に可愛いオチ。
    表紙よりは、ぐっと子どもな内容です。
    親子関係とか、けっこう考えさせられました。

    今の時代だからこそ、という感じも。

  • 久しぶりに泣いた。

    初めて図書館で、しかも読み返した本でしかも児童書で昔は悲しいだけだった本。

    「家族」の在り方についてがテーマなんだと思う。

    家族にはこの上なく恵まれたと自覚してすらいる私ですらどんな家族が理想なのかわからない。

    「血がつながってなくたって良いじゃない。楽しくて幸せで一緒に居られるなら、それが家族だよ。」

    日々見過ごしがちな、けれどとても大切なことを、児童書は純粋な結晶のようにして私の目の前に差し出してくれる。

    成田良悟の気持ちが良いまでに裏切ってくれるわくわく感に負けず劣らず、綺麗に都合良く話がまとまる感覚が、安心。

  • 昔に読んで、すごく面白かった記憶があります。
    不思議で滑稽な家族、主人公の紀恵ちゃんの心情もよくわかりました。

  • 【10/26】近図。季節の本(魔女)。中学年〜。柏葉幸子の「魔女」の本…検索して、図書館で見つけて、小躍りする♪誕生日を忘れられ家出した小学五年生の紀恵。スカウトされて、父ピエロ、母は魔女の三人家族の子どもになる。「本当の親子じゃなくても、いっしょにたのしく幸せに暮らせたら家族だよ(175頁)」そんなロムの言葉も温かい。しびれを切らせたモティが迎えにきて…の第二弾はあるのかな??

  • 小学5年生の紀恵は三人姉弟の次女。家族に誕生日さえ忘れられて家出した公園で出会った黒猫のペローにスカウトされ、魔女モティの家族になってしまうが…。新感覚ファンタジー。

  • 大好きな柏葉幸子さんの児童書。しかも、魔女もの!成長もの!

  • お母さんとケンカして家出した紀恵は、しゃべる黒猫にスカウトされて元ピエロのニドジと共に魔女の家族になるのだった。魔女モティは魔女学校の落第生。面倒くさがりで皮肉屋な彼女の前には助けを求める人が現れるのだが、モティは魔法で解決できるのか?
    柏葉幸子お得意のもうひとつの世界に入りこむ少女の物語。疑似家族を形成するのが面白いと思ったのですが、家族ごっこを堪能する前に物語がどんどん進んでいきました。
    自分たちを放ったらかしにした母親の代わりの母親を欲しがる少女、古いホテルをめぐり対立する父と息子、母親に預けたままにしていた息子と一緒に暮らしたい元女海賊と、「家族」がテーマになっています。そんな騒動の中で紀恵自身の母親への想いが語られていきます。
    まだまだこれから面白くなりそうというところで終わりになり(紀恵の物語としてはきちんと完結しているのですが)残念と思ったら、続編もあるのだとか。読まねば!!

  • ちぐはぐだけどいいコンビになっていくつぎはぎ魔女家族の様子が読んでいて楽しいです。

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著者プロフィール

児童文学作家。岩手県生まれ。東北薬科大学卒業。大学在学中に講談社児童文学新人賞を受賞し、『霧のむこうのふしぎな町』でデビュー。ファンタジー作品を多く書き続けている。『牡丹さんの不思議な毎日』で産経児童出版文化賞大賞、『つづきの図書館』で小学館児童出版文化賞、『岬のマヨイガ』で野間児童文芸賞受賞、『帰命寺横町の夏』英語版でバチェルダー賞受賞など受賞歴多数。


「2023年 『トットちゃんの 15つぶの だいず』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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