負け犬の遠吠え

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062121187

感想・レビュー・書評

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  • もう20年近く前の本になるけれど、負け犬と勝ち犬の相容れなさをひしひしと感じ出していて、手に取った。両者は相容れないものなのだ、と分析されていて納得する。そして私は完全に負け犬まっしぐら。

    完全に負け犬の要素を持ち合わせているのだけど、負け犬の定義にはまるには、まだ少し猶予が残されている。かといって今更勝ち犬に180度方向転換なんてできないところまで来てしまっている。負けました、と腹を見せる覚悟もしつつ、どこかで抜け道も探している。

    20年で少しは負け犬に優しい世の中になったとも思う。結婚の価値というものが下がってきているようなのだけど、やはり結婚している方が勝ちということは変わっていない気がする。未婚だと、どこで間違えたんだろうなんて思ってしまう。
    人間っていつまでも変わらないものだなと、数十年前のこの手の本を読むたびに、安心するし、ガッカリもする。

  • 最初の数十ページで、こりゃくだらなそうな本と思ったけど、どんでん返しを期待して最後まで頑張って読んだが、結果くだらない本だった…。
    これ読んどいて、それ言っちゃ元も子もないかもだけど、結婚してるかどうかだけで勝ち負けをラベリングするのはだいぶ無理ある。
    筆者のいう、負け犬=好奇心旺盛で、安定よりワクワク感やその瞬間の楽しさを重視する、自由人。勝ち犬はその逆。みたいな定義も、いや、人それぞれやろ!と思ったし。
    なんだか、同性内での不用な対立構造をわざわざ作って、イヤ汁垂れ流してる筆者の人間性が、もうあーこの人、合わないなぁと。
    負け犬にならない十ヶ条とかも薄っぺらすぎて、バカバカしすぎて…これを真に受けて実行しようとしている若い人がいたら、そういうとこだぞ、と言いたい。
    私からしたら、まぁ10年以上も前の本だから、古すぎる価値観も仕方ないかぁと思ったけど、最近のレビューでも好意的な評価が多くてびっくり。

  • ★本書のメッセージ

    ★本の概要・感想
    読む前と読んだ後で世界が違って見える本。自分は23歳なので、社会人の生活がなんとく分かる範囲でありながら、まだ結婚をそこまで意識していなかったので。筆者のいう事が素直に勉強になった。
    30歳を過ぎて結婚できない女性のことを負け犬と読ぶ。なぜ人は負け犬になり、負け犬であるかそうでないかに過剰に反応するのか。筆者の体験に基づく分析がユーモア溢れる文章で語られる。
    筆者の周りにも、アラサーの女性の知り合いが何人かいるのだが、その人たちの生態がどうなっているのか、くっきりと予想できたのが面白がった。と同時に、自分もそうなりたくはないな、という、結婚できないことに対する恐怖心のようなものも芽生え始めた..。

    SATCを観て興奮した感想を清楚な友人に誤送信するくだり、めっちゃ笑った。

    ★本の面白かった点、学びになった点
    *筆者による負け犬の特徴の分析
    本来、子育てに全精力を費やしているはずの時期に、子どもも、いない夫もいないという負け犬はどうなるか...。それはもう、趣味にのめりこむのである。
    筆者の知り合いにも、バンドのおっかけをやっている人や、やたら趣味の範囲が深く広い人、ボランティアで子どもと関わっている負け犬がいるのだが...。なぜ彼女らがそのような行動をとっているのか、合点がいった次第である。確かに、出産と子育ての適齢期に、そのようなことをしていないと、精力が有り余るのかもしれない。何かの追っかけだけはやめよう、と思った。手の届かない人にエネルギーを注ぎすぎるのは、リアルでの孤立化をますます深めそうだと感じた。子どもと関わるボランティアもやっていたのだが、いったんちょっと離れようかと思う。まずは、自分の子を育ててからでも遅くはない。
    なんというか、こういうことは絶対本人の前では言ってはいけないのだろうが、生物学的には、伴侶と子をもうけて、子育てをしている時期の中で、現代では、そういうことをしなくてもいい、仕事をして、趣味をして、暮らしていくだけでいいと感じてている人が多い中で。
    僕は、自分の遺伝子を後世に残したいと思っているので、ちゃんと、向き合って頑張らないと、難しいような気がしてくる。

    *子育てをしていると鈍感になる
    ・子育てをしていれば、とにかくやらないといけないことはたくさんある。考えるのは子どもと夫と、家庭の業務を回すので精一杯
    ・その一方、負け犬には時間がある。「本当の私って?」「やりがいのある仕事」というような、どうでもいい人生の装飾品のようなことばかり考えるようになっていく。繊細に、敏感になっていくのだ

