コトの本質

著者 :
  • 講談社
3.60
  • (8)
  • (15)
  • (23)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 116
感想 : 17
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062136648

作品紹介・あらすじ

「考えるとは何か」考えてみる「モノを見る人」から「コトの見える人」に!考える人・松井教授、人間圏のことがらを縦横無尽に語る。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2006年の本。東大の松井先生のエッセイ。
    理学部で地球の成り立ちを研究している著者がその軌跡のプロセスを外化している話。
    キーワードとしては「内部モデル」「要素還元主義」「二元論」「共同幻想」「レンタルの思想」「問題をつくる」あたりだろうか。

    システムの3つのポイントもよかった
    1,どういう構成要素からできているか(モノの特定)
    2,駆動力はなんであるか
    3,構成要素間の関係性

    やはり問いを立てる。問題を作ることの重要性、その難しさとそれについて考え続けることが大切なのだなぁ。
    GWに読む辺りが時間もありちょうどよかった。

    ■目次
    第1章 よろこびの根源を見る
    ◆見るということには不思議な働きがある
    ◆内部モデルを刻々更新していくのが生きるということ
    ◆みたいと思い続けているからひらめきがくる
    ◆見たいものを見るためだから何十年も考え続ける
    ◆果てを見たいから境界線を休みなく広げていく

    第2章 育つプロセスを見る
    ◆他者と衝突して自分にハッと気づくところに出発点がある
    ◆外の世界との関わりにバリエーションと広がりを持つ
    ◆プロフェッショナルの基礎を確立するときがくる
    ◆中核にある問題を解くと新たな発想が手に入る

    第3章 関わりの中の自分を見る
    ◆共同幻想を突き抜けて外側から見ると人間がわかる
    ◆さまざまな分野に生きる人々の中で自分の場所を知る
    ◆時間を無駄にしない議論のプロセスで自分の主張を貫く
    ◆そのときどきの世間の勝ちで自分の価値を見失わない

    第4章 考える頭の中を見る
    ◆考えるということはまず問題をつくることである
    ◆システムと歴史という見方で人間をつかまえることができる
    ◆内部モデルの異なる人にわかってもらう技術を知る

  • 著者は、日本を代表する物理学者。一般書も多く著作されており、特に「宇宙誌」はこの類の本の中では白眉といってよい。ただし、この本は、なんとも評価しかねる。なるほどと思わせる示唆も多く、学者を目指す人には良い本なのだろうが、一般社会に対する見識は、やはり学者馬鹿のイメージをぬぐえない。

  • レビュー省略

  • タイトルから予想される読感ではなかったが、自然科学の話が好きなので興味深く読めた。

    p213「我々は自分の体だと思っているけれど、それはただそう思っているだけで、死ねば地球に戻ります。」
    これは常々思っていたが、レンタルという切り口は思いつかなかった。とても良い発想。

  • 給食業界勤務の25歳女子のわたしが読んで。
    この方は厳密に、自分で「わかった」ことを話しているので、
    読んでいるほうも普段なにげなくやっている思考を客観し、整理整頓するエッセンスをもらえる。
    内容もスッキリしていて分かりやすい。
    とても面白かった。

  • 地球になぜ海があるのか、地球がどのようにして水の惑星になったのかのメカニズムを解明した地球物理学者の「モノの捉え方」論。

    著者の幼少期からのエピソードを交え、その時々のモノの捉え方をまるで何かのケーススタディのように解説しています。

    分野を問わず一流の人に共通していることですが、著者も自分自身を外から見て捉えるような感覚を持っていて、それを前提に外の世界を捉えるときの見方というか見え方に、この本の面白さがあります。

    このユニークなエッセイは、思考、発想に行き詰まったときに読み返したくなる本です。

  • 「考える」について考察しています。
    ビジネス系の自己啓発本とはひと味違います。 「考える」や「発想する」について著者の経験に基づいて具体的に記述されています。

    ・二つの目、つまり外を観察する目があり、逆に自分を外から見える目があれが、その人間は落ち着き感があり、むしろ静かにみえるはずです。
    ・内部モデルを刻々と更新していくのが生きるということ。
    ・外界と交わり、それが投影して作られた内部モデルが自分である。
    ・考えるとはなにか、見たいと思い続けているからひらめきがくる

  • 「考える」ということの本当の意味について考えさせられた気がします。普段から突き詰めて研究課題に取り組んでいる著者のレベルから観た「考える」と、私の思っていた「考える」のレベルにプロとアマの差以上の深さがあることも思い知りました。
    著者が言う「わかる」は突き抜けて俯瞰的にそして本質的に「わかる」という意味で、ある問題(研究課題)が解いて「わかる」というレベルに達するということは、その答えを一言のキーワードにまで落としこめるということ。
    私が普段から口にする「わかった」は、著書のいう「納得させられた」という意味で、完全に分かったわけではないが、漠然と理解して、自分の中で「こういうことなんだろう」と落とし前をつけていること。
    この二つに大きな違いがあることを気づかされたことが、まずいちばんの収穫でした。他にもいっぱい示唆を頂いた本です。もう少しじっくり読んだ内容について「考える」ことにします。

  • メモ
    ・「レンタル思想」人間を始め、身の回りのモノは、地球からレンタルしている。
    ・最近の日本には、専門家・プロフェショナルが敬遠され、日常感覚でモノを言うアマチュアがもてはやされる時代。歴史、芸術、哲学、科学に通じて、自分の尺度を持ち、自分の頭で考え、判断できるエリートが少ない。戦後教育が、そのようなエリートを作らなかった。ダ・ヴィンチはもういない。
    ・20世紀の共同幻想の一つ、「右肩上がり」は破綻している。
    ・考えるということは、まずは問題をつくること。現在の教育は、問題を解く訓練しかしていない。
    ・頭が働かない時には、働かないなりのやり方で始める。ルーチンワーク的なコトから始める。
    ・キーワードで視点を探す。キーワードを発見した瞬間に全体が見える。
    ・世界中で自分だけにしか言えないことを言う。
    ・考える時には、本を読まない。
    ・「わかる」言葉に言い換える。

  • 101213*読了

    今の自分にはとっても難しくて納得するのには相当頭を使ったけれど、新たなモノの見方、コトの本質について、松井教授から教えていただいたことで、自分自身の視野が広がったので、この本との出合いに感謝。考えることを極めたいと思うし、世界で突き抜けたいと思う。教授にならないとできないことでもない気がするので、私は私が生きたいと思う分野を極めて、そして突き抜けようとたくらんでいる。

    願えば叶うというか、願わなければ叶わない。こうなりたいと思うことが、自分の理想へ近づく第一歩なのだな、と思う。なりたい自分にしかなれないんだよ、絶対。

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1946年静岡県生まれ。
1972年東京大学博士課程修了。
複雑理工学、地球惑星科学専攻。
現在、東京大学大学院教授。
著書 『宇宙人としての生き方』
『お父さんと行く地球大冒険』(以上岩波書店)
『惑星科学入門』(講談社)
『一万年目の「人間圏」』(ワック)
『地球・宇宙・そして人間』(徳間書店)
『宇宙誌』(徳間書店)など多数。
テレビ出演・雑誌等で活躍中。

「2005年 『「人間圏」の未来』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松井孝典の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
トニー・ブザン
村上 春樹
A.トフラー
神田 昌典
デールカーネギ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×