- Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062121637
感想・レビュー・書評
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(2004.06.01読了)(2004.03.06購入)
池田晶子の本を始めて読んだのは、「死と生きる 獄中哲学対話」です。死刑囚との往復書簡で、自分の頭で考え始めた死刑囚の疑問に答えるというような本だったように思います。
割と興味深く読めたという印象が残ってます。それ以外の本もそれ以来読んでますが、あまり印象に残るものではありません。既存の哲学書など読まなくていい。自分の頭で考えなさい。と、何度も書いてあったような気がします。
池田さんの説明は、残念ながら分かりやすいものではなく、こんな事はこうなのだからあれこれ言わなくても分かるでしょう。私は分かるわよ。という感じの書き方が多くて、割と置いてきぼりを食ってしまう。「14歳からの哲学」は、本人も分かりやすく書いたといってるようで、評判がいいのだが、あいにくまだ読んでいない。
この本は、小林秀雄の「考えるヒント」からタイトルを借りて、池田晶子が同じテーマでつづったもので、ところどころに小林秀雄の文章が、はめ込んである。
この本を読むための準備として、「考えるヒント3,4」を読んだけど残念ながら関係なかった。
池田さんは、文章のスタイルも小林秀雄のものを真似たといっているのだが、残念ながら、小林秀雄の文章から響いてくるような何かは、池田さんの文章からは響いてこない。
池田さんは、明示しなかったらどこが小林秀雄で、どこが池田さんか区別できないだろうと自信満々だが、6割以上の確立で区別できそうに思う。
●学問
「小林がなぜ学者ではなく批評家であったか」「哲学、科学、文学、そして歴史と、広範な知識と教養を有しながら、学問の方法と言葉によらず、しかし、いやだからこそ最もふかく思索しかつ表現しえたのは、現代では私の知る限り小林秀雄だけである」
(「近代絵画」、「ゴッホの手紙」、「モオツァルト」、「ドストエフスキイの生活」と言う具合に、絵画、音楽、文学と幅広い分野について論じているのは、確かに小林秀雄のみかもしれない。絵画と音楽なら、吉田秀和がいる。)
●考えるということ
「先日、私は、中学生向けの哲学書を上梓したが、専門用語はたった一つも出てこないものである。哲学者の名前も全く無い。必要が無いからである。生活常識を感じ、驚き、これについて考えるという基本的な思惟の営みに、専門用語も哲学者の名も、全く無用だからである。子供とは、この世に生まれて、これに驚くことの出来る最初の人である。彼らは、常識を知り、これに驚く。なぜあるのか。あるとはどういうことなのか。哲学の原点である。本物の哲学者の思惟の原点は必ずここである。」
(須賀さんの「遠い朝の本たち」のなかに小学校の5,6年のころ「「私」という言葉が、ものを書いたり、言葉を話したり、歩いたり、笑ったりしているこの自分全体を指すのだということに気付いて、それをまるで重大事みたいに、凄い、凄い発見しちゃった、と騒ぎまわっていた」という文章があった。いろんなことを考え、いろんなことに驚きながら人は成長する。)
☆池田晶子さんの本(既読)
「オン!」池田晶子・埴谷雄高著、講談社、1995.07.07
「悪妻に訊け」池田晶子著、新潮社、1996.04.25
「メタフィジカル・パンチ」池田晶子著、文芸春秋、1996.11.20
「さよならソクラテス」池田晶子著、新潮社、1997.12.10
「残酷人生論」池田晶子著、情報センター出版局、1998.03.20
「考える日々」池田晶子著、毎日新聞社、1998.12.25
「死と生きる 獄中哲学対話」池田晶子・陸田真志著、新潮社、1999.02.20
「2001年哲学の旅」池田晶子・永沢まこと著、新潮社、2001.03.30
著者 池田 晶子
1960年 東京生まれ
慶應大学文学部哲学科卒業詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
考えるひとについて考える
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この人のこと、私好きなのか嫌いなのか未だにわからない。考えることそのものについて考える、人生を考える。部分的に気に入らないことはあっても、全体的には感心すること、新鮮なことの方が多かったかな。
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考えるということ。この本から〜ということ、というスタイルを得た。
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今回読んだのが2度目だがやっぱり難しい。
でも1度目より少しだけ筆者の伝えたいことを
感じることができた。