灰色の北壁

著者 :
  • 講談社
3.45
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本棚登録 : 218
感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062128025

作品紹介・あらすじ

世界のクライマーから「ホワイト・タワー」と呼ばれ、恐れられた山がある。死と背中合わせのその北壁を、たった一人で制覇した天才クライマー。その業績に疑問を投じる一編のノンフィクションに封印された真実とは…。表題作ほか全3編。山岳ミステリー集。

感想・レビュー・書評

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  • 1

  • ・黒部の羆☆☆☆☆☆
    山岳警備隊を引退し、山小屋の管理人となった黒部の羆と言う男の話
    以外な結末に胸が暖かくなる物語

    ・灰色の北壁☆☆☆☆☆
    天才クライマーへ向けられた疑惑
    彼が秘して守り抜いたものとは何か

    ・雪の慰霊碑☆☆☆
    山で息子を亡くした父親の葛藤


    ~三編ともに、山を愛する者達それぞれの優しさが詰まった物語です
    自分の足では到底無理だけど、山に登れたら素敵だろうなと感じる作品でした

  • 3つの短編が収録されている。
    3本ともおもしろかったが、やはり表題になっている「灰色の北壁」が一番おもしろい。
    「雪の慰霊碑」も男たちの心情が切なく伝わってくる。

  • 山にまつわる話三題。
    山には登らないが、山に対する熱い想いが
    伝わってきた。
    三本とも面白かった。

  • 雪山を舞台にした3編の小説集。山男たちの心情が描かれていて読みながら引き込まれていった。
    3編の中では、題名にもなっている「灰色の北壁」がよかった。

  • 山屋にはたまらない、山屋の話。共感出来すぎる自分が怖い。山で死んじゃダメ、ゼッタイ。

  • 1.黒部の羆 2.灰色の北壁 3.雪の慰霊碑 の3編収録。

    1.は遭難時に仲間を責めるのではなく、山を愛するからこそ、苦しい立場に置かれた友を救う気持ちを受け継いでいくのが肝心だという事。改めてクライマーには強靭な精神力が必要であると感じた。
    2.はホワイトタワーと呼ばれるヒマラヤ初登攀について、1枚の写真が訴える疑惑とは・・・。
    3.は冬山遭難で息子を亡くした父が、命日に同じ山へ向かう。息子と同じ山岳会に所属していた野々垣が真実を伝えようと・・・。

  • 著者の本は初めてだ。「黒部の羆」「灰色の北壁」「雪の慰霊碑」の3編が入っている。巻末に参考文献が載っていたが、「山岳警備隊出動せよ!」や「改訂冬季クライミング」、「ビヨンド・リスク」「登山の運動生理学百科」は登山関係者にはおなじみの本だ。
    3編の中では」「雪の慰霊碑」が良かった。

  • 山を題材とした小説としてではなくても面白かった。

  • うまい具合に話を繋げているな、と思った作品。
    山岳小説でした(笑)
    山岳を描く際というのは矢張り精神的なものの描き方というのがドコとなく大事だと思えてしまうのは実際自分が山に登ったことがないからなんでしょうね。
    あんまり大変さの想像がつかない、というか。
    矢張り挑もうとすら思えないというか。

  • 人間の死と、残された人々が抱く葛藤を描いた短編3作品が収められています。山岳小説の部類というよりもミステリーに近い。1作品目は主人公のすり替えトリックが上手い。2作品目は表題作のため深く考えさせられる内容です。3作品目はう~んコメントに困ります、一番嫌いかも。

  • 本のタイトルと同名の小説を含む短編小説が3篇収録されています。 全てのストーリーが、厳冬期前後の雪山が舞台。 それぞれ別の主人公が山にまつわるストーリーを展開していきます。 著者である真保裕一は自身のエッセイで、登山の経験はほとんど無いと 語っていますが、登山をしていく描写はまるで見てきたか、自分の経験を 書き込んでいるかのようで非常に臨場感があり、自分が登山しているかの 様に感じる事が出来ます。 (登山経験が無いからかもしれませんが。) また、登山を通じて、人生の迷いを断ち切ったり、逆に人生を狂わ

