天使のナイフ

著者 : 薬丸岳
  • 講談社 (2005年8月9日発売)
3.79
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062130554

作品紹介・あらすじ

殺してやりたかった。でも殺したのは俺じゃない。妻を惨殺した少年たちが死んでいく。これは天罰か、誰かが仕組んだ罠なのか。「裁かれなかった真実」と必死に向き合う男を描いた感動作!第51回江戸川乱歩賞受賞作。

天使のナイフの感想・レビュー・書評

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  • 図書館にて借りました。

    妻を少年3人に殺された、夫と残された娘。
    少年犯罪がベースで被害者家族目線で話が進みます。

    少年法に守られ、犯人の少年は「逮捕」ではなく「補導」しかも数年でまた、何事もなかったように生活が保障され未来がある。
    傷は癒えないが、未来の象徴の娘がいる。
    ひたむきに前を向く主人公。
    そんな中、加害者の少年のうちのひとりが他殺死体で見つかり事態は急変する。

    単なる少年犯罪のやり切れなさだけではなく、被害者も加害者も様々な過去があり「法」によって良くも悪くも守られている、ことに焦点があてられていてなるほどと思いました。

    妻の無くなった時の疑問点はいったい何処に・・?と思っていると散らばったヒントが一斉に回収されていって終盤はびっくりの嵐でした(笑)まさか無かったことになるのか?と思ったほど終盤でした。

    被害者は加害者であり、加害者は被害者である。
    そして少年法を一番憎んでいた自分が少年法によって守られてしまうと言う、皮肉な結果がまた良かった。

    低年齢による犯罪の多発する今、「更生」の真意が問われる今。
    何が更生なのか、贖罪なのか、考えてしまう一冊。

  • 桧山の行動には全く感情移入出来なかったが、後半に真実が明らかになっていく怒濤の展開は興味深かった。3重の事件構造はよく考えられていると思う。

  • 「贖罪」とはなにかを考えさせられる1冊。
    加害者も被害者も表裏一体なのかもしれない。
    どちらにもなり得る可能性を秘めている。

    2005年 講談社

  • 再読。読んだことを忘れてもう一度読んでしまった。この頃の薬丸岳は、まだ粗さがあるが、伝えたいことを必至に伝えようとする思いがわかる。
    少年法にまつわる悲しい犯罪の物語。妻を中学生男子3人によって殺された主人公桧山。今は4年前に起きた事件を忘れ、娘と共に過ごしている。そんな桧山の勤め先の近くで、当時の少年Bが殺された。警察は桧山を疑うが、さらに少年Cも電車のホームから突き落とされ、誰が犯人なのかと疑問に思っていると、当時の首謀者であった少年Aも殺害される。桧山は犯人に行き着くことが出来るのか。再読とはいえ、楽しく読めた。
    少年法を考えさせられた。と同時に、薬丸岳の情熱を感じる。

  • 結婚し生まれた娘が5カ月になる『桧山』の幸せな生活は、ある日突然奪われた。妻が家に押し入ってきた三人の中学生に殺されたのだ。彼らは刑事責任に問われることはなく、桧山には一切の情報も伝えられることなかった。その事件から4年後、犯人の少年の一人が桧山の店の近くで刺殺される。
    第51回江戸川乱歩賞受賞作。

    推理小説として読むなら面白かった。でもテーマは重く、柱となる事件は以前起こった実際の事件を彷彿とさせられるし、折しも少年同士の悲惨な事件が起きたばかりの今・・・唯々胸が痛い。
    本当の意味での更生とは何なのだろう。少年にに限らず、一定期間社会から隔離され自由を制限されれば、罪は償えるのだろうか?その後法に触れるような行いをしなければ(見つからなければ)更生したと言えるのだろうか?
    少年事件が起こるたびに、少年法の是非はよく議論されることがあるが、被害者や遺族は置いてきぼりだ。
    被害者の過去は、警察は当然マスコミもあっという間に調べられるんじゃないだろうかという点が気にはなったが、強く訴えながらも推理小説としても読みごたえのある一冊だった。

  • 久しぶりに、「夜中までかかっても一気読み」してしまった。
    そのくらい読みやすくて、やめられないほど面白かった。
    評判は高かったしずっと読みたいと思っていたのだが、評判も忘れた頃に手元に届き、さてどうだろうと読み始めたのだが、ぐいぐいと引き込まれてあっという間に読んでしまった。

