井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法

  • 講談社 (2006年7月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (76ページ) / ISBN・EAN: 9784062135108

作品紹介・あらすじ

「憲法の大切さを子どもたちに伝えたい」
        ーー作家・井上ひさしの新しい試み


<絵本>憲法のこころ

 平和憲法の精神を表している「前文」と「第九条」を、
 井上ひさしが子どもにも読める言葉に「翻訳」。
 いわさきちひろの絵とともに、
 憲法の内容を、心で感じよう。


<お話>憲法って、つまりこういうこと
 
 井上ひさしが、小学生に語りかけたお話。

 1憲法ってなんだろう
 2なぜ「きまり」がいるんだろう
 3憲法にも種類がある?
 4憲法前文を読んでみる
  「あたらしい憲法のはなし」
  (昭和22年日本国憲法が施行されたとき、文部省が子どもたちに配った冊子より)
 5「象徴」ってなんだろう
 6第九条のこと
 7「個人の尊重」ってなんだろう
 8日本人であるということ
 9私たちの使命

 
<付録>

 日本国憲法(全文)


(「はじめに」より)
「二度と武器では戦わない。ーーこれは途方もない生き方ではないか。勇気のいる生き方ではないか。日本刀をかざして敵陣へ斬り込むより、もっとずっと雄々しい生き方ではないか。度胸もいるし、智恵もいるし、とてもむずかしい生き方ではないか。そのころの私たちは、ほとんどの剣豪伝を諳(そら)んじていましたが、武芸の名人達人たちがいつもきまって山中に隠れたり政治を志したりする理由が、これでわかったと思いました。剣よりも強いものがあって、それは戦わずに生きること。このことを剣豪たちはその生涯の後半で知るが、いま、私たちはそれと同じ境地に立っている。なんて、誇らしくて、いい気分だろう。
 この子どものときの誇らしくていい気分を、なんとかしていまの子どもたちにも分けてあげたいと思って、私はこの本を手がけました。」

感想・レビュー・書評

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  • 井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法 - YouTube
    https://www.youtube.com/watch?v=cXr0Jymes8k&feature=youtu.be

    『井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法』(井上 ひさし,いわさき ちひろ)|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000183309

  • この本が出た2006年、既に話が出ていた改憲は、まだ成立していない。でも、改憲に向けた動きがなくなったわけではない。
    スイスみたいな平和を維持するために自国の防衛のための武力を保持する、という考えと、完全武力放棄と、どちらが良いんだろうか、というのは、ずっと考えてるけど、答えが出ていない。日本の自衛隊の現状が憲法と合致していないのはたしかにそうなんだけど、だから憲法を変えよう、と言われると、本末転倒のように思えてしまって、違和感しかない。
    この本を読んで改めて、いまの日本国憲法の考えが私は好きだなと思った。どうかこの考えが、子どもたちが大人になる頃まで、受け継がれますように。

  • なぜ憲法改正なのか。

    本当に日本国憲法は時代にそぐわない黴の生えた代物なのか。
    本当に日本国憲法では日本人は主権者としてのアイデンティティを確立できないのか。

    あらためてそういうことを考えさせらえれました。

  • 井上ひさしさんが、日本国憲法の前文、そして9条を「日本の国のかたち」として、いわさきちひろさんの絵と共に、子どもにもわかるような言葉で解説しているこの著者。書かれているのは簡単な言葉で書かれた憲法の前文と9条条文なのに、なぜか胸がじーんとして涙が出そうになってしまったと言ったら、信じてもらえないかもしれない。けれど、この憲法の持つ大きな希望、そして、それを子供たちに心から真摯に伝えようとするそのことは、井上氏の切実で大きな願いとして心に響いた。

    小学校の社会の授業で、日本は武力を持たない、戦争をしないという国の大きな決まりを持っていると習ったときに、なんて当たり前のことを謳っているんだろうと思った。戦争で沢山の人がなくなって、国が焼け野原になって、原子爆弾まで落とされて…それでもまだ戦争をするなんて考えられないと思ったから。
    でも、世界で武力を持たないと宣言している国など日本以外のどこにもないとしって、そのことを大きく国の決まりとして掲げているこの日本ってすごいんだと思った。

    井上氏も繰り返し述べていたけれど、武力を持たず、基本的人権を尊び、問題は話し合いで解決する、ということを定めたこの憲法は本当に旧くなってしまったのだろうか?それどころか、他のどこの国にも定めていないこの国のかたちは、まだまだ新しいものなんではないだろうか?

    最高裁で違憲判断がでた選挙区の問題。実際は違憲状態のまま、この国の政治が行われてる。日本の進むべき道が曖昧なのも、違憲状態を放置してしまうそのことにすごく大きな問題があるのではないかと思えてならない。

    もう少し娘たちが大きくなったら、必ず一緒にこの本を読みたいなと思う。

  • きょうは憲法記念日だ、と思ってずっと前に読んだ本を本棚から何冊か探し出した。そのうちの一冊。
    たぶん、今まず必要なのは、憲法には何が書いてあるのかをもう一度確認することなのだと思う。
    そういう意味で、この本はとてもわかりやすく、そしてちょっと胸がふるえるようなようなことばが書いてある。ことばの力を信じる人が、子どもたちに向かって精一杯語りかけているからだと思う。

