わたしの、好きな人

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 130
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062132794

作品紹介・あらすじ

肩車からながめた夕焼け空。夜の駐車場で見つめた月。わたしのそばには、いつもあなたがいてくれた-。これは、ホントの恋。

感想・レビュー・書評

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  •  零細町工場の娘・さやかは住み込み従業員・杉田に恋をしている。さやかが赤ん坊の時からずっと近くにいてくれた、家族同然の杉田の一挙一動、ほんの一言にもドキドキする。親友にも相談できずに悩みを抱え込んでいるところへ、父が脳梗塞で倒れてしまい、引きこもりの兄はパニックを起こし姿を消してしまう。父に代わって工場を1人で切り盛りする杉田を支えようと、さやかは少しずつ成長して行くが……。


     図書館本。
     予想以上に私には合わない話だった。残念。
     2回りの歳の差恋愛ということで、一般的な恋愛小説とは少し違うのかと期待したんだけど、大差なし。まあ、私には恋愛小説が合ったためしが無いので、そんなものかな。
     大人向けとしては心情の掘り下げ不足、主人公と同世代の子には言葉の選び方が難しく堅苦しいという印象だった。

     作中に“看護婦”と出てくるので、えっ!?と思ったら、ストーリーの大部分は1993年くらいの出来事。確かに、携帯電話も出てこないし、パソコンもあまり普及していないし。

     12歳の子の恋心を描いたストーリーだが、会話での年相応の幼さと、さやかの一人称による地の文の豊か過ぎるボキャブラリーのギャップがありすぎて、違和感しかなかった。大人になったさやかの手記みたいなものと思えば良いのだろうが……。

     加えて、さやかの言動を見ていると、とにかく自分、自分で疲れてしまった。12歳ならこんなものではあるのだろうが、ずいぶん甘やかされてるな、と思ってしまった。
     ずっと父子家庭で、12歳にもなって料理も満足にできない、入院した父親の着替えに何を選べば良いのかわからない、健康保険証のある場所も知らない……良いとこのお嬢さんですか?と言いたくなる。
     90年代初頭ならまだまだ、女の子なんだから家事ぐらいしろ!って風潮だったと思うんだけどねえ。まあ、何も教えなかった父親がダメダメなんだけど。

     12歳だから世界が狭いのは無理もないのだが、家と学校と数少ない友達とのお喋り……たったそれだけの中から身近な大人の男性を選び気持ちが揺るがない、というのは純愛と言うよりも依存と感じてしまう。さやかに甘く、キツいことも言ってこない杉田は依存対象としてうってつけだろう。
     昔の少女漫画なみに世界の狭いこういう恋愛、あまりしてほしくはないなあ。

  • ★3.5

    わたし、さやか12歳。
    小さな町工場をやってるおやっさん(父)と、住み込み従業員の杉田さんと、
    高校卒業後、働かず部屋に籠ってる7つ離れた嫌な兄貴と暮らしてる。
    生後半年の頃母が出て行った。
    その入れ違いの様にリュックサック一つ背負って現れた杉田。
    親友のセイラにはショボイって言われるが、私は杉田が大好き…。


    生活は決して楽ではないけれど、さやかの毎日は輝いている。
    12歳のさやかは、家族同様で、さやかを育ててくれたと言っても
    良い位の36歳の杉田に密かに想いを寄せてる。
    恋愛とは言えないかもしれない…。
    家族愛に近いものかもしれない…。
    大人の男性に憧れてるだけなのかもしれない…。
    でも、小学生の女の子の微妙に揺れ動く気持ちが、
    ひた向きな気持ちが、純粋さがさやかのモノローグで語られてるから
    切ない程伝わってくる。溢れてる。

    保育園に杉田が迎えに来ると、羨ましそうな先生達の目をしっかりと
    背中に意識しながら、わざと杉田の逞しい腕にぶら下がった…。
    なんて、子供なのに張り合ってる~。
    可笑しくて、吹き出してしまった。

    ラストの8年後の皆の姿が良かったなぁ。
    再開後がどうなるのか、気になった。
    さやかの恋が実ってくれると良いなって思った。
    淡くて、ほんのり甘酸っぱくて爽やかで
    読みながらも、読んだ後もほっこり幸せな気持ちになれました。

    児童書なのかなぁ…漢字にルビがかなりふってあるけれど、
    大人でも十分楽しめて、幸せな気持ちになれる本でした。

  • 12歳の少女が36歳の男杉田を真剣に好きになる、切ない恋と家族のお話。
    12年前、家を出ていった母と入れ違いにやって来て、
    父の小さな工場で父の右腕となった杉田。
    今では杉田は単なる従業員ではなく、家族同然の存在だ。
    わたしは高校を出て家でブラブラしている兄貴がうっとうしい。
    そんなある日、父が急に倒れて。
    わたしにはもう杉田しかいない。
    けれど、わたしは杉田の過去をまるで知らなかった。
    小学校高学年から。

  • 「小学6年生のさやかの家は、小さな町工場。母親はさやかの幼い頃に出奔したため、父と兄の3人家族だ。母親と入れ替わるようにして工場に現れて以来、父を支えて一緒に働いてきた杉田も、もはや家族の一員といえるかもしれない。さやかは二回りも年の離れた杉田に、ひそかに想いを寄せていた。その気持ちは家族愛に近いものなのかもしれない。しかし、さやか本人にとっては、ひとりの女性としての真剣な恋心なのだった……。」

  • 小学生の恋
    侮ってはいかんね。

  • 幼くても真剣な恋。

  • 八束さん?
    自身初の作家さんだけど、まぁまぁ楽しく読めました(´・Д・)」

    女の子の日常?初恋?を描いた書籍です。

    読み終わっての素直な感想は?






    『嬉しい事も〜辛い事も〜
    色々有ったけど、私!元気です!』的な?感じ? 出典⇒魔女の宅急便

    それでも人は前に進む!
    それでも人は歩き続ける!

    もし良かったら読むべし*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*

  • 昨年、『明日に続くリズム』を読んでいいな、と思ったので、図書館で見かけたこちらも読んでみました。ヤングアダルト世代に向けて誠実に書こうとしているところが、好感が持てます。

    年代的にやや古い話にしてるのはなぜなのかが、ちょっと気になりました。最後に明かされる杉田の過去のエピソードをちょっと変えれば、現代でも十分違和感ないストーリーなのですが。

  • 第44回 平成18年

  • 児童向けのためか、さくさく読めました。
    殻に何年ものあいだ閉じこもっていても、
    何かの弾みで割れて、外に出られるんですね。

    人って変われるんですね。


    余談になりますが、
    この本を読んでいた時期は
    なぜかいたるところで『学生運動』というワードを目にしていたのを憶えています。

    いったい何を訴えかけられていたのだろうか・・・

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著者プロフィール

児童文学作家、日本児童文学者協会会員

「2017年 『ぼくらの山の学校』 で使われていた紹介文から引用しています。」

八束澄子の作品

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