食いものの恨み

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 21
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062121552

作品紹介・あらすじ

超豪華な料理屋から学食、立ち食い鰻。インド、韓国、ロシア他世界各地の食に、自作レシピまで。若き作家の舌の冒険。

感想・レビュー・書評

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  • たまには弁当の目先を変えようと図書館の料理本のコーナーに行って、ついでに借り出し。島田雅彦の小説は全く読まないが、この人の食いものと人生のセンスは最も共感でき信頼がおける。
    死ぬほど簡単で絶対に美味そうな”賢者の逸品”も早速メモ。

  • 島田雅彦。純文学者。
    どちらかというと世のなかに批判的な文章を書くイメージがあったので、この『食いものの恨み』というタイトルは、まさに食いものに対する恨みをねっちりと書いた文章なのだと思ったのだが。

    全然恨んでないじゃんよ。
    むしろ愛しているんじゃん。
    美味しいものを食べ歩くだけじゃなく、自分で料理も作っちゃったりしてさ。

    恨みがあるとすれば、高い金をとって量の少ないイタリアンの店とか、味の素を大量に使う中華料理とか、工業製品のようにつくられる食材とか…。

    “産業文明から農耕、狩猟採集文明に逆戻りすることは不可能ではあるが、農耕、狩猟採取の知恵を捨て去るべきではない。”

    読むとお腹が空いてくる。
    美味しいお酒を飲みたくなる。
    ひと手間かけた料理を丁寧に作ってみたくなる。
    とりあえずしめ鯖を千枚漬けに挟んで食べてみたい。←全く手間なし。

  • 島田雅彦のエッセイ。グルメエッセイかなと思って読み始めましたが、一概にそうとも言い切れず、読み終えてから(さすがは作家、内容にぴったり合ったタイトルをつけるものだ)と思いました。

    「おいしい、幸せ」という雰囲気を伝えてくれるのがグルメエッセイだとすれば、この本は正確には該当しません。
    幸福感よりも飢餓感、食に対するすさまじい執念のようなものを感じます。
    軽妙な文章でアレンジしているため、楽しく読み進められますが、時々垣間見られる食欲へのこだわりの強さには圧倒されるばかり。
    自分の執着心をあまさず表しているところに、作家ならではの潔さも感じますし、上手な文章に乗って、一気にするする読めます。
    そして読み終える頃には、おなかいっぱいになっています。

    とはいえ、食べることばかりに拘っているわけではありません。
    さまざまな雑学も披露され、うんちくも学べます。
    例えば力士は四本足の動物よりも鳥肉を好むそうですが、それは低カロリー高たんぱくだからというわけではなく、土俵に手をつくことを嫌っているからだとのこと。
    栄養よりもまずはゲン担ぎなんですね。

    ジョン・トラボルタがスパムが大好きなあまり、娘に命名したという話にはビックリ。

    「攻撃人間を作るには、安眠と食事を奪ってしまえばよい」とする一方で「断食は味覚のリハビリテーションになる」とも考える筆者。
    子供の頃は偏食だったそうですが、今では来るもの拒まずで何でも食べられるようです。
    本州にとどまらず、台湾や沖縄での料理紀行の話も載っていましたが、専門的すぎてどんな食材なのか見当がつかないほどでした。
    改訂版が出る時には、掲載料理の写真も載せてもらえれば嬉しいものです。

    クールな文体から、霞を食べていそうなイメージを持っていただけに、意外な食礼賛本でしたが、(ああ、この人もちゃんと人間らしい食欲を抱えているんだ)と以前よりも親しみが感じられるようになりました。
    瀬戸内寂聴とすっぽんを食べた話が、個人的には一番ツボにはまりました。
    いろいろな食べ物が紹介されて目が周りそうですが、とりあえず機会があったら、イタリアのクノール・リゾットを食べてみたいと思いました。

  •  おそらく多くのグルメ本は、いかに美味しそうに記述するかにポイントを置いているでありましょうが、本書は最初からそこを放棄しているように思える。
     紹介されるどの食べ物も、そんなに美味しそうじゃないのだ。
     しかし、食に対する「業」の深さがビシビシと伝わってくることで、やっぱり読んでいて何か美味しいものが食べたくなってくる。
     そしてそれだけでなく、自分も食について何か語りたくなってくる。

  • ちょっと読むのは興味深いのですが、全部読むとお腹一杯。食傷気味です。作者の食に対する姿勢は好きです。

  • レシピとしても使えるエッセイ。「フォアグラを食い過ぎて健康を害する人はガチョウに復讐されているのだ。オレを食って死ね!」(p36)に爆笑。

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著者プロフィール

島田 雅彦(しまだ まさひこ)
1965年東京都に生まれ、東京外国語大学外国語学部ロシア語学科卒業。1983年在学中『海燕』掲載の『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビューし芥川賞候補。1984年『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞受賞。『僕は模造人間』(1986年4月)『ドンナ・アンナ』(1986年9月)『未確認尾行物体』と、郊外の新興住宅を舞台にした若年層の生活を、奇抜な語彙を用いつつ軽妙な筆致で描く作風で、新世代の作家として注目を浴びる。1987年までに6度芥川賞候補となり最多候補記録。1992年『彼岸先生』泉鏡花賞受賞。『忘れられた帝国』(1995年)、『自由死刑』(1999年)2003年には「自らの代表作とすべく書いた」という『無限カノン3部作』(『彗星の住人』『美しい魂』『エトロフの恋』)を完成。2006年『退廃姉妹』で伊藤整文学賞受賞、2008年『カオスの娘』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2016年、『虚人の星』で毎日出版文化賞受賞。1998年近畿大学文芸学部助教授に就任。2003年法政大学国際文化学部教授。2000年から2007年まで三島由紀夫賞選考委員、2010年下半期より芥川賞選考委員となる。

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