     カフェのチェーン店のオーナー店長である桧山は4歳の娘と二人暮し。可愛い盛りの娘を保育園に預け、店に出勤する。妻は、娘が5ヶ月の時に、自宅で中学生三人に殺された。
    娘の保育園の保母は亡くなった妻の同級生で娘をとても可愛がってくれる。
     何故、妻が殺されたのか、誰が手を下したのか、犯人が何を考えていたのか、知りたくても未成年の犯罪は少年法に守られて何も知る事はできなかった。
    少年法が改正された後、記録の閲覧が許され、桧山も閲覧したが、何一つ変わるわけではなかった。
     事件から三年以上経ち、娘の成長を見守り表面上は平穏な日々を過ごす桧山の店に当時事件を担当した刑事が現れた。
     桧山が一人で閉店後の店にいた時間、店から近い公園で三人のうちの一人が殺されたという。
    事件当時、未成年ということで罰せられないなら自分が殺してやりたいとテレビで言った桧山には彼らを恨む理由がある。
     疑われている。だが、桧山は犯人の三人の名前すら覚えていなかったのだ。事件後、彼らのことなど考えた事もなかったが、彼らのことが知りたいと思った桧山は彼らを追う。
     店は、妻の事件当時からフリーターとして勤めている福井や、新人だが覚えもよく気も回る歩美らに任せ、娘は妻の同級生の保母に預け、殺された少年が送致された施設から訪ねてみる。
     しかし、新たな事件は始まったばかりだった。妻の事件の犯人が次々と襲われる。
    そんななか妻の事件当時から犯人の少年についた弁護士や、関連の記事を書くライター、もちろん刑事、妻の母、といった登場人物がそれぞれに立場や考え方をみせて、少年法のあり方に迫っていく。
     少年犯罪の被害者として、犯人の三人のその後を知りたいと追い始めた桧山だったが、驚くべき結末にたどり着く。妻殺しの真の犯人は……。そして、その妻はなぜ殺されたのか…。
    単純な犯人ではないことが救いのような、真の犯人の重みがやりきれないような、複雑な読後感でした。

    すべてが終わった後、桧山と娘がのどかにやわらかい日々が過ごせたらほんとうに良いなと思いました。彼女が光の似合う、素直な娘に育ちますように。

  • 速い!

     展開が速くて読みやすい。あと一割ほどはダイエットできる気がするけど。妻が惨殺され、犯人が次々に殺される。真犯人は一体?ってな、謎の引っ張りが良い。

     どうなるの?って気分でどんどん進む。そんなうまいこといくかいなって部分がなくはないが、速さがそれをカバーする。

     後半のたたみ込みはすごい。たくさんの少年殺人犯が一気に明らかになる。二段階どんでん返しとでも言おうか。なかなかよく考えられたストーリーで驚いた。後半は頭がついて来ないほどの速度だ。細かいところは別にしてすばらしいミステリーだな。

  • 少年犯罪について深く考えさせられた作品。
    ミステリーとしては面白かったけど、後味の悪さを感じた。

  • 図書館借り。3時間半で一気読み。
    少年犯罪と少年法の暗くて深い闇。

    私が被害者家族なら、犯人は殺さないけど、一生つきまとって罪を忘れさせない。
    けど、もし加害者家族になったら、正直どうしたらいいのかわからない。

    凄く考えさせられる小説だ。

    この作家さん、初読みなんだけどちゃんと全てに意味があって、話がつながるのは、さすが江戸川乱歩賞受賞作!

    それにしてもなー。改正された少年法、まだまだ手緩いと思うんだよなー。実名報道しないで守られてたら、罪の意識うすくなる気がする…。

  • ミステリー長編。妻を3人の少年に殺された過去をもつ桧山貴志。4年後、少年のうち一人が桧山の経営する店の近くの公園で殺された。疑惑の人となった桧山は自ら、何が少年たちを犯罪に追いこんだか探り始める。主人公桧山の妻は店にアルバイトにきて桧山の子供をもうけるが、桧山の知らない妻の過去があった……。生き残った娘を預けた保育園の保母が殺された妻と知り合いだったり、店のアルバイトの女の子が妻の過去に関係したり、まだまだ複雑に人間関係が絡まっていますね、一度読むだけでは理解できてません。返すのが残念(>_<)

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