- Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062129671
作品紹介・あらすじ
白洲次郎=明治三五年(一九〇二年)兵庫県生まれ。神戸一中卒業後、英国ケンブリッジ大学に留学。戦前、近衛文麿、吉田茂の知遇を得る。戦後は吉田茂の側近として終戦連絡事務局次長、経済安定本部次長、貿易庁長官を歴任、日本国憲法制定の現場に立ち会った。また、いち早く貿易立国を標榜し、通商産業省を創設。GHQと激しく対峙しながら、日本の早期独立と経済復興に、"歴史の黒子"として多大な功績を挙げた。昭和六〇年没(享年八三)。紳士の哲学"プリンシプル"を尊ぶイギリス仕込みのダンディズムは終生変わらなかった。妻はエッセイストの白洲正子。
感想・レビュー・書評
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伊勢谷くんの主演ドラマで、しばらく白洲次郎ブームに入った時に手にとった本。とにかくカッコいい。
「ノブレス・オブリージュ」という言葉は彼から教わった言葉だが、ワインを楽しむ暮らしを享受している私が、国境なき医師団や国連WFPの給食プログラムに寄付をする原動力となっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本の書評などで
「現在の日本には白州的な存在がいない・・・」
というような「リーダーシップ不在論」をよく見るけれど、
そんな、いうなれば「三人称な雰囲気」こそが、
白州が最も危惧していた事態なのかもしれない。
GHQから「従順ならざる唯一の日本人」と称されたように、
自らの信念・価値観に基づく「プリンシプル」をもち、
敗戦・占領下で国全体が意気消沈した雰囲気の中、
占領跡の日本が「自立した国家」としてどうあるべきか、
という長期的かつ大局的な見地から、
憲法制定をはじめとする難局にあって何をすべきかを考え、
相手が誰であろうと言うべきときには言うべきことを主張し、
一方で、この人と決めたらどこまでも礼を尽くし、
最後まで面倒をみるという姿勢で行動した様子は、
日本人がどこかに置き忘れてしまった、
「自分自身で考え、その考えに基づいて行動する」という
いわば「人間としての基本動作」を思い出させてくれる。
最近、特にネットの掲示板やブログの世界を中心として、
「嫌中・嫌韓」的な発言が増えているような気がする。
戦争責任追求論や韓国・中国における過剰な反日運動や、
まるで日本のナショナリズムそのものを否定するかのような、
自虐的ともいえる教育や報道への反発が、
若い世代を中心として、そんな動きに駆り立てているように思う。
しかし、短絡的な狂信的ナショナリズムに基づく言動は、
これまた短絡的な謝罪外交や自虐史観と同じくらい、
ナンセンスなものだと思う。
なぜなら、両者にはともに「プリンシプル」がないから。
先日話題になった「国家の品格」の帯には、
「全ての日本人に自信を与える」というようなことが
書いてあった。
本書のあとがきには、白州の活躍に
「任侠映画を観たあとのように胸を張りたくなる」
というようなことも書かれている。
しかし、その程度の視点に留まっていては、
昨今の日本に蔓延する、両極端で無責任な思想同士が、
お互いを嫌悪する感情的な負の連鎖を繰りかえしながら、
ますますその対立をエスカレートさせていくだけのような
気がする。
では、そんな中で自分自身は何をすべきかのか。
せめて、確かな知識と、自らの考えに基づいて、
しっかりとした議論と行動ができるようにはなりたい。
いや、そうなれるように努力しよう。
そんな叱咤激励に満ちた一冊として、
この本を座右に置いておこうと思う。 -
破天荒な少年時代から”うるさ方”となった晩年までの彼の人生をぎっしり詰めた一冊でした。
GHQをして「従順ならざる唯一の日本人」と言わしめた白洲次郎その人の生き方全てが何しろ格好いい。
「プリンシプルを持って生きていれば、人生に迷うことは無い。」
実に簡単に言ってのけてくれるが、彼はまさにそれを人生全てにおいて体現している。
自己の栄光を望まず、要職にも興味を示さず、只々日本の進むべき道を見据え、その卓越した先見性、天性のカンとも言える時勢を読む力を持って戦前戦後の動乱期に活躍していく。
「葬式不用、戒名無用」の遺言からも推察出来るように、実に合理主義。
それが死ぬまでそうなのだからアッパレとしか言いようがない。
スマートな容貌に相反する照れ屋な性格、昨今”うるさ方”が居なくなったと憂いながら自らが”うるさ方”となって年上だろうが閣僚だろうがGHQだろうが構わず怒鳴りつける快刀っぷり、様々な白洲次郎が堪能出来る本です。
確固たるプリンシプルと行動力で近衛文麿や吉田茂の信頼を得た白洲次郎。
是非この本を手に取り、彼の濃密な人生に触れていただきたいと思います。
損はしません! -
日本国憲法はGHQが作ったイメージがありましたが、陰でこんなに奮闘していた方がいたとは驚きでした。
横柄、短気なところもあったようですが、
義理深いかっこいい方だなと感じました。 -
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最高に勇気をもらえるし背筋が伸びるし泣ける。
