- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062130745
感想・レビュー・書評
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図書館。小説。タイトルと装幀が好き。面白いがこちらもラストがちょっと…でもこれが前田司郎の味なのか。
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まさにタイトル通り、「愛でもない青春でもない旅立たない」。大学に行ったり、バイトしたり、彼女とすれ違ったり、女友達が気になったり。爽やかさはひとつもなく、全体を通してモラトリアム期間中の倦怠感や行き詰まり感、焦燥感や孤独感が漂っていて、読んでいて楽しい気持ちにはなれないけれど身に染みた。夢と現をさまよっているような文章なのに読後は現実が心にのしかかってくるようで、不思議な気持ち。
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僕と僕の性器の日常について
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タイトルが素敵。文章もいい。
ある男子大学生の青春のようなもの。このウダウダ感が大学生っぽいなぁ。男の気持ちを描いているけど心情描写は割とわかるような気がした。夢のとこと芸術のとこは私の感性と想像力ではまだ難しかったなぁ。でも、訳分からなくて面白い。
15/10/02 -
『コモドオオトカゲっておじさんくらいの大きさあるらしいよ』
『おじさんてどれくらいの?』
『普通の』
『日本人?』
『そこまではわかんないけど、コドモ島のおじさんくらいの大きさなんじゃない』
『会っても別に何をするわけでもない。セックスしたり、キスをしたり、まなみの趣味に付き合ったり、オッパイをもんだり、するだけだ。オッパイをもむのも、なんだかこう、よっこいしょという感じになってきた。まあ、意味伝わってないと思うんだけど、こう「隊長、自分がやるであります!」というのではなく「自分でありますか?」というか、要するにユニークな表現をあきらめて言えば、トキメキがなくなった。』
『夢をコントロールできる事を知った、というか気付いたという方が近いかも知れない。だからエロい事もし放題なのだが、あんまりエロい事を起こしすぎると心拍数があがりすぎて体の方が目覚めてしまう。なのでエロい夢はソフトな感じ、コンビニに置いてある程度のエロスにとどめとくのがベストだ。』
『まなみは目がパッチリと大きいので半ベソにも通常人の完ベソほどの迫力があった。』
『まなみの家でセックスをして僕は裸で、まなみは食器を洗いながら紅茶をいれている。おじいさんは山で裸で、おばあさんは川で紅茶を入れながら裸で。おじいさんはおばあさんのお尻を見上げている。うーん、足と尻のつぎ目に黒ずみが目立ちますなあ。そうか、桃太郎の大きな桃は女性のメタファーだったのか。』
『両の内モモが付け根に向かってその秘密を濃くしていく神秘を、科学者のような気持ちで見つめていた。』
『アバズレみたいだね、と言ったら、アバズレってそもそも何? という話になり、喫茶店ではもっぱらその話しかしなかった。アバが少しずれた女の総称という事で方がついた。』
『計ってみた。目を瞑り、一分数える。目を開けて時計を見ると、一分二十六秒たっていた。僕が世界から遅れ始めているようだ。』
『元宮ユキのおっぱいが机の上に乗っている。重いので意図的にそこに乗せているのか? 僕にはおっぱいがないのでその扱いについてはほとんど無知だ。円を描くように揉め、と有名なAV男優は言っていたが、彼だっておっぱいの日常に関しては無知なはずだ。デブは意外と知っているかも知れない。』
『相撲取りは醜悪だ。特にただデブなだけみたいな、歩くのもやっとみたいな相撲取りは醜悪だ。でもその健康を切り売りして日当を稼ぐような生き方は意外とパンクな気がする。』
『アンミツはさ、やっぱ実力でここまできたって感じがするんだよね、だって味以外になんのセールスポイントもないじゃん ー タイ焼きは、タイの形でメデタイっていう付加価値があったからこそここまでこれたと思うんだよね』
『この彼がタイ焼きは、鯛の形でおめでたいから、大して美味しくないのに生き残ったって言うんですよ』
『僕は勃起しているが、その気持ちは痛いほどわかるよ、でも、これは餌じゃないんだよ、自分の小屋にお帰り、さあ、いい子だから。』
『僕は欲望に飼いならされた犬である。意思などは欲望の前では犬である。』
『携帯のボタンが上手く押せない。
こんた
こんて
こんっ
こんた
上手く押せない。
こんっ
こんだ
今度また会ってください。』
『まなみと繋がっていたい共有したいっていう感覚は、感傷だろうか性欲だろうか。』 -
まなみさん、
なんかすごいなー
夢か現実か
所々気になる言い回しで、
最後まで楽しめたと思う。
自問自答がなんかとても良かった -
世界の中心で愛は叫ばないし
青春だあ。なんて言って汗をかくワケでも無いし
まして、オレは〜自分探しの旅に出掛けるぞお。
なんて思って、旅立つ事なんてない。
だけど、これが、極々真っ当な青春なんだ。
一人称で語られていく主人公の日常
なので、常に男子目線で物語は進んでいきます。
けど、彼の心象風景に共感できる。
面白いといえば面白い小説なのかも知れない。
何事も無さすぎて面白くないのかも知れない。
でも、やっぱり、なんだか
納得の共鳴できる青春小説なのです。 -
~引用~
「最近、三人でいることが多くなった。恋人との時間は短くなってきている。メールとか電話とか頻繁で、別に会いたいと思わないかもしれない。会っても別に何するわけでもない。セックスをしたり、キスをしたり、まなみの趣味に付き合ったり、オッパイをもんだり、するだけだ。オッパイをもむのも、なんだかこう、よっこいしょという感じになってきた。まあ、意味伝わってないと思うんだけど、こう「隊長、自分がやるであります!」というのではなく「自分がでありますか?」というか、要するにユニークな表現をあきらめて言えば、トキメキがなくなった。オッパイも自分のオッパイをもんでんのと大して変りないし、セックスもオシッコと同じになってきている。別にセックスするために付き合ってるわけじゃないし、という大義があるので、お互いやっていっている。なんで会いたいとか、愛してる?とか、いや愛してるよ、とか言うのか。」(p.8) -
こんな大学生活が送りたかった。これぞまさに、大学一年日吉の並木道を通った時に胸に秘めた理想であった。
完全にナルシスト小説。でもところどころ(僕好みの)自意識過剰描写がでてきて、好感を持たずにはいられなかったな。
やはり小説が好きな人間は気持ち悪いな。あ、いや、気持ち悪いのは自分だけか。。。
芸術の素養がないので、たまに織り交ぜられる(特に後半の)ファンタジーは全く理解できませんでした。なむ… -
前田さん初の小説。
やはり好きだ!