- Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062120265
作品紹介・あらすじ
畏怖すべきは安土城!人間崩壊したのは、信長か光秀か?不思議なほど見事に清潔な魔の城。歴史文学賞受賞作家で建築家の傑作。
感想・レビュー・書評
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安土城築城から本能寺の変までの信長の目指していた天下とそれに不安を覚える光秀の心の葛藤を描いた作品。オーソドックスな展開で登場人物も少ないので読みやすい。光秀に謀叛を唆す人物が意外な人だったので最後まで飽きずに読めた。
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<b>そう、まさに信長は袋の鼠だ。もし、光秀に信長を討つ勇気さえあれば。彼奴を間違いなく倒せる心の強ささえあれば。<br>
自分は強くならねばならぬ。<br>
光秀はそう堅く心に誓った。</b><br>
(P.231)<br>
<b> 信長にとっては、束の間の安全など、唾棄すべきものだった。美しく、動的なもので、一瞬でも人の心を奪うこと。話に聞いた西洋のドゥーモの内部空間を、目の前で実現してみせること。それが、城だけでなく、すべてにわたって、彼の目指したことだったのだ。</b><br>
(P.280) -
安土城が完成し集まった織田家諸将。皆が異口同音にその出来を褒め称える中、明智光秀は吹き抜けの構造に不安を覚えていた。荒木村重は光秀と同じ懸念を抱き、意見したことで、信長の不興を買う。それがきっかけであったかのように村重は離反し、光秀の心も揺れる。妻の死後、信長と不仲になった濃姫と愛し合うようになり、ついには彼女の勧めで本能寺の信長を討とうと決心したが――・・・。