あやまち

著者 : 沢村凜
  • 講談社 (2004年4月24日発売)
3.26
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062123433

作品紹介

男と女、とり返しのつかない瞬間!プレ「引きこもり」の女性が恋した男には秘密が。ファンタジー大賞受賞者初の書下ろし恋愛小説。

あやまちの感想・レビュー・書評

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  • 私が去年の読書の中で、一番衝撃を受けたのが、沢村さんの「黄金の王 白銀の王」。国のために自分を押し殺し、理不尽な扱いにも耐え、自分のなすべきことを為す、静かでありながら力強い物語。これと同時期に読んだ「瞳の中の大河」も、女性が書いたとは思えないような、骨太で大人のファンタジーだった。

    一転、この「あやまち」は、ミステリー要素もあるラブストーリー。女性の一人称で淡々と綴られていく。

    東京の、周りの人には干渉しないく術を空気のように身にまといながら、日々を平凡に生きる女性が、地下鉄の階段を毎朝一緒に歩く人を意識し、あるきっかけから徐々に近づいていく。
    その流れはとてもよかったのだけど、主題がタイトルにもある「あやまち」の真相がちょっとインパクト弱い気がした。
    その真相こそとても重要なポイントになるはずなのだけど。
    やっぱり、沢村さんにはまたズドーンと重いファンタジーを期待したいな。

    読んでて面白かったのが、主人公の編み出した、新聞の社会欄にある卑小で卑劣な事件の数々を読んでの「メンタル占い」。(ストーリーの中では重要な位置づけでもないのだが)

    ・被害者に同情してつらい気持ちになる場合→精神状態は良好。さらに、絶好調なら加害者に憐れみまで覚える。新しいことにチャレンジしたり積極的に外出するのが吉。

    ・こわいなぁ、と警戒心が先に立つ場合→気弱にみえてその実、恐ろしい現実を直視できる「強い私」がいる証拠。何事も堅実にこなしていける。

    ・ほとんど何も感じずに淡々と読み直す場合→要注意。無気力は落ち込みの前段階だから、食事に行ったりショッピングに行くなど楽しい刺激を自分に与えて手当すべき。

    ・理不尽な犯罪に対して怒りやいらだちばかり感じる場合→ストレスがたまっている。カラオケやスポーツでの発散が必要。

    ・どんな事件も「ふん」と鼻であしらってしまう場合→気分はかなり落ち込んでいる。気持ちをこれ以上追い込まないように気を付けながら、じっくりと自分を励ますべし。

    そして、自分より生きる価値のない人がいると知って、「ほっとするとき」。

    それは自分が生きていること自体が無駄に思えてしまっているとき。こんなときは、静かに深呼吸して、ゆっくりとコーヒーを飲んだり外の青空を見つめながら、自分の長所を数えてみる。仕事があること。借金も警察にやっかいになることもないこと。とりあえず健康でいられること。働いて税金をおさめて自分の稼ぎで生活していること。じゅうぶんなんだと思ってみる。

    なるほど。そういえば、新聞や本を読むとき、どういう状態のときに読むのかによって、(極端に言えば朝読むのか夜読むのかでも、)読んだ後の感想が違ったりするっけ。
    このメンタル占い、今度ためしにやってみようと思った。

  • 恋が始まる瞬間は、ひとそれぞれでしょうけど、この物語の恋が始まる瞬間も、読む人によって違うんじゃないかと思います。



    帯 ”本物の恋はきっと、言葉を交わす前に始まるだ。相手が近くに立ったとき、顔も見ることなく、気配だけで、もうとらわれているのだ。頭で理解するのは、ずっと後だとしても。(本文より)”



    いやー、恥ずかしい話ですが、今わたし、某お笑い芸人さんにはまってしまって、大げさにいうと恋に近い懐かしい感じでいます。



    うれしいですね、この年齢になると。



    で、表面(てれび画面のこと)上だけで、楽しめればいいので、ほんっとに楽な恋しさです。



    この本を読んで、ちょっぴり切なさも呼び起こされました。

  • 一組の男女が出会い、距離を詰め、恋人になり、別れるまで・・・を主に女性の視点で描いた物語。世界はとても狭くて、男女のほかには女性のメール相手と尾行してくる謎の男ぐらい。
    出会い方はある意味ロマンチックなのに、男性の過去の「あやまち」が明らかになったことで女性は動揺し、なにか言うべきだったのに・・・という「あやまち」をおかして二度と会えなくなってしまう。
    気持ちの中になにか残ったか・・・というとそうでもない。でも終わり方には妙に納得した。一緒に逃げるのでもなく、しかるべきところへ行くのでもなく。愛を貫くなんて嘘くさい!と思うのが私にとっての現実。