    *アメリカやフランスのようにカップル文化がある一方、存在しない日本

    *都会では負け犬は擁護される。人の多様性に埋もれられる

    *「他者のため欲求」が存在する
    「独居負け犬は、自らの独居生活を楽しいものにしていくために、様々な工夫をこらします。ご飯がおいしく炊けるからと、一人用の土鍋を愛用したり。観葉植物に名前をつけて愛でてみたり。サイドボードに、実家のペットや死んだ祖父母の写真を並べてみたり。それは、小さな幸せでつぎはぎされたパッチワークのよう。」

    *「服の露出度とセックス話に対する許容度って、比例するわけじゃなかったなぁ、そういえば」

    *負け犬は、ごく普通の「自分よりちょっと頼り甲斐があって、自分の仕事を認めてくれる男性」ってやつを求めているわけですが、ごく普通の男というのは「仕事がバリバリできて給料をたくさんもらってる女」が好きなわけではない。結婚後の経済状況が多少悪くなったとて、短大卒で「えへっ」とか言ってる妻の方が、ホッとできる家庭が築けそうだと、彼らは判断します

    *負け犬がなぜ、異性との出会い方にこだわるかといったら、私達は「モテる人が偉いという価値観の中で、生きてきたからのです。」(中略)「羨ましい」とか「あの夫だったら私も結婚してもいい」と思えるような夫婦は周囲に皆無なのだけれど、それでも「結婚したいかもー」と思うのは、一人の異性にとても深く愛されたという証拠が欲しいから、という部分があるのではないか。 

    *人生という膨大な暇を潰すにはもってこいの作業である子育てをしていない負け犬は、その在り余る暇と経済力とを、日本の伝統文化に傾注しているのです。子育てと伝統文化の習得は、カネとヒマを喰うところも同じなら、少しずつ進歩していくところも同じ。負け犬は子育ての代替として伝統文化を愛しているので、そりゃあ熱心にもなりましょうし、伝統文化ブームにもなりましょう。

    *で、その手の性質の人が趣味を持つと、どんなこおとになるか。というと、「とことんのめり込む」ようになることは、火を見るより明らか。
     観劇系の趣味を持った場合は、定期公演はいわずもがな、お金を持っているので地方の公演にまで駆けつけて、追っかけ的行為を楽しむ。お茶屋お花といったお稽古事を始めたら、着物だのお道具だのをそろえまくり。そしてなじ趣味をもつ負け犬同士で集っては、ワインなどの見ながら趣味の話に花を咲かせ、水面下で”アタシの方が詳しいのよ”先生と一番親しいのは私よ”
    みたいな火花を散らす

    *お金がかかってセンスも良いというのが、最も負け犬らしい負け犬ファッションなのです。
     これみよがしなブランドのマークはついていないけれど実は高価なバッグに、よく磨かれた靴。ストッキングの色もデニール数も今風。服の素材は上質で、全体的に少ない色数でまとめられている。胸元はちょっと大きめに開いていて、プチダイヤのネックレスが光る。髪は軽い茶髪で、一歩間違えると水っぽく見えるくらいにきちんとセットされている。
     ...とこんなところが典型的負け犬ファッション。(中略)その結果、彼女たちのセンスは歳をとる毎に洗練されていきました。男から好まれる服装と女から格好いいと思われる服装の違いも熟知しているし、TPOも心得ている。流行にとらわれすぎることなくまた遅れすぎることもなく、セクシーすぎず地味すぎず、でも上質というものが何かは知っているという、隙のない大人の服装を完成させるに至ったのです。

    *負け犬はしかし、ただ無邪気にお金と時間をお洒落に費やしているわけではありません。子育て中の専業主婦であれば、
    「子供に汚されてばっかりだから、いっつもカジュアルなものばっかり、テヘ」と言っていれば、どんな服装をしても世間は大目に見てくれます。また少しきれいな格好をすれば、「子持ちなのにこんなにおしゃれで美しい私」をアピールすることもできる。
     対して負け犬には、子どもというエクスキューズはありません。独身でお金を持っているのだからおしゃれで当然、でも年齢はちゃんと自覚してね...という世間の要求に、応えなければならない。

    *世の男性は、負け犬の洗練された、隙の無いブランドファッションなど気づかない。むしろ、ファッションに隙があるくらいのほうが、男性は安心するのだ

    *五万円の靴を買うとき、私は嬉しいけれど、どこか虚しい気持ちになります。この靴はたしかにほれぼれするほど美しいけれど、しかしどうでもいいような格好でどうでもいいような暮らしをする幸福というのが、この世には存在するのではないか。そして、私がその幸福を手にすることはあるのか・・・?

