野川

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 54
感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062123419

感想・レビュー・書評

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  • 読みながら少しずつ書いてみる。

    独特の音感と広がり。慣れるのに時間がかかりそうだ。
    文体が素晴らしい。研ぎ澄まされているという感はない。さらりとしていながら、深みがある。密度の濃い言葉の束、隙間なく並べられた感応の全てに、息もつけない。
    気まぐれに散り散りになってしまうようでいて、案外破綻してしまわないのは、卓越なる感性と言語感覚のおかげか。

    しかし、本当の意味で味わうには私は若すぎるとも思った。
    人生の黄昏を迎えた人間にか表しえないような表現と感覚。
    掠めるような死の気配がしている。
    現在と過去の境界が曖昧な、あわいのような「いま」は幻想めいてゆく。

  • 古井由吉を読んでいると心が落ち着く。この落ち着き方は、例えば宇宙や世界に対して書かれた書物を彷彿とさせる(私がそういった分野で読むのは哲学書や物理学の入門書程度なのだが)。それは多分に古井が照らす世界が世俗的なものを軽々と超えた崇高な次元に存在するからなのかもしれない。だがその一方でこの作者は世相を睨みつけているとも思われる。バブル景気から湾岸戦争へと時代は目まぐるしく変遷するが、その中にあって名もなき市井の人々がどのように深層で時代を受けとめ、その中で生き延びていたかを古井は描いているのだ。アクチュアル

  • 自分も他者もみはるかす、時間も超える。他者の過去も自分がはらむ。言葉じゃないものと言葉の境目を見つけるごとに少しふるえる。

  • 「野川」(古井由吉)を読んだ。もはや怖さをすら感じる凄味が骨にまで浸みこみ凍えた私は思わず泣きそうになる。生者と死者が生も死もなく交じり合う極限の世界に迷い込む。この二ヶ月の間まるで熱にうかされたように古井氏の本を立て続けに四冊読んだことになる。これほど濃密な読書時間は初めてだ。

  • 那覇などを舞台とした作品です。

  • (メモ)「本」2004.6 著者の文章、在り

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著者プロフィール

古井 由吉(ふるい・よしきち)
1937年東京生まれ。68年処女作「木曜日に」発表。71年「杳子」で芥川賞、80年『栖』で日本文学大賞、83年『槿』で谷崎潤一郎賞、87年「中山坂」で川端康成文学賞、90年『仮往生伝試文』で読売文学賞、97年『白髪の唄』で毎日芸術賞を受賞。2012年『古井由吉自撰作品』(全八巻)を刊行。ほかに『われもまた天に』『書く、読む、生きる』『こんな日もある 競馬徒然草』など著書多数。2020年2月死去。

「2022年 『連れ連れに文学を語る 古井由吉対談集成』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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