    よく考えぬかれたことばこそ
    私たちのほんとうの力なのだ

    そのことば通り。
    まずは、ここから。

  • 日本人として忘れたくないことを、宣言として憲法にしているのだ。
    ということを、教えてくれる本。
    終戦記念日にみんなで群読でもしたい。
    こころにひびく言葉と絵で伝えてくれる。

  • 「憲法は『この国のかたち』」
    「個人の尊重とは、この世に生まれたひとりひとりが自分であることを尊んで、自分が自分でなくなることをおそれること」
    「日本国憲法は、人類の歴史からの私たちへの贈り物であり、しかも最高傑作だと私は信じています。日本国憲法の力で、世界中の問題を解決することができれば、私たちは人類の歴史に、まことに大きな贈り物をすることになるのではないでしょうか。」

  • 分かりやすく日本国憲法について書いてあって、改めて日本に生まれてきて良かったなと思った。80年前に作られたこの憲法があるってすごい。だから、日本は平和であるし、安全に安心して暮らすことができる。誇りをもって、世界の人に日本国憲法の良さを伝えていきたい。

  • 『子どもにつたえる 日本国憲法』
    井上ひさしさんといわさきちひろさん絵の
    小学生にも読めるようにやさしくしてくれた全文と第九条

    そして憲法をわかりやすく話してくれた
    「憲法って、つまりこういうこと」

    とても温かな、日本が誇らしい気持ちになる、日本国民全てにオススメしたい1冊です

    はじめに より
    「剣より強いものがあって、それは戦わずに生きること  〜中略〜
    なんて誇らしくて、いい気分だろう
    この子どものときの誇らしくていい気分を、なんとかしていまの子どもたちにも分けてあげたいと思って、私はこの本を手がけました」



  • 日本国憲法の前文と第9条が易しい言葉で分かりやすく書かれた1冊。いわさきちひろさんの絵本パートは、まるで詩を読んでいるみたいだった。
    子供はもちろん、憲法も政治も興味を持っていない、興味はあるけど難しいと感じている大人の方にもお勧めしたい。

  • YouTubeから本を見つけて購入。
    現在の自民党の国会議員に見せたい1冊です

  • 恥ずかしながら憲法の中身を知らない
    今更人に聞けない
    そっと紐解く
    なるほど
    私もこの国に生まれたことを自覚しなくては

  • 井上ひさしさんの第九条への思いがひしひしと伝わってきました。

  • ち:憲法記念日がある5月に読み聞かせ。前文と第9条のみ
    BOOKトークこみで、ぽかーんでしたが、ケンカしないでいられるように
    考え続けることをやめちゃいけないという話をしました。

    *********
    ★2022.5(1年・2年・3年)

  • 2012年2月27日
    子ども用に買ったものだけど、自分でも読んだ。

    基本的には純粋な平和のお話だと思う。

    が、疑問に思ったところがいくつかあった。
    普通の大人ならとーぜん知ってることかもしれないんだけど、私はどーにも、あほすぎる…

    疑問その1
    (p40「あたらしい憲法のはなし」の引用より)
    だから、こんどの戦争をしかけた国には、大きな責任があるといわなければなりません。

    →それって、日本じゃないの?真珠湾の奇襲攻撃??

    疑問その2
    (p41 憲法の前文の話)
    「この憲法をつくったのは日本国民である」と書いてある。

    →え?GHQじゃないの??

    疑問その3
    (p46 第九条の話)
    日本国家が国としてよその国の人を殺したり、武器をつくってよその国に売ったりはしていません。

    →日本のメーカーで武器作ってるところあるよね?「日本国家が国として」じゃないからいいの?それとも、外国に売ってないの?

    疑問が出てくると、うまく読み進められない。疑問が頭について、内容がわからなくなる。

  • 憲法の出来た背景、想い、現代を生きる我々に伝えたいことがわかりやすく書いてある。

  • とても大事なお約束を
    わかりやすく書いてあり
    大人にも子どもにもよみやすい

  • 井上ひさしが十代の少年だったころ、学校の先生は、生徒たちに「君たちは20代前後までしか生きられない」と話していた。戦争の時代だったからだ。でも井上ひさしは20代よりずっと長く生きている。戦争が終わったから。そしてあの敗戦後に、日本が戦争に巻き込まれることは最近まで無かったから。

    私たちの憲法は美しい。私が受けた学校教育では、憲法が取り上げられることはなかったと記憶している。私が忘れているの?たまたま専攻が違ったの?

    日本国憲法を変える必要があるにしても、変える前に、この社会を生きる人たちの間で、もっと現在の憲法が意識されるべきだ。ましてや、大日本帝国などというカルト国家を信奉している無能な世襲政治家が触れて良いものではない。

  • 「偶然の出会い」の一冊。

    井上ひさしさん、今から10年も前にこの本を書いたんですね。きっと、改憲への風を肌で感じていたのだと思います。

    命を大切にする教育=戦争を二度としない教育
    でもあると僕は思います。


    あとがきまで、じっくりと読みました。

    一文一文、一言一言を大切に大切にしながら読みました。


    世論や風潮が少し怖いと感じているこのタイミングで、この一冊と出会えたことはもしかしたら、偶然ではなく必然だったのかもしれません。


    言葉を大切にして生きてきた著者だからこそ、日本国憲法の尊さがわかり、後世に伝える使命を感じていたのでしょうね。

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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