池辺の棲家

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 16
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062120470

感想・レビュー・書評

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  • 私、昼寝してカタツムリになったの。それは面白かっただろう、と夫は淡々という。とてもいい気分だった。目が覚めたら、不思議にも肩こりがすっきり消えちゃって。ぼくのマッサージよりもはるかに効いたようだね。(以下省略)
    彼の口からばかばかしいという言葉を一度も聞いたことがない。こういう数少ない男なので、ほかのだれにも渡す気にはならないでいる。

    いいなあ、こんな旦那さん。

    娘との距離感や、孫の女の子とのやりとり、ほんわかします。主人公の女友達とのおしゃべりもワケありながらも楽しそう。こんな風に年を重ねたいなと思いました。
    息子さん、最後に会えるのかなと少し期待しました。

  • 著者の紹介で芥川賞作家のひとだと知りました(不勉強(^_^;)なるほど、この綻びのなさはだからかと思う。ラストの一行ですとんと胸におちるというのはこのことだ。カタカナの「オチ」をつけるというのとは全然違う。縦糸と横糸が美しく織られた反物のようだ。上質な物語の読後感はこんなに豊かだと改めて思った。

  • <あらすじ>
     千亜子は都会の池のほとりに夫と暮らす年配の婦人。夫は2か月前から母親の介護のために単身田舎へ行ってしまったが、一人暮らしも悪いものではない。娘夫婦やかわいい孫、学生時代からの友人との交流もある。翻訳と朗読ボランティア、池の鳥を観察する静かな日々。胸の中にペースメーカーと小さな秘密と口には出さない思いを抱えて。

    <ひとことコメント>
     加藤幸子さんの小説らしい、気骨のある女性が主人公です。
    ※文庫あり。

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著者プロフィール

1936年札幌生まれ。41年両親とともに北京に渡り、47年引揚船に乗り帰国。北海道大学農学部卒業。農林省農業技術研究所に勤める傍ら、「三田文学」に作品を発表。72~89年自然観察会代表。82年「野餓鬼のいた村」で第14回新潮新人賞、83年「夢の壁」で第88回芥川賞、91年『尾崎翠の感覚世界』で芸術選奨文部大臣賞、2002年『長江』で毎日芸術賞を受賞。08年から財団法人北海道文学館顧問。日本野鳥の会会員。

「2015年 『尾崎翠の感覚世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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