- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062131100
作品紹介・あらすじ
「あたしも一座に」-歌吉、こと中橋広小路の駕篭屋赤松の娘・お吉は、踊りの師匠・水木歌仙率いるお狂言師一座に加えてもらうことになった。お狂言師は、大名家の奥向きにあがって狂言や踊りをご覧に入れる。胸の高鳴るような話の直後、事件は起きた。これからは、歌吉の名を立てて、生きていかなければならない。そんな折、歌吉は、何者かに連れ去られる…。直木賞作家が放つ長編時代小説。
感想・レビュー・書評
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お狂言師歌吉うきよ暦 シリーズ 初作品
お狂言師とは➡︎女性のみの一座を組み、男子禁制の大奥や、諸大名の奥向きで、芝居や舞踊を演じる人
駕籠屋“赤松"の娘、お吉は、三代目・水木歌仙に、6歳から、踊りの弟子として、稽古にはげんでいた。
ようやく念願の、お狂言師となり、一座に加えてもらえることが決まった矢先、相弟子のお糸に嫉妬され、顔に、一生消えない傷を負わされてしまう。
失意から立ち直り、お狂言師として生きて行くと決意した、お吉に、お小人目付の日向新吾と岡本才次郎が近づいた。
二人は、目付・井出内記の配下で、隠密として働いていた。
悪名高い、水野の気勢を削ぐためには、彼の手足となって暗躍する、榊原主計頭を目付の座から、落とす必要がある。
その為、主計頭の罪過の確たる手証を手に入れたい。
お吉の姉弟子の歌津代が、主計頭の妾となっているので、密かに、彼女を探って欲しい。と言われ、お吉は、隠密の手駒となって働く事になった。
陰謀渦巻く世界へと入り込み、大活躍するお吉。
初作家さんだったが、
江戸の情緒が仄見えて、面白かった。
次シリーズ"大奥二人道成寺"が楽しみ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
江戸の情景が、風情が、人情がそこに浮かんでくる。もちろん歌吉の気丈さには惹かれるが、お師匠さんの歌仙がいかしてるんだよなぁ。歌吉にとって日向は守護神であるけれど、そもそも彼女を危険に導く疫病神でもある。けれど、歌仙にはえも言われぬ存在感があって、彼女の許にいれば善人は救われるかのごとき安心を抱かせるのだ。『大奥二人道成寺』に向かいたし。
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杉本さんの時代小説を読むと、当時の社会通念や風俗、江戸の風俗、家庭の内実などが身近に感じられる。言葉の選び方が秀逸で、必然性を感じる選択だと思う。物語の進め方も伏線の回収も上手く、すっきりとした読後感を得られるので、何度も繰り返し読みたくなる。要素のバランスの良さが際立っているので、それ故に捕物なのか、ミステリーなのか、という様にジャンルを期待して読むと物足りなく感じるかも。個人的には女性目線で、登場人物の心の機微が判りやすく描かれていて共感出来る。
男女で評価が分かれるのかも。
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・・・今更ながら、「狂言師」の意味がわかりました。
この物語に出てくる「水木歌仙」師は実在の人物なのでしょうか。気になる。 -
各話が短いためか、物足りなく感じる。歌吉の頬の傷も無理してつけた感があるし、登場人物たちの関係も説明不足ぎみだ。日向が相手役なのかと思っていたら宗助登場。いい男のふりして最後別人ですか、あれは何ですか、結末の1頁にも脱力。 (続きがあるのを知っていて良かった~。) このもやもや感は次ですっきりするのでしょうか。
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表紙の藤娘お吉美しいねえ。いきなり続編読んじゃったのが去年の10月か。(http://booklog.jp/users/yyukari/archives/4062149583)このとき続編が新刊だったから、まだ次は出てないんだろうな。お吉がなぜ頬に傷持つ女スパイになったか、ということはこれで明らかになったからスッキリ。。でもなんかなー。お吉が日向たちに抜擢されたのも無理矢理感があるし、怪我をさせたお糸の一件も、こんなことで?てかんじだし。。宗助はこうした流れでお吉と出会うわけか。日向との絡みも、こんだけ?なんかもうちょっと、お吉と運命的なつながりであってほしかったなー。結局日向はお吉にちょいと惹かれはしながらも利用してるだけの男なんだろうか。似たような設定だけど隼新八&お鯉のほうがだんぜんドキドキしながら入れ込んで読める。巨悪に立ち向かう。。というにも、パキっと悪人に描かれてる人いないし。主計頭もそこそこいい男描写だし、こいつ悪そうっって思うの百川くらいだし。歌仙のしゃべり口調がすきだから歌仙を主役にもっと短篇でいいから書いてほしいなー。お吉はなんか不幸も美貌もスパイのキレも中途半端。杉本さんは江戸ものお得意みたいだからべつのお話も読んでみよう。
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え、これでおわり? 続きだして。