アフターダーク

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レビュー : 711
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062125369

感想・レビュー・書評

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  • 驚くべきは実際に読んでいる時間、つまりページ配分がリアルタイムに近かったこと。いや6時間はかかっていなかったが、章ごとに休憩などいれたら結果そうなった。さらには同じ時間で追っていくこともできたと思い悔やんだ。
    春樹作品としては異色といえる。どう考えても新宿だし、デニーズもならば初台店だ。香川県だの作中に示されてもどこか別世界のそれとし読ませられてきたのだが、今作は実にリアル。分かり易いヴィランも設定して、いつもと違う感が大きかった。でもやはりその軽さの中にも読後感の充実ははずさない。

  • 村上春樹は本当に大好きな作家さんですが、この作品が中でもとりわけ好きです。
    一夜の出来事を、まるでフィルム映画で観ているような感覚です。カッコつけすぎているとか、理解不能という人もいるようですが、そういうところも含めて大好きなんですよね。
    出版されてから今まで何回読み返していることか・・・。
    なんだかな~、というやるせない気分の時に何故か必ず手に取ります。

  • 正直、難解です。
    本作は中編小説なのでボリュームはあっさりしてますが、その分あっちこっちでエピソードは納得の形では回収されません。読んでて、あの話どこいった?となってしまいます。

    でもやはり一気に読み終えてしまう、ある意味魔力がある文章ですね。

    深夜の23:56〜6:52までの出来事ですが、個人的にささったのは、夜明け前の早朝の情景の描かれ方です。夜の帳から輝く朝が混ざった空気の中、深夜に生きる人と朝に動き出す人が混じり合う時間帯。徹夜明けの新宿駅前を思い出します。

  • 心の闇と現実社会の闇、自然界の物理的暗闇。闇をどう見るか、どう見えるかは我々ひとりひとりの心の中のフィルター次第ではないか、ということを考えてみた一冊。

  • 久々に村上作品で好きな一冊。
    とても素直に受容できた。

  • 夜(dark)はどこにいても、誰にでも訪れる。昼間に生きる人もいれば、夜(dark)に生きる人もいる。
    夜、それはとても涼しくて、でもどこか冷たい時間帯は、いつの間にか僕らを包み、明るい、そして温かい1日へと命を繋ぐ。

  • なぜか、村上春樹の本に惹かれるのだ。アフターダークは、最近の本だが、昔のノルウェーの森とちっとも変わらない、と、わしは思うのだ。一般的な世評では、文体が変わったとか、新たなチャレンジと評されているけど、わしにとっては、今も昔も同じに感じる。

    ありのままの人間とは?奇麗事ではない真理?人間の弱さ強さ?を問う作品だと思うのだ。この作品にも、やはり壁が出てきて、あちらの世界、こちらの世界って感じで描かれている。ただひとつ、今までと違うのは、第三者の目があって、その視線が登場することだ。おもしろかった。

  • 人間の眼球には白目と黒目にあたる部分があり、それは互いに涙で滲み合っていて境界線はデジタルではないように見える。私にとって白目は太陽ではなく、まるで日暮れから闇夜にかけて現れる月や星の光だ。月光はその周りに中間地帯を作る。濃淡の階段だ。

    だから日の出の瞬間、太陽のほうもためらって、輪郭さえ震えて見える時だってあるのだろう。夜明けの時間は特別で、夜は人間にとって必要なものだ。私たちの学問によって、人工の太陽がいくら明るさを極め、夜をすっかり支配できる可能性を主張しても。

    この作品は、夜を軽視して、人が、自身が、圧倒的な光を求めることをほとんど止めることができなかったばかりに犠牲になる少女たちが描かれている。一人は深い眠りに落ちたまま二か月覚醒しない芸能人で美人の姉。一人は繁華街で連日連夜の性的興奮に巻き込まれる中国人の19歳の売春婦だ。

    主人公は芸能人の姉を持つ妹。妹は、一日の中に身を隠せる暗闇を持てなかった姉を時計の上だけでもトレースするように、ある一夜を眠らずに過ごす。

    その夜、主人公と同い年の19歳の中国人少女が、売春の顧客にかなりきつく殴られた上、身ぐるみまで剥がされた。その少女と主人公が得意とする中国語で短いやりとりをする。そして友達になりたいという今まで彼女がほとんど誰にも抱いたことのない感情を抱く。それは叶うことが難しいけれど、この夜「役に立った」彼女の外国語の修得能力の高さは、異文化だと、あまりに違う人種だと、言葉がうまく届かないのだと姉のことを思ってきた感覚をいずれ塗り替えるものには繋がらないだろうか。姉に通じる言語や世界観を察することのできる才能が妹にはあるのではないか。

    そういった出来事を経た妹がその夜明けのころ、目覚めない姉の休むベッドにそっと潜り込む。すると姉の顔に一秒の十分の一くらいの素早い震えが起きる。

    太陽は今震えていても、昇りきってしまえば直視はできない。美しい顔がはっきりとさらされて、彼女の眼球よりもそこを囲む姿かたちがちやほやされる。生活も忙しくなる。でも姉にはもう、こうして本当に、妹が戻ってきたのだ。

  • とても好きな作品!村上さんの頭のなかのぞけた感じ。

    最初から共感する部分が多数。
    この世界がある生き物の様であるとか。

    そもそも小説の語り手?とかだれに説明してるの?って不自然さを感じていたけれど、それが見事に表現されていたと思う。
    カメラアングルまでしっかり創造されていて、すごい本だと思います。

    登場人物たちの話も深い。

  • 何かをやり過ごそうとするように真夜中の街に留まる少女・浅井マリと、静かに純粋に眠り続ける浅井エリ、物語は主にこの二人を巡る視点を軸に展開される。

    「私たち」は真夜中のデニーズで、浅井マリがひとり熱心に本を読んでいる姿を見つける。そこに彼女を知る青年・タカハシが声をかけてくる。

    一方、暗い部屋の中でひとり眠り続ける、マリの姉エリ。その部屋の片隅にあるテレビが、0時ちょうどになった瞬間奇妙な音を立て始め、そして不可解な映像を映し出す。

著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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