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近年すっかり有名になってしまった白洲次郎。
日本の戦後史を語る上では欠く事のできない重要人物である彼だが、その過去は意外と知られていないらしい。
いかにして「従順ならざる日本人」が出来上がっていったのか。
次郎の考える「principle」とは何なのか。
少年時代からの記録、記述を参考に、白洲次郎を紐解いていく。
自らの信念を曲げることなく、生涯を通じて「白洲次郎」であり続けた男。
今の時代にすら通用する考え方や、その生き様は、大変魅力的であり、どこかほほえましくもある(当事者からすればたまったものではないかもしれないが)
学ぶことが多い本だと思う。 -
プリンシパルを大事にする男。どのようにプリンシパルを身につけたのだろう?きっとその原理原則は彼が生きていく中で身に付けたものや引き継いで学んだものが混じったものだろう。私もこのような本から少しでもよく生きたための原理原則を身につけたい。
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以前テレビドラマで観た記憶があり読み始めた。自分にとって格好いいとは?を考えたくなった。自分のprincipleを探せたら、もう一度読み返してみようと思う。
読んでいる時に9月8日を迎えた。ちょうど「講和と独立」を読み終えたところだった。今年は日本が独立国家に復帰して70年。思いがけず読んでみて歴史を感じるきっかけを持てた。 -
日本とアメリカ、新と旧。二つの狭間に立つ歴史的人物が気になって。龍馬とか。やっぱりプリンシプルってことなのかな。
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先日テレビでドラマ化されましたが、とにかく生き方がカッコイイの一言。日本が不幸中の幸だったのは戦後白洲二郎氏がいて、吉田茂元首相の側近としてアメリカと関係を構築できたこと。日本の誇!
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2013.11.11 朝活読書会で紹介される。
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白洲次郎という人をこの本で初めて知った。
プリンシプルに基づく筋の通った生き方。
カッコいいと思う。
読み物としてもとても面白かった。
当然、これだけの強引な政治腕力がある人なら、
賛否両論があるはずだと思う。
この本は「絶賛」だが、「否」視点の本も読んでみたいと思った。 -
白洲次郎の活躍を通じて、新日本憲法制定からサンフランシスコ条約締結までの歴史、独立を勝ち取るまでの軌跡が描かれている。
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配置場所:摂枚普通図書
請求記号:289.1||S
資料ID:50600170 -
終戦から日本の独立まで大活躍した政治家および実業家の白洲次郎の一生を描いた本。重厚で詳細である。
著者の専門は投資や金融方面らしく、この本を書くにあたって、相当の文献を読んだようだ。それもあって、ややまとまりがないというか、すべてを盛り込みすぎている感はある。
白洲次郎は活躍のわりには、政府の要職など表舞台に名前を出さなかったので、貢献の内容はあまり知られていないかもしれない。むしろ妻の白洲正子のほうがエッセイストとして有名だ。富豪の家に生まれ、ケンブリッジ大学に留学し、外交官のように、日本政府を代表してGHQとの交渉役を果たした。特に、日本国憲法制定にあたって、ものすごい駆け引きがあったわけだが(それも本書で知った)、それをギリギリのところで落としどころを付けた。のちに彼は吉田茂首相のブレーンとなり、サンフランシスコ講和条約で日本の独立を成し遂げる。後年は日本の電力発電の分野を通じて、日本の発展に力を注いだ。
本書の中にあるが、彼のすごさは「強引なまでの突破力にあると語られることが多いが、緻密な計算に裏打ちされた戦略立案能力こそ彼の本領であり、してやられた側の人間がのちに振り返ってその力量の違いに慄然とするところ」とある。
戦後日本が今の国際的地位を築くにあたって、どういう人がどういう努力をしたのかがよくわかり、こういうドラマがあったのか、と感慨深かった。やはり功績を残すのは、まじめで情熱的な人が多いのだと思う。 -
日本復興の切り札となった戦後最大の功労者白洲次郎の真の姿を描くドキュメンタリーもの。”プリンシプル”という言葉が心に残るキレキレの5☆です。裕福な家にて、何不自由なく育った次郎。大学受験失敗、英国留学、父親の会社の倒産、帰国そして父親との確執。と絵にかいたような波乱万丈の青春時代を過ごす。転機は、戦争の足音が聞こえてくる最中、時代の鍵を握る近衛文麿、吉田茂との出会い。復興に人生を賭すと心に決めた男が、GHQとの死闘、通産省の立ち上げ、日米安保条約の締結など、吉田茂と二人三脚で力の限りを尽くした様を格好良く描ききる。プラス見た目はもちろん生き方もダンディーな白州次郎の痛快なエピソードも満載。暑さを吹き飛ばす、読了後に清涼感をたっぷり感じるおすすめの一冊です。武相荘いってみ~よぅ。