- Amazon.co.jp ・本 (557ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062125642
感想・レビュー・書評
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色んな時間軸と色んな人の視点で
進んでいく物語。
戦争の怖さや残酷さも描かれてますが、
話のミステリーさに引き込まれてグイグイ読めます。
全てが明らかになったうえで
もう一度じっくり読みたくなる本。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読み始めは、ゴシックホラー風味のBL物?!かと思い、辞書並みの557ページを読み通せるか不安になったが、一章を読み終えた頃には、自分が持った印象が全くの間違いだったと気づく。そのあとは、章立てがうまいこともあってか、グイグイと読み進められた。この長さが全く苦にならなかったのは、本当に驚き。
ひとつの物語と別の話とが、時代、人物が微妙に交錯しながら進み、こちらとあちらが急に混じり合ったかと思えば、「いやいや時代がおかしい」と思い…。境目があいまいになり、時代が前後し…、結局なにがなんだかわからなくなってしまい、途中からはメモを取ることに。
ファンタジーなのかと思いきや、エンディングでは、ほぼきちんと説明がつくという、ある意味ではすっきりとした展開。時代背景を踏まえながら、これほど骨太の物語をつくりあげる皆川博子はすごい。 -
この長さを、まるで飽きさせずに読ませる筆力はもう。
化け物クラス。
視点はころころ変わるし、「だ、誰? あれ? この人はあの人?」という展開に戸惑うが、とにかくぐいぐい惹き込まれる。
夢と現の境が曖昧、という設定でこの長編を書き切るとは。
破綻がないところが本当にすごい。
史実をこんなにも濃密に捉え、豊饒な物語として紡ぎ出しているその世界観に圧倒。
どこからどこまでが創作で、どこからどこまでが現実なのか……
登場人物とともに、読者も惑う。
もちろん皆川先生ならではのモチーフも満載。
薔薇とか。畸形とか。少女。少年。美青年。
もっと救いのない結末を予想していたので、このラストには力強さと希望を感じた。ホッとすらした。
ユーリク……!!;; -
とにかく耽美! だってのっけから「薔薇と美青年を融合させる実験」って……ああこれぞ皆川作品。素敵だ~。しかもアンデルセン「雪の女王」だの映画「カリガリ博士」だの、要素要素がとことんツボをついてきてるし。これはたまんない。
あまり「ミステリ」と思って読まないほうがいいかなあ。複雑に絡み合う各パートが終盤になって結びついてくる様はたしかにミステリなんだけど、あまり身構えない方が「おおっ!」と思わされるかも。とりあえずはこの幻想の雰囲気に呑み込まれろ、と言いたい一作。 -
『死の泉』『総統の子ら』と同じく、第三帝国期のドイツ。
美形と畸形と変態博士が心ゆくまで縦横無尽に飛びまわり、閉ざされた世界で、うるわしく退廃的に腐り行くのでございます。
今回のメインアイテムは薔薇!! 咲き乱れるよー!
・・・と言いたいけど、物語としては『冬の旅人』などにくらべると、やや小粒かな。そのぶん、耽美度は高いかと。
萌えキャラも、特にはなし。あえて挙げるならユーリクとか?
それよりも、前記の皆川作品を読んでいる人ならば、心の準備はできているハズ。
物語の精髄は騙し騙りにウソ八百!
さあて、今回はどこで我々読者を陥れているのかな!? 今度こそだまされんぞー!!(※ダマされます。) -
閉じ込められている、あなたも、私も、あの人も。
そんな声が薔薇の香りと共に漂う、底知れぬ幻惑小説。
第二次大戦を舞台に描かれる、独波国境の古びた僧院に隠された薔薇と融合した男、美しい畸形の少年、陰謀と策略、そして、失われた愛。
狂気と純愛を孕む圧倒的名著。
戦火で出会った少年の姿をした大人の男と薄幸の美少女とか・・・みんな好きでしょ??????分かるよ・・・。しかも最後まで巡り会えず、戦争という現実に引き裂かれたまま終演を迎えるの・・・つら・・・。
あと、ホフマンさんが本性出したときは怖かったな…鯨が嫌いになりそうだ・・・(とばっちり)
『薔薇密室』、現実の推理小説っぽさは『開かせていただき光栄です』『クロコダイル路地』っぽかった。
でも現実?幻想小説?っぽさは『伯林蝋人形館』『双頭のバビロン』『U』ぽかったな・・・。
どっちもマジで現実と虚構どっちなの?????ってオチだから・・・勿論どれもすきだけど・・・。 -
以前に双頭のバビロンを読んでから気になっていた作家さんでした。
くっついた双子がまた(別人だけど)登場。そういうのが好きな人なんだなーと。
薔薇と人の融合とか、素敵な設定だったけれど最終的には・・・という
突拍子がないのに納得のラストですっきりしました。 -
ファンタジック・グロ。
錯乱と正気の境、現実と幻想の境があやしい。 -
面白かった。ゴシックというかところどころグロ…くもありホラー調でもあり、怖かったですが、第一次、第二次世界大戦のポーランドとドイツを舞台に描かれる壮大な幻想世界に、ぐいぐい読みました。結局梅毒に侵されたままらりってんじゃないのか?って語り手の締めでしたが、幻想だしいっか、と思わせてくれる読み応えでした。
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"総統の子ら"を読んでいたので、引き続き感が強いかなぁ。より幽玄的に、より幻想的に、、いやはや…薔薇のつるの様な繋がりの纏めに殺られる。でも、やっぱりこの著者の作品を読む時は、思考体力が要るなぁ♪。