東京ダモイ

著者 :
  • 講談社
3.22
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本棚登録 : 184
感想 : 46
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062135603

作品紹介・あらすじ

男は帰還を果たし、全てを知った。極限の凍土・シベリア捕虜収容所で起きた中尉斬首事件。60年間の沈黙を自らに強いた男が突如、姿を消した-。第52回江戸川乱歩賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 著者、鏑木蓮さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。

    ---引用開始

    鏑木 蓮(かぶらぎ れん、1961年12月22日 - 2023年1月11日)は、日本の小説家・推理作家。日本推理作家協会会員。

    京都府京都市出身。本名:石田 和夫(いしだ かずお)。

    ---引用終了

    先頃、61歳にて、亡くなられました。


    で、本作の内容は、次のとおり。

    ---引用開始

    男は帰還を果たし、全てを知った。極限の凍土・シベリア捕虜収容所で起きた中尉斬首事件。60年間の沈黙を自らに強いた男が突如、姿を消した-。第52回江戸川乱歩賞受賞作。

    ---引用終了

  • 鏑木蓮氏の『エクステンド』が面白かったので、氏の作品を読み始める事にした。となれば当然最初の長編デビュー作品でもあり、第52回江戸川乱歩賞受賞のこの作品となった。戦後のロシアによる日本人捕虜の辿ったシベリア抑留。あまりにも過酷で熾烈と言うか人権を無視したロシア人の対応。知る事のなかった戦後の物語を、少しだけ垣間見た気がした。そして、それから始まる物語。と言うか余りにもかけ離れた時代でも事件が……。
    壮大な余りにも悲しい作品。凶器に日本刀になる氷を使ったトリックもあり、複雑に余りにも複雑に考えすぎた素晴らしい作品だった。少し捻り過ぎかな?でも素晴らしい。

  • シベリア抑留の話はグッとくるものがあるが、夢中で読んだいい作品だった。

  • 読み応えのある作品だった

  • プロローグで完全にソ連の収容所で起きた首切り殺人事件を解決する話だと思ったのにいきなり平成に飛んでびっくりした。と思ってたらちゃんと話が繋がっててよかった。

    プロローグにも登場した高津の手記として語られる収容所の記憶。
    「誰も彼もを狂わせるのが戦争だった。」、2022年3月現在に読むとものすごく重いな…
    生きることが巻末付録のような生活だと評された高津の人生の終わりが有機肥料にされてしまったってあまりにもえげつない。
    トリックの氷の太刀はなんか金田一少年にありそうな感じだったな。
    ところで一切語られなかったけど志方の娘への嫌がらせは止んだのか身辺は安全になったのか気がかりだよ…

    収容所から来た遺書を思い浮かべながら読んでたらガッツリ参考文献だったので「ですよね~!」となった。

  • ニノ主演で『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』が映画化が決定したことがきっかけで知った「ダモイ」という言葉。
    本作のタイトルがたまたま図書館で目に留まり、思わず手に取った。
    読んでよかった。
    事件の鍵となる高津の原稿から、これまでなんとなくしか知らなかった、シベリア抑留という言葉が意味する本当の過酷さを知った。
    まさに文中にある原稿を読んだ槙野の心境そのままに、”内容が重過ぎて、すんなりとは頭に入ってこない。シベリア抑留に関する基礎的な知識不足もあった。時間があれば図書館に行って、捕虜収容所などの資料を読み漁ってみたい”、そんな気になった。

    ”話題のミステリーやベストセラーを読む人々の何割が、ダモイという言葉の意味を理解できるのか。そういう槙野も高津に会わなければ、生涯知り得なかった。もちろん高津の句集一冊ですべてが見えるほど問題の本質は単純ではない。しかし何十、何千、何万分の一でも、いや東京ダモイの意味だけでも心に留め置く機会になる”
    この槙野の考えは、そのまま、著者がこの本のタイトルに込めた想いに感じられた。

    過去を回想し、その情景を読んだ俳句を入れ込むスタイルは、以前読んだ宇佐美まことさんの「羊は安らかに草を食み」に似ていると思った。
    いや、こちらの方が先に出版されているので、時代背景も含めてあちらが似ているというべきか。
    俳句を嗜むということは、この時代を生きた人たちにとって、簡単には伝えられない本音を表現する方法だったのかもしれない。
    その回想の中にしっかり伏線があるので、ミステリーとして謎解きも楽しめる作品だった。
    高津の死と、高津の抑留時代の光でもあったマリアの本性は残念…。

    鏑木さんは京都のご出身だが、宮沢賢治好きが高じて岩手が登場する作品が多い。
    イーハトーブ探偵シリーズも読んでみたい。

  • 読みやすい。難解な言い回しもなくサラッと読めた。シベリア抑留という重い時代を扱い、かつ、俳句なんてものをギミックに使ってるのに、最後まで読みやすく分かりやすかった。楽しく読めた。
    感想はと言えば面白かったとなるが、いくつか気になる点はあった。中尉の孫鴻山秀樹とマリアの関係性とこの二人のキャラクターが今ひとつハッキリしない。主人公槙野の上司晶子への恋慕の表現がなんだか唐突に感じた。志方巡査部長だけが訛っている。中尉斬首の凶器など、それで作品の魅力が削がれるというほどではないが、読後に違和感が残ってしまった。
    作品としては好きなので、いつか別の作品も読んでみたいと思う。

  • #読了。第52回江戸川乱歩賞受賞作品。
    シベリア抑留時代のことをまとめた句集を自費出版しようと考えていた高津は、舞鶴でロシア人女性の遺体が発見されたことを知り、姿を消す。出版社の槙野は、上司と句集を読み進めていくうちに、犯人と思しき人物を推理するが。。。
    犯人探しや、証拠などに関しては、ご都合主義的な要素を感じざる得ない。それに反して、シベリア抑留の悲惨な状況描写は非常に迫力があった。

  • 読みごたえ十分!シベリア抑留についても勉強になった。川崎少尉、気の毒。カッコ良さを貫いて欲しかったな。

  • その日も図書館にて
    「カ」の棚の加納朋子さんの本を見ていて
    ふとすぐ横にあった「東京ダモイ」の文字に
    惹かれて借りてみた

    始めて読む作者ですが
    まぁ これが゛当たり゛でした
    シベリア抑留の描写から
    ほぉ これはまたなかなか
    と 思いながら
    途中 ちょっと中ダレたときもありましたが
    事件の核心に迫りだした終盤から
    またもや引き込まれて
    最後まで堪能させてもらいました

    時々 無性に ミステリーが読みたくなる
    そんな時の一冊にお薦めですね

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著者プロフィール

鏑木 蓮(かぶらき・れん)
1961年京都府生まれ。広告代理店などを経て、92年にコピーライターとして独立する。2004年に短編ミステリー「黒い鶴」で第1回立教・池袋ふくろう文芸賞を、06年に『東京ダモイ』で第52回江戸川乱歩賞を受賞。『時限』『炎罪』と続く「片岡真子」シリーズや『思い出探偵』『ねじれた過去』『沈黙の詩』と続く「京都思い出探偵ファイル」シリーズ、『ながれたりげにながれたり』『山ねこ裁判』と続く「イーハトーブ探偵 賢治の推理手帳」シリーズ、『見えない轍』『見えない階』と続く「診療内科医・本宮慶太郎の事件カルテ」シリーズの他、『白砂』『残心』『疑薬』『水葬』など著書多数。

「2022年 『見習医ワトソンの追究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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