螢坂

著者 : 北森鴻
  • 講談社 (2004年9月22日発売)
3.64
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062125796

作品紹介

カウンターでゆるり、と時が流れる。「香菜里屋」に今日もまた、事件がひとつ。わだかまっていた謎が、旨いビールと粋な肴で柔らかくほぐされる。

螢坂の感想・レビュー・書評

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  • 三軒茶屋にあるビア・バー「香菜里屋」シリーズの2作目。1作目から続いてるわけでもないのでどちらから読んでもOK。
    今回も工藤さんの出す料理がどれも美味しそうで、つい唾液が出そうになるヨ!

    三軒茶屋の路地の奥、等身大の白い提灯が目印のビア・バー「香菜里屋」。
    今日もワインレッドのエプロンに身を包み、店主・工藤は気負いなく客を迎え入れてくれる。
    16年ぶりに訪れた町は同じ場所でありながら知らない街並だった。かつて恋人と歩いた坂道をひとり歩き、ふらりと入ったビア・バーで有坂は偶然にも知り合いに出くわした。そして苦い質問と、5年前に死んだかつての恋人が常連客であったことを突きつけられる。―――『蛍坂』
    タウン情報誌に掲載された、焼き鳥屋の看板猫の話。なかなか評判がよく、香菜里屋の常連客にも褒められ編集人・仲河はまんざらでもなかった。しかしネタの提供先から「猫の顕彰碑を建てる」と聞かされ、不審に思う。しかも設置場所も妙な位置で…。―――『猫に恩返し』
    かつて三軒茶屋の駅前商店街では大規模な開発計画があった。しかしある地元店主の強固な反対もあり頓挫したのだが、9年の年月が経ちその店が閉店するという。賛成派であった南原は聞いてみたかったのだ。「どうして今になって」と。―――『雪待人』
    再就職先がなかなか決まらず、軽い気持ちで小説を書き始めてみた。町で出会った路上生活者の男、そして見事に変貌した知人、ビア・バーとその常連客の実名をネタにして…。そして話は意外な方向に…。―――『双貌』
    不思議な店とその店主の噂を聞いて、香菜里屋に通いつめている真澄にはある目的があった。14、5年前祖父の書斎で修治おじさん―修兄ィ―とこっそり飲んだ「狐拳」という焼酎を探しているのだ。…約束、なのだ。―――『孤拳』
    計5作の短編集。

    あいかわらず工藤さんは安楽椅子探偵です。「店」に「出迎える」立場ですからね。自然と集まってきてしまうんでしょうか。…常連さん(七緒・北・浅海・石坂夫妻ほか)の気質もありそうだなー(笑)
    しかし工藤さんのすごいところは、全く気負いが無い…というか押し付けがましさが無いって点じゃないでしょうか。推理にしても接客にしても料理にしても、嫌味がないんですよ。覇気がないとも違うし…不思議な人だとホントに思います。ただその彼が、かつての同僚であり現在は池尻大橋にある店のバーマン・香月圭吾に対しての態度だけが微妙に違うことが気にかかります。気心のしれた雰囲気があります。3作目「雪待人」には、工藤さんの過去をほのめかす一文があったりもするし…。次作品で、もうちょっとその辺を詳しく教えて北森センセ!!
    個々の作品としては、前作とは違ったタイプのものが数点あります。「猫に恩返し」みたいなコメディタッチは無かったんじゃないかな…?「双貌」も作中作の形式がウマイ!と思わせてくれます。強烈なトリックは無いんだけど、魅せてくれる作家ですよね。

    しかし、この作品は本当に料理が美味しそうで…!! 芝エビのかきあげ風フライにカレソースかけちゃうんだよ…。食欲中枢が動かないわけがないじゃないか。京野菜とそばがきのポトフも…いいなぁ(じゅるり)
    毎日はムリとしても週イチくらいで通いたいです、香菜里屋に。

  •  昨日、六本木のレストラン&バーで、著者の逝去を知る。 驚愕。 まだ、若いというのに。  本作、著者の作品に触れたごく初期のものであったか。 しゃれた、都会的な筆致と、謎解きのスマートさに惹かれた記憶がある。 出ると買う、というほどではなかったが、目につくたびに作品を買って楽しませてもらっていた。 思えば、このようなタイプの作家というのは、あまりいないのかもしれない。 しかし、作家が亡くなるというのは、いろいろな意味で寂しいものである。 ご冥福をお祈りしたい。

  • 恋の思い出が残る坂はどこに消えたのか。
    幻の焼酎の秘密とは。
    うまいビールと粋な肴で柔らかくほぐされる謎。
    三軒茶屋にひっそりと佇むバー「香菜里屋」の
    マスター工藤が探偵役のシリーズ第3弾。

  • ビアバーのマスターが客との遣り取りを通して謎を解く短編集。
    客それぞれ、様々な物語を持っているのだな、と思いながら読みました。
    それに料理の描写がとても美味しそう。こんな店が実在したらアルコールが苦手な私でも足を運んでみたい。
    ちょっと切ない話ばかりだけれど全体的な雰囲気は穏やかで優しい、マスターの工藤さんの控え目な物腰がこの空気を醸し出しているのがじんわりと伝わります。

  •  ビアバーのマスターが安楽椅子探偵となる連作ミステリ、≪香菜里屋≫シリーズ第3弾。
     店内のまったりとした雰囲気と美味しそうな酒肴の描写は相変わらず。
     客の心に沈殿した謎と想いを、柔らかく解きほぐすマスターの腕も健在。
     今回は特に、逝いた人への蟠りを紐解き、遺された者たちが前を向けるような結末が目についた。
     その中で、作中作を用いた叙述トリックの「双貌」は異色ながら、素直に引っ掛けを楽しめる。

  • (収録作品)蛍坂/猫に恩返し/雪待人/双貌/孤拳

  • 香菜里屋シリーズ3冊目、出てくる料理がさらに美味しそう。相変わらず工藤の素性はわからないけれど、なんかわけありな感じが見えてきた。今までの話が伏線となり常連客の周囲も変化し香月の登場も増え、最終巻の準備と言った感じの1冊。

  • 北森さん亡くなってるのかぁ…カナリアシリーズ読破。
    後の作品ほど工藤さんが控え目で良い感じ。

  • この本は「文学の醍醐味を味わえる小説を教えてください」とSNSで募った際、料理に関わる仕事をしている人が薦めてくれた。料理の描写が巧く、モデルになった店をつい探したくなるのに加えて、作中で何作か有名な著作のエピソードを引いてストーリーを展開しているところがあり、本の紹介者がなぜこの本を勧めたのか納得の内容。

    お話は、バーの店長がカウンターに居ながら客の悩みをさりげなく解決していく短編オムニバス形式。ジャンルはミステリーに入るのかしら。それとも料理小説?…その辺りの線引きの曖昧さも、この本の魅力かもしれないし、そこに中途半端さを感じる読者もいると思われる。

  • 茶沢通りにすずらん通り、世田谷線に駒沢。懐かしすぎてそれだけで一気に読了w

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