- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062138338
作品紹介・あらすじ
魔法ではなく人間を描くファンタジー 待望の第2巻!
人と人、国と国。求める世界のありようが、ソニンの目を通して、私たちの生きる現代と重なり合う。
「ここにいる鳥は、みな雛のときに翼の先端をほんの少しだけ切られている。だから跳び上がることはできるが、外へ飛んでゆくことはできない。自由に飛んでいるようで、見えない大きな籠の中にいるようなものだ」――<本文より>
感想・レビュー・書評
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さて、一巻からぐぐっと惹き込まれたこの作品。
サブタイトル「海の孔雀」とはこれ如何に。
沙維の七人の王子の命を救ったソニンは、隣国のクワン王子から招かれて、イウォル王子とともに「江南」国へ赴きました。
戦禍のあともまだなまなましく残る下町と、豪奢で極彩色の王宮との温度差や貧富の差に、疑問を感じるソニン。
イウォル王子も、ソニンを見出した勘には拍手を贈りたいけど、所詮井の中の蛙。ソニンのことを都合のいい道具のようなつもりで自分の手元へと取り上げたことに思い至り、ソニンに謝罪しました。
この物語は、ソニンとともにイウォル王子も成長していくお話なのですね。
世の中にはいろんな考え方の人がいるということを、この作品は教えてくれます。
そして、そういった他者との違いと自分と向き合うことの大切さも。
まさしく、ソニンと同じ年くらいの子どもたちに読んでもらいたい良書だと思いました。まだ2巻だけど。
にしても、表紙のイラストの雰囲気が素敵。とても好き。手元に置くなら、文庫より断然こちらです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【図書館本】イウォルとクワンがどちらも思ってたよりヒドい人間でちょっと驚いた。けどラストはソニンと一緒に成長してめでたしめでたし。
姉と側近の結婚が早かったのにも驚いた。いいのかほんとにw
ソニンもだけど、ミンが良い子すぎて泣ける。これから彼女にも苦難が待ち受けているだろうけど、頑張ってほしい。……ソニン以上に。 -
「魔法ではなく人間を描くファンタジー 待望の第2巻!
人と人、国と国。求める世界のありようが、ソニンの目を通して、私たちの生きる現代と重なり合う。
「ここにいる鳥は、みな雛のときに翼の先端をほんの少しだけ切られている。だから跳び上がることはできるが、外へ飛んでゆくことはできない。自由に飛んでいるようで、見えない大きな籠の中にいるようなものだ」――<本文より>」 -
クワン王子の妹、リアン姫と主人公ソニンの関わりが可愛らしいというか…癒しだった。
あとは、ラストの方の
「給金も休みもUPだから、働かね?」
という感じに誘うところ(※上記は読者による要約)。
ソニンの性質に心を動かされた、と捉えると面白かった。 -
ミン姐さん、真っ直ぐ物事を見る眼を持つ者よ! ずっとソニンのそばにいて〜。
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3:1巻に引き続き、あっさりめに見えて深く、暗さも内包したファンタジー。ソニンもイウォル王子もまだ子どもで、もがきながら成長してるんだなと大人になった今では温かく見守ることができますが、これを対象年齢の子どもたちが読んだらどう思うだろう、というのがすごく気になります。カタルシス! というのではなく、勧善懲悪! というのでもないのがこの作品の良さだと思うのですが、うまく伝わるのでしょうか。←と書くととても上から見ているようですが。
私が中学生の頃はコバルトやホワイトハートなど、ラノベって言葉がなかった頃のラノベを読んでいましたが、それらの少女小説とは違う残り方をするだろうなあとは思います。 -
物語の主な舞台は隣国の江南。1巻では多くが語られなかったクワン王子のバックグラウンドが明らかになります。
ヒロインがソニンなら相手はイウォル王子なのでしょうが、影がある設定ながらもまだまだ幼く、人間的魅力は発展途上なキャラクターである印象でしたが、この2巻で少し成長します。1巻でのイマイチ感が、これからメキメキ成長してゆく土台なのだとしたら、この物語はどんどん面白くなってゆくのかもしれないと感じ始めました。
さらに主人公であるソニンも、ただのピュアっ子というわけでもなく、欠落した部分も併せ持つ深みのあるキャラクターの香りがし始めました。
王子に取り合いを繰り広げさせるというムフフな流れも、お決まりの色恋ではなく、あくまで侍女としての能力を評価されて、というのが気持ち良い。
ソニンが見聞きすることの全ては、彼女が何にも染まっていないからこそ、余計な添加物にまみれることなくに読者にストンと落ちてきます。
落ちてきた事実に対してこう思うべき、こう感じるべき、という誘導が薄い文章なので、読者が自分の心で考える余地を与えてくれているように感じます。この時期なので、小学生、中学生の読書感想文用の本としてオススメしたいと思います。