ヘブンズ・コマンド(上) 大英帝国の興隆

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062138901

作品紹介・あらすじ

奴隷解放の福音主義を掲げて、版図を拡大する大英帝国。インド、南アフリカ、カナダ、オーストラリアなど帝国各地の戦乱と開拓の秘史を発掘し、ヴィクトリア女王即位から在位60周年を祝う1897年までの苦難と繁栄を描く。英国最高の歴史紀行作家、ジャン・モリスの傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 気分としては
    (;´∀`)・・・うわぁ・・・
    という感じでした。大英帝国様の絢爛にして優美かつ高雅な残酷さに気圧されそうです…。

    イギリスは、アメリカ以前に世界の覇権を握り、「全世界の四分の一を手中に収めていた」大国でありましたが、この本は、そのイギリスが絶頂期を迎えるヴィクトリア女王時代の、初期から中期を扱ったものです。
    19世紀のドイツに興味があったので、その潜在的なライバルであるイギリスはどんな状態にあったのか、というのが知りたくて読んでみました。

    この「ヘブンズ・コマンド」の上巻では、奴隷制廃止、アフガンをめぐるロシアとの冷たい抗争、アイルランド飢饉、インドの植民地化などのイギリスの対外政策の一方で、若きヴィクトリアの即位、水晶宮の建設、ゴシック様式の大英帝国における流行などの、絢爛たる側面があわせて語られていました。
    どこかその語り口が貴族的で高慢、ときには他者(他文化)に偏見的に見えるのは、「大英帝国の人間」の心情すら描ききろうとした作者の意図なのでしょう。実際、大英帝国側に肩入れしているように見えて、ちょっと注意深く読んでみると、大英帝国を突き放したようなものの書き方は圧巻だと思いました。

    印象的だったのは、イギリスが(当時のヨーロッパは皆そうだったのかもしれないですけれど)、人道的側面を重んじたゆえに、植民地の文化を破壊してしまったということでした。インドにおいて妻の殉死(サティー)を禁じたり、信仰のために他者を殺害するサグという集団を撲滅しようとした大英帝国の姿勢は、一方で称賛されることもあるでしょうが、他方では自分の文化が正しいと思い上がった人間たちによる、文化の侵略でもあります。そこが深く考えさせられるところでした。

    まだ下巻を読んでいないので、このお話がどう完結するか、そして三部作がどう完成していくのか楽しみです。

  • 1837年~1897年のヴィクトリア朝大英帝国。
    1837-1850 は18世紀の牧歌的な?植民地統治が残っていた
    1850以降は、蒸気の時代、福音的啓蒙主義の時代、ゴシックの時代
    。帝国の姿勢が厳しくなる。英国人が現地人よりも上に立つ という感じになる。

    9章に登場するインドの個性的な統治者(1837-1850の部)
    シンド州を征服したチャールズ・ネイピア
    パンジャブ統治にあたった ジョン・ニコルソン

    10章に登場する エジプトから紅海に陸でのルートを切り開いた トマス・ワグホーン中尉。

    13章「大英帝国流」にあった数多い墓碑銘のなかから、一番印象に残ったものは、西アフリカの墓碑

    『異国の人の手が、きみの死にゆく唇を閉ざし
     異国の人の手が、きみののびやかな四肢を整え、
     異国の人の手が、きみの慎ましい美点をひきたて、
     異邦人たちがきみを称え、きみを悼む。』

  • (要チラ見!) 大英帝国3部作-1

  • インドの描写がよかった

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