牛乳の未来

著者 :
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本棚登録 : 33
感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062122986

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  • 少し前にテレビで、牧草を食べて育つ牛の牛乳にはオメガ3が多く含まれているが、人工的な飼料で育つ牛の牛乳にはオメガ6の割合が多くなるというのを見て、今、日本の牛乳はどうなっているのか、と気になった。

    テレビで知ったことについては、書かれていないが、牛乳つながりで、読んでいる途中で放り出していたこの本を思い出し、再び手に取ってみた。

    現在の牛乳は、栄養素が一定量以上含まれるようにするために、牛の乳量を増やすために、飼料などが配合されているそう。
    狭い牛舎で管理され、運動不足になり、ストレスもたまり、人工的に管理される牛は、ストレス、無理な搾乳調整などで、本来生きられる年月よりかなり短い一生を終えるとのこと。


    放牧、産地酪農の可能性をこの本では語っている。
    確かに、自然に任せるので1頭あたりの乳量は少ない。でも、放牧された牛はストレスなく暮らせ、長生きするため、次々に新たな牛を迎えることもなく、フンも牧草地にするため、自然の肥料になる。
    放牧して育てる牛の牛乳を売って得るお金は人工的に管理された牛のものより少ないけれど、生きるサイクルの早い牛や飼料の買い付けにかかるお金が無くなり、牛舎のフンの始末餌やりに酪農家が時間を煩わすことなく、人間も牛もストレスなく生きられる、と。

    ただ、こういった酪農を志し、これまでに数百人にわたる人たちに牧場を解放し、研修を受け入れたのに、みなあきらめてしまうのはなぜなのか。

    ここに出てくる斉藤牧場のように、すべてを自然に任せるのは、難しいのかも知れない。
    山地を開拓し、苦労を強いられてきた人だからこそ、できる業なのか。
    一方で、試行錯誤しながら、うまく自然な放牧スタイルを取り入れながら、各々に合う方法を見つけて成功している人もいる。

    何が正解なのかは触れていないが、牛乳も管理しすぎるとまわりまわって、育てる人にも、消費者にも、良い影響を与えないのかも知れない。

  • 進路支援図書「シュウカツの友」
    2009/07/08更新 011号 紹介図書
    http://www.nvlu.ac.jp/library/friends/friends-011.html/

  • 酪農という業種は、大自然に抱かれて何かとてものびのびと働いているような健康的なイメージがあるが、そこにもかなり過酷な現実が横たわっている例が少なくないことを知らされる。高額な機械の導入や設備投資、輸入飼料の購入、規模の拡大、効率の追求による労働負荷の増大といった、絵に描いたような負のサイクルが頻出する。自然に逆らわず、損なわず、むしろ人間が手をかけることを減らすことで、利益率と品質を向上させている著名な酪農家でが何人も登場し、淡々と自らの試行錯誤と信念の歩みを語っているが、それがなぜ、稀有な成功例ということにとどまり普及をしていかないかということに、問題は集約されている。
    本書の大半は聞き書きという手法でつづられているので、まさに目の前で語りかけられているような臨場感と、方言交じりの本人の言葉づかいが温かい。

  • 聞き書きドキュメンタリーの手法を通して、食糧安全保障の問題を酪農従事者の目線から世に問うたもの。山地農法で神とも謳われる旭川・斎藤牧場の斎藤晶氏の生き方と酪農法を物語の“フック”とし、その賛否と他の酪農家(族)それぞれの人生の綾を描き出すことに成功している。食の生産現場が抱える問題点を知る上で『草の牛乳』と併せて必読の書。「一頭の牛から少しでもたくさんの乳を搾ろうとする一般酪農のやり方にいは、『お金を払って飼料を購入する』『それを人間が運んで食べさせる』『たくさん食べた牛がたくさん排泄した糞を始末する』という二重三重のお金と労働力がかかっているのだ。」(p.210)

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