- Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062121859
作品紹介・あらすじ
祝!なんと落語立川流20周年。「落語家の了見」。最初で最後か、の大饗宴!家元+37人が勢ぞろいして語り尽くした本。
感想・レビュー・書評
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いまさっき、悲鳴とも雄叫びともとれる、キャーッ、とか、ウワーアッ、とかいう、意味不明のわけのわからない、声とも音とも判別がつきかねる、断末魔の絶叫に似た呻き声を、ひとしきり発したのは、私です。
恐れていたことが来ました、とうとう、ついに。
わが革命的唯我独尊落語家の立川、談志が死んだ、のです。
頭の中を走馬灯のようによぎってきます。
身体をゆすって心の底から爆笑する笑顔、口をひしゃげて憎々しげに毒舌を吐く真顔、落語や芸について真剣を抜いて斬りかかってくるような真摯で高邁な殺戮的な精神、嫌味でいて猫可愛がるそのあっけらかんとした心根などなど、直接会って話した思い出深い時間も、つい昨日のことのように思い出されます。
残念ながら、彼を失って彼を継ぐ者がいないいま、落語はただのお笑いの一部で、よく理解できないけれど落語好きだというファンが増大していくとしても、衰退・堕落するしかないと思います。否、どだい立川談志というひとりの落語家が存在したこと自体が、奇跡だったといってもいいことかもしれません。
連綿と続いてきた粋(いき)や粋(すい)を愛好する通のご隠居さんや、日頃の鬱憤をはらすために寄席に通う落語好きのひとたちに細々と支えられた落語を、演劇的で現代批判に富み、人間的魅力に溢れた新生落語として広汎に伝播する可能性に満ちていたことが、すべては立川談志というひとりの落語家がいなくなったことで水の泡です。
私、いまから当分のあいだは、何百枚とある談志全集をはじめとするCDやDVDを、聴きまくって見まくって、喪に伏します。 -
「談志が死んだ」ので改めて読み返した。談志の生の高座は聴いたことはないので、本来談志を語る資格はないのかもしれない。ただ、CDは聴いているし、談志の書籍やその他落語関係の雑誌などで、談志の発言はたくさん目にしており、談志の死に思うところがあるので、備忘のためコメントを残す。自分が談志について受ける印象は、以下のとおり。
1 志ん朝を人物描写ができていないなどと酷評したが、結局のところ、志ん朝にコンプレックスがあった(志ん朝死亡時のコメントに顕著)。一方、志ん朝は談志の存在をそんなに気にしていない。
2 寂しがりやであり、自分を奉る弟子(志らく・談春など)、評論家(吉川潮)、有名人(たけし、高田文夫、爆笑問題)などを侍らせて、終始、自分の存在確認をしていた。
3 師匠である小さんには、甘えすぎるほど甘えすぎていた(「自分に頭を下げて協会に戻ってこいといわなかった小さんが悪い」との発言など)。
4 破天荒な「志ん生」に対する憧れがあり、高座をすっぽかすなどの行動をとったが、志ん生が無邪気であるのに対し、談志は頭がよすぎるので、志ん生とは違い、自己顕示欲の発露にしかならなかった。
小三治が談志の死にあたってNHKに述べているコメントは、小三治らしい率直さと含蓄があり、「なるほど」「さすが小三治」といいうるものであり、まさにあの発言に談志のこれまでが集約されるように思った。小三治が述べているように、談志は、他人の落語や落語に対する価値観を認めていなかった。「落語は業の肯定である」「イリュージョンである」と述べ、これに反する落語は、徹底的に攻撃した。それは落語に対する談志の尋常ならざる愛がさせたものであろうが、その点が、談志について自分が一番違和感を感じる部分である。落語はもっと懐の深いものではなかろうか。
というわけで、自分は、率直なところ、談志に対して肯定的ではない。ただ、文筆家としてあれだけの書籍をものにし、古い落語界の様子、特に古い色物や芸に暖かい目を向け紹介しようとしていた功績は素晴らしい(「談志楽屋噺」「談志百選」)。志の輔・談春などの弟子を育て上げた功績もたいしたものである(志ん朝・小三治はなしえていない)。また、談志が、否定的なものであれ、肯定的なものであれ、その胸を騒がせ得るほどの存在感を持った奇才であることも、疑いようがない。それらの点において、談志が亡くなったことは残念に思う。
それにしても、小林信彦は、談志の死にコメントしないのだろうか・・・。 -
腰は低く、頭は高く
周りとのバランスより、栄養のバランス -
「談志が死んだ」という表題をみて、立川談志が死んだ後での弟子たちの話かと思ったら、そうではなかった。死ぬ前の本だった。これも「シャレ」というものなのだろうか。
「落語」はたまにテレビ・ラジオで聞く程度、寄せに行ったことは過去1回だけだから、落語についてはほとんど知らないが、一応「伝統芸能」でもあるし、「文化・教養」として読んでみたが・・・。
本音を語る「落語家」という人種は、一般社会で通用する常識とはまた違った次元で生きていると思えた。また、それでも「生きられる」人種といってもいいのかもしれない。
知らない世界を知ることができることが読書の醍醐味だとすれば、本書もまたその一つであることは間違いがないのだが、どうもこの世界は「すごい社会」であるとしか言い様がない。
これが「芸人の世界」というものなのだろうが、あまり関係を持つ気にはならない世界だと思った。 -
新聞の見出しにもなったこの本の題名。
自ら付けたという戒名に思わず笑ってしまった。
死すら洒落にしてしまうヒトなんてそうそうおらんのやないか。 -
いかにも立川流だから書ける、企画できる本ですね。でも本当に談志後は、どうするのだろうか。今の活動を見ていると必ずしもまとまる必要はなく、緩やかな集まりでいいような気もする。
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最近よく聴きに行く立川流の落語会、ここに書かれていることを基礎知識として知っておけば、よりよく楽しめる。書かれた時期はちと古いけれど、まだ談...最近よく聴きに行く立川流の落語会、ここに書かれていることを基礎知識として知っておけば、よりよく楽しめる。書かれた時期はちと古いけれど、まだ談志師匠はご健在で何より。2010/02/15
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立川談慶真打昇進記念パーティーで、家元と写真を撮ったぜ。おまけに家元から名刺も頂いた。“金日正万歳”って書いてあったよ。(笑)
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家元と一緒に生きてみたい!
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読みごたえたっぷり。
新年のごあいさつにおじゃましました。
談志さんのところにコメントしておきます。
ワタクシもファンでした。
また、...
新年のごあいさつにおじゃましました。
談志さんのところにコメントしておきます。
ワタクシもファンでした。
また、ときどき、みせていただきますね。
良い年にしていきましょう。