猫舌男爵

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 341
感想 : 76
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062123273

作品紹介・あらすじ

棘のある舌を持った残虐冷酷な男爵が清純な乙女を苛む物語。

感想・レビュー・書評

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  • 5つの物語からなる短編集。
    所々、残酷であったりグロテスクであったりするが、この世界観が嫌いじゃないなぁと思ってしまう。
    「水葬楽」や「睡蓮」のような、切なくて少し暗めのぼんやりした耽美な感じが特に良かった。表題作の「猫舌男爵」は主人公のポジティブさに思わず笑ってしまう一作。

  • 難解。難解。超難解。
    正直僕レベルの頭ではまったく理解できなかった。
    と言っても過言ではない。
    もっとこれを読めるレベルに達してから読まないとね。
    とはいえまったく理解できないながらも、この本が面白いであろうと言うことはなんとなくわかった。
    「水葬楽」と「オムレツ少年」は単純に面白かった。理解できてないけど。
    「猫舌男爵」はもっと文学的知識があったら爆笑してたんじゃないかな?
    「睡蓮」と「太陽馬」はなんか面白い気がする。という感じ。
    不思議な本だった。
    まあまったく理解できていないんですけどね。

  • 皆川さんはいくつもの顔を持つ、と思う。芯の部分は同じなのだけれど、実に鮮やかにいろんな作品を違った雰囲気で書く。
    どんなに残酷なシーンが書かれようと、皆川さんの文章はつややかでお上品だ。お上品さと残酷は時に何とも言えない狂気と色気を生み出すし、お上品さと滑稽味はちぐはぐなギャップが滑稽さを倍増させる。
    皆川さんファンならこの短編集は読むべきだ。彼女の持つ妖しさや滑稽さがたんと詰まった短編集。短篇集の常套句「珠玉」なんてきれいなものではないけれど、なにか缶に入ったドロップのような楽しさがある。甘いイチゴ味かと思ったら割れたハッカ飴のかけらがついていたり…。

    「水葬楽」:連綿と続く血脈。今は死は苦しみではなくゆったりとした音楽を聴きながら溶けていくものになっていた。
    和風SFっぽい未来の設定とうえっと少し思うようなグロテスクさに戸惑うが、それでもすさまじい魅力があることには変わりがない。恐ろしい。皆川さんの文章のもつ妖しさが活かされた作品だ。

    「猫舌男爵」:山田風太郎に感銘を受けた外国人ヤンがハリガヴォ・ナミコの短編「猫舌男爵」を翻訳するのだが…。
    何かがオカシイ。雪山の上を転がる雪玉のように、あちらこちらへ向かう文章に笑ってしまう。ヤンほどではないにしても往々にして勘違いや早とちりをして、思わぬ展開を迎えることもあるのだから。拷問道具の説明なんて、グロさもあるがもうさすが皆川さんって感じ。ハリガヴォ・ナミコはアナグラムってところもまた遊び心がうかがえる。面白いぞ。

    「オムレツ少年の儀式」:オムレツ係になった少年の経緯と、母と居候先の靴やの男との関係は――。
    悲惨な少年の話か、彼の成功譚になるのか、と思っていたら予想を裏切る皆川さん的ブラックな展開に。こうひっそりとした――何食わぬ顔の裏に隠れる狂気を書かせたら天下一品。

    「睡蓮」:早熟の天才画家ともてはやされた画家の栄光と没落を現存する記録から読み取る。そこには驚くべき事実が――。
    ミソは逆行する時間。初めはページ順に読んでいって、読み終わった時に後ろから読み返したくなるほどだ。こういう作品も書ききってしまうところに皆川さんの試みとたくらみと巧さを感じる。

    「太陽馬」:特別なある種選民的な赤コサックはナチスドイツ軍と対立し、追いつめられていく。残った五人がとった行動は――。
    お得意の伝奇的幻想的な設定を、こう妖しくぐつぐつ煮詰めて粉々に混ぜ合わせ溶かして全てを蒸発させたようだ実に皆川さんらしい。ところ赤コサック、白コサックって実在したのか?

    共通点としては戦争が関係あるってところか。皆川さんだもの。
    この独特の皆川ワールドは実に依存性があるな。

  • 初皆川博子作品。

    とりあえず表紙の猫がかわいいよね。

    「水葬楽」なんか私的にイメージが「ポーの一族」だった。いや全然違うんやけど。ミステリアスな雰囲気が。あと男の子と女の子がでてきたからかな。この作品の時点でぐいぐいひっぱるような感じだった。
    でも「猫舌男爵」は全く笑えなかったし、面白くなかった…。
    「オムレツ少年の儀式」は最後にちょっと驚いたかな。
    「睡蓮」はこの中で一番のお気に入り。
    手紙や日記や新聞記事でどんどん過去へさかのぼっていってわくわくした。
    「太陽馬」は正に現実と虚構が入り混じって不思議だった。というよりついていけなかったところも。
    でもロシアの話がすごく現実味を帯びていてロシア史を知りたくなったくらい。

    なんか皆川さんの描く幻想は曖昧な幻想だけで終らせなくって、しっかりしているというか、文体がふわふわしていなくて安心して読めるなという印象。雰囲気で終わらせない感じというか。いやはや面白かった。これはいい。

    皆川ワールドをもっと広げたいね!

  • 短編集。「オムレツ少年の儀式」は神業的な短編だった。
    「睡蓮」もよかった。時系列が逆になっていて、何十年も精神病院に入りっぱなしでやつれた老婆になってしまっている、そのきっかけというか根源に辿り着いたときはなかなか爽快。これ、順列だったら陳腐になる。皆川博子さんの技が好きです。

  • 今まで何読んできたんだっけ…と思わされるすごいよこれすごいよー。純文以外はマンガのようなものですよフフン等とのたまう全ての井の中の蛙へ。ブラボー。表題作の猫舌男爵はヤマダフタロを読みたくなる。皆川さんって70歳超してらっしゃるのか…半端じゃねぇ。

  • 読んでいくうちに、舞台が近未来で主人公達は体が結合して生まれた奇形の兄妹だと分かり戦慄する。命を大事にしすぎる現代への皮肉か。皆川博子作品にはシャム双生児が多く登場する。(第一話)
    最終話のロシアのコサック兵の物語も忘れがたい。

  • 5話からなる短編集。

    哀しい女性画家「睡蓮」が良かった。

  • 読後感がフリークスとか深泥丘奇談のような感じかな〜。不思議で不気味で美しくて少し悲しい?
    描写も雰囲気も好きだけどあまり理解は出来なかったので「なんかわからないけどそういうもの」として読み終わった。
    内容と関係ないけど表紙がとてもかわいい!

  • 短編集。ゾクッとする話が多かった。
    「猫舌男爵」だけがコメディ。

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著者プロフィール

1930年旧朝鮮京城市生まれ。1973年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で日本推理作家協会賞を、『恋紅』で直木賞を、『薔薇忌』で柴田錬三郎賞を、『死の泉』で吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出される。

「2021年 『OTOGIBANASHI』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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