天使のナイフ

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1130
レビュー : 250
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062130554

作品紹介・あらすじ

殺してやりたかった。でも殺したのは俺じゃない。妻を惨殺した少年たちが死んでいく。これは天罰か、誰かが仕組んだ罠なのか。「裁かれなかった真実」と必死に向き合う男を描いた感動作!第51回江戸川乱歩賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館にて借りました。

    妻を少年3人に殺された、夫と残された娘。
    少年犯罪がベースで被害者家族目線で話が進みます。

    少年法に守られ、犯人の少年は「逮捕」ではなく「補導」しかも数年でまた、何事もなかったように生活が保障され未来がある。
    傷は癒えないが、未来の象徴の娘がいる。
    ひたむきに前を向く主人公。
    そんな中、加害者の少年のうちのひとりが他殺死体で見つかり事態は急変する。

    単なる少年犯罪のやり切れなさだけではなく、被害者も加害者も様々な過去があり「法」によって良くも悪くも守られている、ことに焦点があてられていてなるほどと思いました。

    妻の無くなった時の疑問点はいったい何処に・・?と思っていると散らばったヒントが一斉に回収されていって終盤はびっくりの嵐でした(笑)まさか無かったことになるのか?と思ったほど終盤でした。

    被害者は加害者であり、加害者は被害者である。
    そして少年法を一番憎んでいた自分が少年法によって守られてしまうと言う、皮肉な結果がまた良かった。

    低年齢による犯罪の多発する今、「更生」の真意が問われる今。
    何が更生なのか、贖罪なのか、考えてしまう一冊。

  • 桧山の行動には全く感情移入出来なかったが、後半に真実が明らかになっていく怒濤の展開は興味深かった。3重の事件構造はよく考えられていると思う。

  • 再読。読んだことを忘れてもう一度読んでしまった。この頃の薬丸岳は、まだ粗さがあるが、伝えたいことを必至に伝えようとする思いがわかる。
    少年法にまつわる悲しい犯罪の物語。妻を中学生男子3人によって殺された主人公桧山。今は4年前に起きた事件を忘れ、娘と共に過ごしている。そんな桧山の勤め先の近くで、当時の少年Bが殺された。警察は桧山を疑うが、さらに少年Cも電車のホームから突き落とされ、誰が犯人なのかと疑問に思っていると、当時の首謀者であった少年Aも殺害される。桧山は犯人に行き着くことが出来るのか。再読とはいえ、楽しく読めた。
    少年法を考えさせられた。と同時に、薬丸岳の情熱を感じる。

  • 結婚し生まれた娘が5カ月になる『桧山』の幸せな生活は、ある日突然奪われた。妻が家に押し入ってきた三人の中学生に殺されたのだ。彼らは刑事責任に問われることはなく、桧山には一切の情報も伝えられることなかった。その事件から4年後、犯人の少年の一人が桧山の店の近くで刺殺される。
    第51回江戸川乱歩賞受賞作。

    推理小説として読むなら面白かった。でもテーマは重く、柱となる事件は以前起こった実際の事件を彷彿とさせられるし、折しも少年同士の悲惨な事件が起きたばかりの今・・・唯々胸が痛い。
    本当の意味での更生とは何なのだろう。少年にに限らず、一定期間社会から隔離され自由を制限されれば、罪は償えるのだろうか?その後法に触れるような行いをしなければ(見つからなければ)更生したと言えるのだろうか?
    少年事件が起こるたびに、少年法の是非はよく議論されることがあるが、被害者や遺族は置いてきぼりだ。
    被害者の過去は、警察は当然マスコミもあっという間に調べられるんじゃないだろうかという点が気にはなったが、強く訴えながらも推理小説としても読みごたえのある一冊だった。

  • 速い!

     展開が速くて読みやすい。あと一割ほどはダイエットできる気がするけど。妻が惨殺され、犯人が次々に殺される。真犯人は一体?ってな、謎の引っ張りが良い。

     どうなるの?って気分でどんどん進む。そんなうまいこといくかいなって部分がなくはないが、速さがそれをカバーする。

     後半のたたみ込みはすごい。たくさんの少年殺人犯が一気に明らかになる。二段階どんでん返しとでも言おうか。なかなかよく考えられたストーリーで驚いた。後半は頭がついて来ないほどの速度だ。細かいところは別にしてすばらしいミステリーだな。

  • 図書館借り。3時間半で一気読み。
    少年犯罪と少年法の暗くて深い闇。

    私が被害者家族なら、犯人は殺さないけど、一生つきまとって罪を忘れさせない。
    けど、もし加害者家族になったら、正直どうしたらいいのかわからない。

    凄く考えさせられる小説だ。

    この作家さん、初読みなんだけどちゃんと全てに意味があって、話がつながるのは、さすが江戸川乱歩賞受賞作!

    それにしてもなー。改正された少年法、まだまだ手緩いと思うんだよなー。実名報道しないで守られてたら、罪の意識うすくなる気がする…。

  • ミステリー長編。妻を3人の少年に殺された過去をもつ桧山貴志。4年後、少年のうち一人が桧山の経営する店の近くの公園で殺された。疑惑の人となった桧山は自ら、何が少年たちを犯罪に追いこんだか探り始める。主人公桧山の妻は店にアルバイトにきて桧山の子供をもうけるが、桧山の知らない妻の過去があった……。生き残った娘を預けた保育園の保母が殺された妻と知り合いだったり、店のアルバイトの女の子が妻の過去に関係したり、まだまだ複雑に人間関係が絡まっていますね、一度読むだけでは理解できてません。返すのが残念(>_<)

  • 自宅で妻を殺されたにも関わらず、犯人が少年であったために犯人の詳しい身上もわからず、たいした罪にも問われなかった憤りを抱えて生きていた桧山は、犯人だった少年の一人が自分の職場近くで殺されたことを知る。
    なぜ少年は殺されたのか。彼を殺したのは誰なのか。少年たちは本当に更正したのか。そもそも更正とはどういうことか。
    事件を追いかけていくうちに、桧山は妻の殺害事件にも隠された謎があったことに気づく。
    過去と謎が明かされていく後半の展開が見事で、唸らされた。
    この作品が発表された当時よりも犯罪被害者への対応は変わってきていると思うけど、今読んでも重く大事なテーマだなと思う。

  • (平成17年)第51回江戸川乱歩賞受賞
    最終選考の候補5篇のなかでも圧倒的な支持だったようです

    少年法をテーマとしており、人格の「可塑性」により罰せられない少年たちの更生と贖罪、そして復讐からなる作品

    被害者の遺族をマスコミが押し寄せる描写もある
    加害者の人権を尊重した法があり、どうして被害者のほうが苦汁をなめる思いをしなければいけないのだろうか?
    現代のテレビ報道に対する不満でもあります

  • 薬丸岳の少年犯罪小説を読むと、少年犯罪の厳罰化を願うと共に、いつか親になったとき我が子が被害者になる可能性も加害者になる可能性もありえるのだと思わされる。今回の話は罪と贖罪がテーマ。

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年に『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年に『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を、2017年に短編「黄昏」で第70回日本推理作家協会賞〈短編部門〉を受賞。『友罪』『Aではない君と』『悪党』『死命』など作品が次々と映像化され、韓国で『誓約』が20万部を超えるヒットを飛ばす。他の著作に『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』『刑事の怒り』と続く「刑事・夏目信人」シリーズ、『神の子』『ガーディアン』『蒼色の大地』などがある。

「2020年 『告解』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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