  • 海外遠征に選ばれた、外された。
    恋人あるいは妻をとられた、とる。

    単独行において唯一の証拠である頂上から撮った写真についての疑惑。

    遭難死した息子を追って山に入る父親。

    山岳小説というより、山をモチーフにした小説というべきかな。ちょっと期待はずれだった。
    小説だからいろいろな要素を織り込んで、ひねりをきかせて仕立てるのはいいんだけれど、パートナーを妬んで登攀中に不幸を願ったり、人の登頂を疑ったり、邪悪な気持ちばかりが鼻について、すんなり話に入っていけなかった。

    また実在のクライマーや山を多数登場させているのに、肝心の話の舞台の山が架空のものだったりすると、なんだか興ざめするのであった。

    小説として読むならそれはそれで面白いと思う。

  • ●あらすじ●
    〈黒部の羆〉
    ある年の11月、山小屋の撤収準備をしていた元山岳救助隊の"羆"は、緊急無線の呼び出しを受けた。遭難者からの救助要請があり、現場に近い"羆"に協力を申し出てきたのだ。本隊の到着をは間に合わない。彼は一人で現場に向かう事に決めた。
    一方、大学登山部の矢上と瀬戸口は、源次郎尾根登攀中、リードしていた瀬戸口が滑落し、ロープで宙吊りになっていた。矢上は無線で救助を要請。しかし、救助隊が現場に到着するのは明日になりそうだ、とのこと。悪化する天候の中、ビバークを迫られる二人。そこに"羆"が現れた。

    〈灰色の北壁〉
    ヒマラヤ山脈に「ホワイト・タワー」と呼ばれる山がある。中でも北壁は3kmにわたって垂直に切り立った北壁は人を寄せつけず、『この世界の端をさえぎる壁』のようであった。1980年、南東稜からではあるものの前人未到のホワイトタワーを制したのは御田村良弘。それから19年後、御田村との因縁を持つ刈谷修が世界で初めて北壁を制したが、のちに、刈谷が山頂で撮ったとされる写真の捏造疑惑が起きる。そして刈谷が山で遭難死したとの知らせが…。はたして疑惑の真相は!?

    〈雪の慰霊碑〉
    坂入慎作は、雪の残る春の北笠山にひとりで向かっていた。ちょうど三年前、この山で一人息子の譲が遭難事故で死んだ。妻も病で失い、ひとり残された坂入。譲の命日に、譲が死んだ山へ登るため、半年前からツアー登山に参加しつつ準備を進めてきたのだ。
    同じ頃、譲の婚約者だった多映子が坂入の家を訪れ、異変に気づいた。身辺整理をしたようにゴミが出され、譲の墓には花が供えてあったのだ。多映子は、譲の従兄にあたる雅司とともに坂入の身辺を調べるうち、ある確信を持つようになった。坂入は譲の後を追って死のうとしているのかもしれない。

  • 山岳ものの短編集です

  • 新田次郎賞受賞作品。いろんな人の描く山の話って毎回考えさせられることが多い。

  • (収録作品)雪の慰霊碑/灰色の北壁/黒部の羆

  • 山岳小説なのにミステリー。ミステリー、と言ってしまうとちょっと違うかもしれないけれど、「謎」を追う男達が全員山男だから山岳ミステリーでいいんです。みんな寡黙でカッコイイ。最初の2編がとくに好きでした。山なんかちっとも興味ないはずなのに、登山シーンを一字一句読み込んでしまいました。読ませる文章力にため息。

