愛と癒しと殺人に欠けた小説集

著者 : 伊井直行
  • 講談社 (2006年11月17日発売)
3.07
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  • レビュー :13
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062136730

作品紹介・あらすじ

描かれるのは、ありふれているけれど奇妙なこの世の真実。しごく真っ当にして、やっぱり変な六編からなる小説集。

愛と癒しと殺人に欠けた小説集の感想・レビュー・書評

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  • 私は十分な癒しとちょっとの愛を感じられた。まえがきにある通り、一般の小説に見られる愛や癒しや殺人は少ない。なんというか、石橋をミリ単位で叩いて渡るような繊細な作業が重ねられたんだろうなと思えるような文章。愛と癒しと殺人を避けるというはあと今だと露悪とか、とにかくそういう盛り上がりを排除して小説を仕上げるのはきっととてつもない技術なんだろう。
    「ヌード・マン」と「えりの恋人」が好きでした。

  • ヌード・マン

    ローマの犬
    スキーに行こう
    微笑む女
    えりの恋人

  • まえがきなんてあると、弱い読者わたしは流されちゃうな。

    「えりの恋人」だけ読みきれず。誰かを思い出す文章だなあ、というのと、書かれている作品内だけでなく文章じたいがリアルタイムでないかんじがある。80後半から90年代、『団地の女学生』とか『水滴』、まああと春樹とか、あのへんの雰囲気がある。

    …って「リアルタイムでないかんじ」も、まえがきがそう言ってるからそう見えたのかも。
    話じたいにそれは感じなかったもの。
    じゃあなんだろう、「純文学」「単行本」みたいな「あり方」を感じたのか。そして、こういうのも「作品じたい」ではあるけれど、上っ面だ。ちゃんと読めよわたし(…読む力ないんだな)、と。

  • タイトルすごくいいのに!

  • 著者の最新作「ポケットの中のレワニワ」のことを著者自身がTVで話されてるのを見ていて、ほう~こんな作家さんがいるのか~、読みたいな、と思ったのはいいのだけど、はて?なぜか著者名に記憶がある・・・、え?何か読んでたっけ?とふと「読みたい本リスト」を読み返していて、見つけました!そうかっ!この人か!と思い出し、最新作より先にリストに載せていたこちらを先に読んでみた次第。著者にとっては実験的な短編集らしいのですが、文学オンチの私にはどこかどう実験なのかはさっぱり?ヽ(´ー`)ノ
    でも、このある時間&空間をそのまんま切り取ったような何の示唆も特に込められたようなメッセージもない話というのは意外に深い余韻を残しますねぇ?
    私は最後の「えりの恋人」が気に入りました。(最初の「ヌード・マン」も印象深かったですけど。)
    で、その著者の“実験”のひとつで、「あとがき」を「まえがき」にされてることがあるんですけど、その中で、

    『断言できるのは、恋愛やら家族愛やらを深刻に、感動的に描いたり、また読者の心を癒したり励ましたり共感を得たりすることを直接の目的として、これらの小説は書かれていないということだ。小説の目的とは何か? となると面妖な話題になりそうなので素通りしたいところだが、小説を読んで愛やら癒しやらを感じるとして(あるいは逆に、非常な残酷さや恐怖、また笑ったり泣いたりすることでもいい)、そういったものは小説の本質そのものではないと私は考えているのである。このような要素が小説の魅力になるなら、それは素晴らしいことだ。だが、なくたって構わない。』

    とあるんです。なるほど、そういうことか!と、なんか自分の中の言葉できないけど言いたい!みたいなものを表現する言葉を教えてもらったような気分になり、かなり気に入りました、この作家さん。

  • タイトル&前書きがあるという珍しさに惹かれて。6つの物語。それぞれ話は違えど全体的なトーンは似ている。しょっぱな「ヌード・マン」の世界についていけず。最後の展開が私の嫌いなタイプ。なのでその後の話にあまり期待しなかったんだけど、思いがけず楽しめたものも。この中では「掌」がいちばん好き。最後の「えりの恋人」も嫌いではないけど、ちょっと分かりにくかったために後味が微妙。

  • タイトルは素敵。

  • 装丁とタイトル惚れ。まあまあ。

  • 週刊ブックレビューのお勧めを見ていてタイトルにググッツと来たので買ってみた。実は、このタイトルが示唆するような「何もないような話」というのがすごく好きなので。この分野(?)での個人的ナンバー1は保坂さんの「カンバセイション・ピース」なのですけども。柴崎友香さんもその流れで大好き。

    残念なことに読み始めて直ぐに気付いたのだけど、この本はタイトルが言うほど何も無い日常の中の特異さみたいなものは描かれておらず、むしろきわめてフィクショナルな設定のストーリー性が少々鼻につく小説という感じがする。どうせそういうことなら、三崎亜記みたいに不自然な枠組みの中でとことん日常に徹する(それでいて物凄い皮肉が利いている)ようなものであればよいのに。その線でいうと最初に置かれている「ヌード・マン」はよかったね。ある意味鮮やかな小説性があります。

    期待したものと違っていた点だけ、それも作者の前書きを読み終わった時点でもその期待が高まりこそすれ勘違いであることに気付かせてくれなかったことを含めて、自分には珍しく星一つ足りません。

  • 話題短編を集めた、伊井氏の第二小説集。 「ヌード・マン・ウォーキング」のロングバージョンをいれた珠玉の作品集。
    読売賞作家の魅力が満載された、特異の前書き付きの話題作。

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