生まれる森

著者 :
  • 講談社
3.31
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本棚登録 : 1293
感想 : 222
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062122061

感想・レビュー・書評

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  • 辛口評価かな。
    読むのは苦痛ではなかったので★★★
    くらいでもいいんだけど・・・

    島本理生の作品は結構好きなんだけど、
    なんか、この作品は
    淡々としすぎていて、
    (そういうところが島本作品の雰囲気として
     好きな部分でもあるんだけど、)
    あんまり、心に響く部分がなかったなぁ。

    多分、ちょっと経ったらどんな話だったか
    忘れそう。

    そんな作品でした。

  • 静かに時が流れる中で様々な愛に触れ、少しずつ変わっていく少女の姿を描いた物語。

    透明感がある雰囲気の中で紡がれる文章が、重くなく瑞々しい。

    ページ数は多くないのでスラスラ読めるかと思ったが、実際はその透明感がある雰囲気にゆっくりと熟読してしまった。
    初めて読んだ島本理生作品一冊目で、世界観に巧く入り込んで読むことができました。

    この物語の雰囲気が好きです。

    そして雪生が…素敵だ。
    私も雪生みたいな素朴で聡明な人が側にいてくれたら…と考えてしまう。
    ただ、側に寄り添ってくれるだけで救われる。
    この雪生の人柄が好きです。雪生の妹・キクちゃんも好き。
    登場人物全員がどこか…透明感があって愛が溢れている。
    登場人物たちにハズレがない。
    そして物語構成に無駄が無くシンプルなのに、胸に突っかえる痛みを少しずつ溶かしてくれます。

    1つのきっかけで少しずつ変わっていく少女の姿が「再生」を描いているなら、
    この「生まれる森」というタイトル名が、儚くて愛おしい。

    タイトル名にピッタリの物語でした。

  • P115
    「幸せにしたいと思う事は、おそらく相手にとっても救いになる。けど、幸せにできるはずだと確信するのは、僕は傲慢だと思う。」


    あとがきに
    誰かを救いたいと思うこと。その相手の手を放すか、それとも掴むのかの一瞬の違いが恋愛の残酷さである。
    中略
    実際にそうするかは本人次第だとしても、だれもがかならず最後には森から出て行くことができるはずだと私は思っている。


    なんかあとがきが一番好きだな。
    野田ちゃんのサイトウサンって恋愛だったのかな。雪生も恋愛なのか?
    島田さんも最後にこれは恋愛小説なのか、という疑問を口にしていたけれど、読んで思う事は恋愛の苦しさではないのかな、と思ってしまった。

    でも、森には入り込んで彷徨った人には、野田ちゃんもきくちゃんも雪生くんも優しい人だな、と思う。きくちゃんが一番健全で好きだな。健全な人がいると、ホッとする。でも最後の島田さんのあとがきも健全。自分から森から出て行くことができると私も信じたい。

  • 私はもしかしたらサイトウさんに近いのかもしれない。

    奥のほうに抱えた強い不安が1番身近な人間の心を容赦なく揺さぶる。

    私のそばにいる人は私の抱える負の部分の重たさに、苦しんでいるかもしれない。

    それを受け止めてそばにいてくれた彼は、なんて大きな人だったのだろうと思います。


    キクちゃんや雪生さんのように、救い出してくれる人がいるって幸せなことですよね。

    苦しくてどうしようもない時は、現実から離れて自然に触れたり、外国に行ったりそんな逃避が必要だってことに共感しました。

    悩みから心を離す時間を作らないと潰れてしまいます。

  • 2022.1.30-487

  • ドロドロしたものが読みたくて、島本理生さんの本を選んでみたけど、意外と明るい展望で終わりました。

    雪生、頑張れ!

  • 島本作品の良くも悪くもパターン的な展開。ただ、比較的明るい物語。

  • H20/12/9読了

    話自体は前2作品と似たような感じで思うようにならない恋を綴ったもの。
    割と単調なのにサクサク読めてしまうのは、読みやすい文章と名言のためだと思う。
    特にp129のことばは重なる部分が多い。
    p152「変えられない事実」のくだりも励まされる?島本さんの言う通り「そこから出たいと願う人」のための作品。

  • 最近気になって読んでいる島本さん。

    つき合っていたサイトウさんと別れて無茶して望まない結果を生んで。。。
    何かを抱えた女子が主人公が出会うのは、同じく傷や闇を抱えた男子、と言うのがほどんどな気がする。
    そりゃ、皆抱えている物はあるだろうけど、ともすれば共依存でしかないような関係。
    だけど、最後には希望が見えた。
    本当に二人には幸せになってほしいな。

  • 島本理生さんの作品に出てくる人は、闇を抱えた不安定な人が多い。
    たまに読みたくなる作家さんです。
    この作品のストーリー自体はそんなに…。

  • 同じ作家やからナラタージュとかぶる部分が残念。

  • さっぱりと淡泊にかかれてたから読みやすかった。読んでて少し苦しかった。ゆっくりと深い森に入っていくような感じがした。

  • 大学生の主人公「野田さん」(彼女の下の名前は出てきただろうか)が予備校講師サイトウさんへの未練を思い出すストーリー。
    お互いのために別れて、好きだという気持ちが過去のものになっていても、後悔や痛みだけが恋の証明のように残る。

  • この作品を読んでいる間、すごく息苦しくて、小説の一説にあった"深い森に沈んでいく"感覚に、終始支配されていた気がする。
    高校生の時に読んだ時は分からなかったことが、今回改めて読み返してみて少しだけ分かった気がした。

  • サイトウさんみたいな人には恋したくない。後半ひたすらそう思った。
    そして、愛されている、ということを実感していたいとも思った。

    それでも、学生時代憧れたかもしれない、と。そして、周りにも実際いたよなあ、とか。

  • 失恋でボロボロになった主人公が再生していく話。
    どの登場人物も苦しい思い出があって、全体的にトーン暗めなんだけど、島本作品の中では明るめかな。

  • 2012.10.24読了。ものすごく淡々と進んでいって、それが島本理生なんだけど、妙にしっくり来なかった。主人公が忘れられない、だけど会うのを拒絶してしまう過去の?想い人、サイトウさんの魅力がイマイチ伝わって来なかったし。雪生さんは素敵だった。
    『誰かを幸せにしたいと想う気持ちは相手にとっても救いだと思うけど、幸せに出来るハズだ、と確信することは傲慢だと思う』みたいな雪生さんのコトバにハッとした。

  • 島本理生さんの書く話の主人公は不安定な人が多い。

    今回も、明るいかんじの文体では無かったですが、
    野田ちゃんと雪生さんの進展が気になり、すいすい読んでしまいました。

    出てくる人全員、人間味があって
    そして最終的には(どちらかというと)ハッピーエンドな雰囲気に
    なるのが良かったです。

    今の時点では、島本理生さんの作品で一番好きかもです。!

  • 恋と呼べるものだったのか。
    わからないけど、ただ苦しい。
    そんなまだ若い女の子の物語。

  • まさに島本理生さんの小説。30分で読んでしまった。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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