  • 再読
    エスカレーターに乗らない事を信条にしている29歳のOLの希美
    地下鉄の階段で出会った男と彼を尾行していた顔に黒子のある男

  • 恋愛ミステリーと銘打ってる割に、「恋愛」部分でも「ミステリー」部分でも陳腐な印象が拭えなかった。全体的に内容が薄い。
    「恋愛」部分の結論については平凡の極み。
    私の好みの本ではなかったなぁ…。

  • 帰宅途中の電車のなかで偶然気づいたひそやかな追跡劇。その尾行者が、ようやく幸せをつかんだかに見えたわたしにつきまとうようになる。地下鉄の駅の階段を歩いてのぼる者同士として意識するようになり結ばれた恋人。彼はこの尾行者と何かつながりがあるのか……。切なさが胸に迫る長編恋愛ミステリー。

    彼女が何かの「あやまち」を犯したこと、それによって「彼」を失ったこと、同時に「彼」もまた「あやまち」を犯していたことが明らかにされる。

  • 地下鉄の地上に上る階段。。
    そこで出会った二人の物語
    どんな人かわからなかったり、不安な事があったりで、
    最後は、大切なものに気づくのが遅くて手放しちゃうんだけど、
    これも、縁かな。。

    サラサラ読めました。

  • 地下三階分の深さにある地下鉄の改札から地上出口まで、階段で上ることを日課にしている、平凡なOLが主人公。
    29歳、一人暮らし、恋人はおらず、自分でなくてもこなせる仕事に就いている。

    単調な毎日だったが、毎朝階段の途中で自分を追い越す男を意識するようになる。
    二人はひょんなことから言葉を交わすようになり、交際を始める。
    都会の隙間のラブストーリーのような展開ながら、
    主人公が謎の男に尾行されたり、恋人の不可解な点に気づいたり、後半からミステリ仕立て。

    主人公の恋人は何者なのか、尾行してくる男は誰で、目的は、というところが謎要素。
    ただミステリとしてはイマイチ、むしろ蛇足だったかも。
    もっと単純な出会いと別れモノにしても充分だったと思う。

    淡々と進む物語はゆったり水の中を漂っている気分になる。

  • 「かたぶつ」があまりに面白かったので、間違いないだろうと借りました。
    のですが。。。

    これは。。。悲しかった。。地下鉄から上がるこの表紙の風景が物語の要。


    ___地下から地上に出る階段を上がってると、ダイビングをしたこがないのだが、

    ダイビングをしている気分になる。。。。

    海の底から空に向かって上ってくような気分に。。。____




    そう言うとそう見えてくるから不思議だ。。。作者さんは良い感性を持ってるのだな。。

    読み終わったあと、思わずにはいられなかった。。。私だったら?私が主人公、のぞみの立場だったら?

    同じあやまちを犯してるのだろうか?

    考えると分からない。いいかげんな事は言えない。彼は救ってほしかったのだろう。。


    でもそれはすべてを捨てること。。親も兄弟も友達も。。自分自身でさえも。
    う〜ん。。。それほどまでに人は人のことを好きになれるのだろうか。。

    ただ、言えることは彼と彼女の感性は似てた。同じように地下鉄を海にたとえた彼。。。。



    こんな似てる人と出会えることは彼女が言う確率で言うとすごいことだと思う。だとしたら。。。だとしたら。。彼の手をとっても良かったんじゃないか。。

    なんて。。。いいかげんな事は言えないと言ったばかりなのに。。。

    絶対もう一回、何年かしてまた読みたい本です。何年か後、その時はどう思うのか知りたいです。

  • 出会い、恋をし、そして恋を失う。
    お互いに好きでありながら、彼の過去のあやまちに何も言えなかった。
    去っていく彼を引きとめる事も出来なかった。

    出会いから、恋をしている間の描写がほんわかと心にしみる。
    「彼の物語」はちょっと違和感が残るが、
    作中何度か描かれる、彼女が感じる地下鉄駅の階段を上る際に抱く感覚が好きだ。

    「ゆっくりと、四角い青空をめざして上昇する。
    前方に水泡のようにきらめく希望の存在をほのかに予感しながら。」

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