夕暮れのマグノリア

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062139878

感想・レビュー・書評

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  • 辛口のユーモアが目立つ安東さんが、小学高学年から中学生向けに書いたファンタジー。

    プロローグとエピローグで語られる言葉。
     『世界は見えているものだけでできているんじゃない、、、』
    その言葉どおりの情景が12歳の少女・灯子の目をとおして映し出される。

    夢見がちな女の子だったに違いない、安東さんの想像力が発揮された作品。やや少女趣味に傾きかけている気がするが、意地悪をする友人たちのひとことふたことに、安東さんらしい一面を見た。

  • よい雰囲気を持った本でした。日常から別世界への転調と、それに伴う心情の変化が主人公を通して静かに描かれていました。

  • 【収録作品】竜宮の使い-美帆ちゃんとのふしぎな五月、循環バス-凜さんとのふしぎな七月、真実のハート-千夏とのふしぎな九月、黒森の宵まつり-関田くんとのふしぎな十一月、雪幽霊-きいちゃんとのふしぎな一月、マーブルクッキー-おばちゃんとのふしぎな三月、エピローグ
     中学生の少女の一年間を描く。誰が見ていなくても自分が知っている。ちょっとした出来事で心はたやすく傷つく。その痛みを無視することもできるけれど、そっと寄り添う勇気がもてたら。そう思える一冊。

  •  中1の灯子(とうこ)のおばの家の庭には、マグノリアの木がある。世界は見えているものだけでできているんじゃない、ふしぎな世界はすぐそばにある。灯子や灯子をとりまく人々に起こる不思議な物語。あたたかな余韻を感じるお話。

  • 知らない作家さん。マグノリアってなんだ?という疑問から借りてみました。モクレンとかのような樹のことみたいです。そんなかっこいいくくりかたがあったなんて!主人公の女の子とリンさんの関係がすきです。中学生のころってむずかしいだろうに、でも、その当事者でなくなると、色々と薄まってしまうことのかなしさを感じました。戻りたくないけど、あんな気もちになれるなんて、今じゃむりなんだよ、という気持ち。さらっと読めます。

  • 表紙の優しさに惹かれて手に取った。マグノリアとは木蓮、辛夷、泰山木、などの英称らしい。


    「だれもいないと思ってはいけない。ひとりぽっちで生きてるなんて決して思ってはいけないよ」と死の間際に語ったおじいちゃんの言葉を思い出すシーンが印象的だった。

    作品としては『黒森の宵まつり』がよかった。

    『頭のうちどころがわるかった熊の話』の味わいとはまた違った作品。

    作成日時 2007年09月17日 18:35

  • 「世界は見えているものだけでできているんじゃない」。中学生の灯子の不思議な一年の物語。でも不思議な部分より、いじめという程ではないけれど、順番に誰かが少しだけクラスから浮いた存在になってしまう…とか、友人の心無い一言とか、日常部分の不意のリアルさが印象的でしたね。…個人的に10代というのはもう思い出したくないこと満載な時代なので、どこか痛々しい気持ちを抱えつつ読んでいました。

  •  感じやすいものの、どこにでもいる普通の女の子12歳の灯子の1年を、彼女を取り巻く6人の人達とのふれあいを絡めて描いた佳作。灯子が特別な誰かじゃなくて、読む人それぞれが自分を投影できる女の子と描かれていて、初恋や友情や人間関係に悩み迷い傷つきながらも、自分を見失わないところがすごく良かった。 各話とも必ず不思議な体験に遭遇し、立ち竦む灯子の手助けとなるのもいい感じ。この年頃の少女ゆえのスペシャルなのかな、なんて思ったり。 大人が読むと、ちょっとご都合主義的に感じてしまうところもあるけど、思春期の青少年(あ、特に女の子ね)にこそ読んで、感じて欲しいなと思う作品だった。 初めて安東作品を読んだんだけど、好感触。追いかけて少しづつ作品を読んでいきたい。

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著者プロフィール

山梨県甲府市生まれ。1994年に「ふゆのひだまり」で小さな童話大賞大賞、「いただきます」で同選者賞今江祥智賞、2001年に『天のシーソー』で椋鳩十児童文学賞、2018年に『満月の娘たち』で第56回野間児童文芸賞を受賞。主な作品に『頭のうちどころが悪かった熊の話』(新潮文庫)、『星につたえて』『ふゆのはなさいた』(アリス館)、『夜叉神川』(講談社)などがある。

「2021年 『メンドリと赤いてぶくろ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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