大和の最期、それから 吉田満戦後の航跡

  • 講談社 (2004年12月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784062126830

みんなの感想まとめ

戦争の悲劇と人間の生き様を深く掘り下げた作品であり、特攻艦大和の乗組員たちの運命を通して、著者の吉田満がどのように彼らの記録を残そうと奮闘したのかを描いています。終戦直後に執筆された本書は、吉田の心情...

感想・レビュー・書評

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  • 「大和の最後」というのは、吉田満の『戦艦大和の最後』のことで、本書は大和の乗組員で生きて帰ってきた吉田が、その負い目と戦いながら、死んでいった仲間たちの生き様をいかに記録していったかを語る。吉田は戦後日本銀行に勤めるが、本書の筆者千早耿一郞もそこで吉田を補佐する。当時の日本銀行員たちは、忙しい業務のあいまに文学活動を続け、社内誌を出しただけでなく、多くの小説、記録を残している。千早氏もその一人であった。ぼくは中学生のころ『戦艦大和の最後』(創元社版)を買っている。文語文だったそうで、ちゃんと読んだかどうかは怪しいが、とても印象に残る本で、吉田満の名もずっと記憶に残っていた。(本書とは今年2016年の下鴨古書市が出会いの場であった)本書によれば創元社版は最終版で、その前にGHQの検閲を経たいくつもの版が出ている。GHQは民主主義を唱えたにもかかわらず占領政策に反するものには徹底して検閲を行っていた。その過程も興味深い。本書では、特攻として沖縄に出撃する大和に乗っていた乗務員たちが、その死をいかに意義づけようとしたかを書くとともに、生き残った者たちがそれを本当に生かしているかを問い続けた吉田の生き様を生き生きと描く。吉田はもとカトリック教徒であったが、プロテスタントであった妻の影響で改宗する。吉田にとって宗教は宗派を越えて、自分に生きる力を与えるものであったろう。残念ながら吉田は56歳で亡くなってしまったが。

  • 「大和の最期」は最初のノート・文語体から、写本、雑誌、単行本、決定保存稿まで計8種類ある。その間の、GHQによる検閲や筆者の心の推移を反映しているとして分析

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著者プロフィール

千早 耿一郎(ちはや・こういちろう):1922-2010年。滋賀県生まれ。中国(上海、青島)で育つ。帰国して第一神戸商業学校卒業後、日本銀行入行。42年に入隊し、中国で初年兵教育を受けつつ「討伐」に出動する。現地の予備士官学校を卒業後、挺身攻撃隊長として訓練中、終戦を迎える。46年、日本銀行に復帰し、吉田満を知る。事務繁忙の時間を割き、吉田らと文芸活動に従事した。著書として、詩集に『長江』『黄河』『風の墓標』など、小説に『防人の歌』『蝙蝠の街』、ほかに文章論・事務管理論、伝記『おれはろくろのまわるまま――評伝・川喜田半泥子』『「戦艦大和」の最期、それから――吉田満の戦後史』などがある。

「2024年 『悪文の構造 機能的な文章とは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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