  • 山岳ミステリー三篇。若いころ新田次郎をよく読んだので、随分久しぶりだなぁ、と思いながらの「山」でした。途中、去年の映画「剣岳」が頭に浮かんだり、これも若いころよく読んだ松本清張の山のミステリーを思い出したり。三篇は、「黒部の羆」「灰色の北壁」「雪の慰霊碑」。「山をやる」ことによって、命を落とす人、残されて一生を悔恨の情で送る人・・。私のような家で本を読んでいるのが一番幸せ、と思うような者には考えられない厳しい山の世界の話で、特に、雪山の場面が多かったものですから、なんでそんな思いをして登らなくちゃいけないの?という気持ちが湧いたのは確か・・。でも、三篇に共通して描かれる、うん、そうなんだろうな、という人情と意外な展開とには、たっぷり楽しませてもらいました。一番好きだったのは、最初の「黒部の羆」。凝った構成のお話で、「わたし」ってそもそも誰? 山を登っている二人って、今のことなの?それとも20年前?などと、行きつ戻りつしながら読ませられて、とても面白かったし、時を経て穏やかに山と向き合う人の気持ちがいい感じに奥行きを持って描かれていたと思います。

  • 同じ時期にクライマーズハイを読んだので内容がかぶってしまう。

  • 安心して読める真保短編集・雪山版

  • 山に挑む男たちと、それを取り巻く人たちの物語。中編集。

  • 久しぶりの真保作品。お得意の雪山ものなので「ホワイトアウト」みたいなやつかと期待して読んだら、ちょっと違う趣でした。
    本格的雪山登山にまつわるミステリー3編。
    全編しっとりと落ち着いたストーリーで、雪山の厳しさを際立させた筆運びはさすが。
    専門用語が連発で、登山など1回もしようとしたことがない私にとっては、イメージしづらかったのですが、雪山の厳しさだけは伝わってきました。
    極悪容疑者やへんてこな探偵など、目を引くキャラクターは出てこず、朴とつでやさしい山男の物語です。
    山に登る人はみんなこんなに正直で考え深いのかなってちょっと思いました。

    大学でまじめにワンゲルしてた人が読んだら、きっとものすごい臨場感じゃなかと思います。

  • なんかもう…爆弾が多すぎて対処しきれません!(><)
    てな感じの本だった。
    「山をやる」という表現が多くて、えっこれ山受け??!!って思ったよ

  • 2006年10月 読了

    山にまつわる短編集

  • 真保裕一作品は質が安定しています。
    先に「奪取」を読んだのだったかな。
    安心して読めると思ってネット評もよかったこれに手を出しました。

    ネタバレになるので詳しくは書けませんが、まったく見事な手腕でした。
    最後に一瞬「えっ?」と思います。
    というのは表題作ではなく「黒部の羆」。
    表題作ももちろんよかったです。
    短編が三本入っていますが、どれも雪山を題材にしたミステリで、日常とはちょっとちがう切り口でした。

  • グッときた。山の話はすぐグッとくる。「ストロボ」もこの人だったっけ?

  • 山モノの長編がますます読みたくなってしまいました。
    第25回新田次郎賞

  • 短編。けれども、短編とは思えない作品。

  • 好きですね。全3編からなる、短編なんだけど最初の「黒部の羆」が好きだなあ。ありきたりなんだけど、知らないからのめりこんでしまう。
    真保さんの山シリーズ?
    もっと山シリーズ書いて欲しい。

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著者プロフィール

真保裕一(しんぽ・ゆういち)
1961年東京都生まれ。91年に『連鎖』で江戸川乱歩賞を受賞。96年に『ホワイトアウト』で吉川英治文学新人賞、97年に『奪取』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞長編部門、2006年『灰色の北壁』で新田次郎賞を受賞。他の書著に『アマルフィ』『天使の報酬』『アンダルシア』の「外交官シリーズ」や『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』『遊園地に行こう!』『オリンピックへ行こう!』の「行こう!シリーズ」、『ダーク・ブルー』『シークレット・エクスプレス』『真・慶安太平記』などがある。


「2022年 『暗闇のアリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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