西鶴の感情

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062126175

作品紹介・あらすじ

商都大坂に生きた町人、俳諧師・西鶴は、なぜ浮世草子「作者」となったのか。「銀が銀をもうける」経済膨張の時代、虚構の業を通して「色」と「遊び」を、女と「世間」の実相を見つめた作家の稀有なる散文精神に迫る傑作評論。

感想・レビュー・書評

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  • 読みながら思っていたのだが、私は人生の中でいまだ西鶴の文章に出会っていないのだ。笑ってしまう。
    知っているのは西鶴の書いた本の名前だけなのだ。「好色一代男」、「日本永代蔵」。名前だけは知っている。しかしその本を見たこともない。自分の足下も危険だが、どうもこれは自分だけではなさそうだ。
    これが近松だとちょっと変わってくる。歌舞伎の舞台を見ているのだ。西鶴の書いた舞台物はなかなか上演されることはない。接する機会がないのだ。
    「西鶴の感情」というタイトルの見事さにはうなるが、本の構成がうまい。読者は西鶴なんてかけらも読んでないことを実は前提として書いている。だから面白い。買う時にどうしようかと悩んだのはまさにここだ。西鶴なんて歴史の教科書でしかこちらは知らないのだ。西鶴の書いたものとその時代とを並列することでその内容が感じられる構成になっている。その上装幀は菊池信義である。実は中身も確認せず、装幀で買ってしまった。だって、どう見ても菊池さんの装幀だったんだもの。

  • 講談社学芸文庫版は朝井まかての解説付きらしい。しまった!
    西鶴の盲目の娘についての記述を期待してたんだけどな、残念〜。当然と言えば当然だけど、「一代男」をはじめとする作品解説がメイン。特に九鬼周造「『いき』の構造」を引き合いに出しての分析hs面白かった。プラス、当時の風俗が作品理解のサポートとして説明されてるところも多少はあり。ただ、美少年を捕まえて「穴なし小町」とかってサラッと言っちゃうところにはアングリ。

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著者プロフィール

詩人・小説家。1935年、大阪市生まれ。評論に、『近松浄瑠璃私考』『中勘助の恋』(読売文学賞)、『釋迢空ノート』(毎日出版文化賞)、『西鶴の感情』(大佛次郎賞)ほかがある。

「2013年 『折口信夫の青春』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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