    *孫のいない、子どもの年齢が30を過ぎた家族の会話はとっても重い
    例えば我が家の家族全員で、外食をしたとします。すると、テーブルを囲む空気というのがどうも、重いのです。これといって目新しい話題もない。解決すべき問題も、祝うべき大きな幸せも、ない。テーブル全体に、グレイの厚い雲がどんよりとかかっている感じ。

    ●学んだことをどうアクションに生かすか
    *30代女性の心、心情を読むのに参考になる(むろん、全て筆者の言うとおりに分析できるわけではないだろうが)
    *自分も、結婚したい気持ちをこの本によってより強くした。
    *刹那的に生きるのではなく、中長期的に見て、自分をハッピーにする選択をしたい

    ★そもそも読んだきっかけ
    *佐藤優やナンパブログ等いろいろなところで勧められていたので

  • ふむふむ、良く分析されているという感じ。
    著者は負け犬だけど勝ち組なので少し余裕感が感じられる。
    男性が読んでも面白いですが、女性が読むと色々な気持ちになるのかな。

  • ひと昔前のベストセラーです。
    最近、読み返してみると、今読んでもおもしろかったです。

  •  今更数年前のベストセラーを読みました。
     「30代未婚・子なし」の女性をばっさり「負け犬」と定義して、そこから「なぜ、負け犬になるのか」など詳らかに解説しながら、負け犬の寂しさや勝ち犬をそこはかとなく見下す優越感等をドライな筆致で綴っています。

     女性の高学歴化、高収入化に比して、やや「低い」女性が安心する男性にとって、彼女たちは結婚対象ではありえない。
     一方の女性側も、結婚を迫る周囲のプレッシャーが薄れつつある昨今、いまさら頑張るのも難しい…

     といった状況は、数年前からさっぱり変わっていない気もします。
     いまよんでも、おもしろいです。

  • 10数年前に書かれた本を今さら読んでみた。社会現象になるだけある、すごい本。なのに全然攻撃性がないし、かといってハイハイご苦労様ねと受け流したくなるような自虐自慢でもない。すごい本。林真理子さんの解説も的を射ていて興味深い。
    最後にオマケ的に載っていたオス負け犬たちの対談、なんだか「イヤ汁の権化」って感じで笑ってしまった。

  • 自虐漫談ですね。電車の中でも読みながら笑ってしまいました。
    本人は決して卑屈になっていないですね。コンプレックスは感じません。

    ただ、もう12年ぐらいたつので、今はどうかな?
    サーヤは独身だったし、鷺沢萠さんまで登場…。

    大ファンになってしまったので、最近のエッセイも二冊予約しました。
    こういうのは新しいうちに読みたいです。

  • もう14年前の本なんだなあ…

    オリンピック4回以上前の時代だよ。
    この時代に「えっあの人、なんか独身だけど、きっとそれには触れちゃいけないんだよね?ね?」という対応をされていたであろうタイプの独身未婚女性に強烈なスポットライトをあびせたというのが、この本の最大の功績だと個人的には思う。
    負けてるふりしてそう思ってないよね、という炎上必至の書き方ですら、この著者の作戦ではないかと思うのであります。

    自分はこの本に出てくるような、色々な遊びを知っていて仕事も充実したゆえに結婚は逃したがオシャレにも気を使うような負け犬ではなく、普通に、こりゃもー普通に性格が悪くてご縁がなくイヤ汁たっぷりの趣味に走るだけの単なる未婚女性なので、別にこの本から何かを学んだり気が楽になったりすることはございませんでした。10年前買った時も今日読み直したときも感想は変わらない。

    でも4回のオリンピックを経ても、時代はもしかしたらそれほど変わってないかもしれないなあ。と思わせるだけの力をまだこの本は持ってる気がする。
    今の時代ってポートフォリオが大事とか言うじゃない。副業とか投資とかNISAだって流行ってるしさ。
    だけど、色々な人がいていーんじゃーんという人間的ポートフォリオの感覚はまだ薄いと思うんです。

    私のような無頓着そうな人でさえ
    「ああ私は何のラベルで生きていけばいいんだ。この歳で当然妻でも母でもない、そして大好きな仕事があるわけでもマネージャでもバリキャリでも美魔女でもない、上質な服も興味ないけどこの歳で独身だとどれかはやらなきゃあかんのやんね?」
    と逡巡したり
    「いいわね好きなように生きててーってあんま仲良くもない主婦のおばちゃんにスケートリンクで言われた!いや同じ時間にスケートしとるおばちゃんこそ、仕事しなくても好きなことできて気楽でいいわねーって感じなんですけどそれを言ったら失礼だと私はわかるから言わないのになんでおばちゃんは考えずに私に言うの!?」
    と素直なご挨拶かもしれないのに裏で静かにイライラしたり
    つまり自分がニュータイプ負け犬であり、まだ注目も保護すらもされないマイノリティであるという負い目があるのだなあと日々思うのであります。ダイバーシティの枠に入ってないと。
    だから何もいいことしてないからこそ、何かしないといけないと思う部分は、14年前の立派な負け犬さんたちと変わらないかなーなんて思うのでありました。まっ思うだけで翌日には忘れて努力しませんけどね。

    長くなりましたが、また10年後にどんな感想を持つかが面白そうだなと思う本です。


  • 負け犬たちは専業主婦を下に見てるんだなっていうのは分かった

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著者プロフィール

エッセイスト

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

酒井順子の作品

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