きのうの世界

  • 講談社 (2008年9月1日発売)
3.28
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784062140614

みんなの感想まとめ

独特な世界観に引き込まれる物語が展開され、読者はまるで異なる街の風景や歴史を旅しているかのような感覚を味わいます。事件の謎が進行する中で、登場人物たちの関心が重なり合い、それぞれの世界が浮かび上がる様...

感想・レビュー・書評

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  • 三本の塔、地図、「あいつ」、焚き火の神様、丘と洋館、水路。
    意味深なキーワードが散りばめられ、水無月橋の殺人事件から始まり、また死人が出るも、この不思議な町の真相が判明し、なぜ殺人事件や死人が出たのかが描かれて終わる。

    あなたは〜する、あなたは〜と考える、のように、時折読者視点のような、シュミレーションのような書き方が暗示にかけられているようで面白かった。

    きのうの世界であり、英題のAnother yesterdayということで、「あいつ」や焚き火の神様という如何にも不自然な代物に引っ張られそうになる。
    しかし、外から見て安定そうに見える人間もいつ傾くか知れず、むしろ既に軸は傾いており踏ん張って安定を装っているのかもしれない。


    ↓↓↓ネタバレ
    失踪し殺されたとされる市川吾郎。
    彼は目にしたものを記憶する特殊能力を持っており、湯水のように流れ込む情報に対してタグ付けをするなどしてなんとか制御していた。
    文字から開放される山歩きと、大きな音などで没入できるパチンコが趣味だった。
    山歩きで地図を見ていると、その地図から具体的な地形/景色が見えるようになってくる。
    シングルマザーの母の死の間際、今まで聞きずらかった自身の特殊能力について聞くと、姑などが同じ能力を持っていたらしい。最期は頭痛に苦しみつつ、黒い塔がどうの言っていたらしい。
    既に他界しているが、気になってその町に行くことを考える。
    その頃、情報化社会で脳のキャパシティに限界を感じていた。
    町を探索して、黒い塔が何なのか判明する。
    町自体が島のようになっていて、増水した時用に水路が張り巡らされ、三本の塔はカモフラージュされた水抜きの穴が地中に掘られている。
    黒い塔とは、その縦穴を透視したものだった。
    町の住民にそれとなく聞いてみても、長らくそこまでの増水はなかったため伝承も途切れ、よく知られていない。K市との合併問題は、それにより都市開発で地底深くを掘られては街全体が崩壊に繋がるからなされない。
    町自体が島であり地盤が危ういことが世間に知られてしまうと土地の価値が下がり、町から人がいなくなるのは目に見えている。
    市川吾郎は丘の小屋を借りて自由を満喫していたが、ある朝から感覚が全くなくなり、自分の後ろ姿を見るようになる。遂に身体から意識が離脱してしまったのだ。身体は不器用にも無意識的に動き出すが、途中で転んで長いガラス片が胸に刺さる。感覚がないので、ガラス片を取り去って胸を抑えつつ、水無月橋で倒れる。
    双子の姉妹の家の前に置かれた地図はたまたま女子からの呼び出しという悪戯の地図を怒って捨てた少年がおり、その地図をたまたま散歩していた犬が丸まったものを咥える習慣で家の前に置いていったものだった。
    「あいつ」は、二重人格の産物だった。
    後で死んだ女性は、元々不摂生やストレスで心臓に疾患があった。

  • 著者の本を読むと、読んでいる間独特な世界に連れていかれるようで本当にいつもびっくりする。
    ある町で起きた事件について、謎が謎をよんで話が進んでいく。
    伏線を回収して見事に解決するミステリーとは全然違うけど、この読者を煙に巻く感じも好き。

  • 478ページ
    1700円
    5月5日〜5月8日

    塔と水路がある町の外れ『水無月橋』で見つかった死体。それは一年前に失踪した男だった。縁もゆかりもない土地に失踪してきた男。塔に何の疑問も抱かなくなってきた町の住民。塔と水路の秘密に気づいた男に続き、元先生、男を調べていた女性と亡くなっていく。

    町の住民や男や女に視点を変えながら短い章立てて読みやすくはあったけど、いかんせん謎が解明される手がかりが半分以上過ぎてもなかなか見えてこない。読んでも読んでも終わらない感じ。『あなた』と呼びかけられて進んでいたから、初めは女性かな?と思っていたけど途中で男性か、と断定してしまって、それでも半分過ぎた頃に女性とわかって何だったんだこれは?と考えてしまった。最後が、結局犯人はいなくて不幸な事故であったということだったけど、町の秘密がよくわからなくて、SFでないけどそんな感じに捉えられた。

  • その日のページをめくるたびにこの本のタイトルを忘れてしまっていた。
    移動中の電車の中で読むために購入したこの本。
    水脈に浮かんだ街の風景と歴史、そこで起きた事件、そしてそこに折り重なるように、関心をもった人たちが吸い寄せられていくそれぞれの世界が、自分とこの本の間に浮かび上がってくる。
    小説のマジックのようなものを感じた。
    恩田陸さんの作品を手にとったのは、『蜜蜂と遠雷』を少し前に読んで、その時の“音(ピアノの旋律)のイメージの世界”を想像させてくれたこの小説家が、「きのうの世界」という“?”をどう描いて、私がそれを感じとるか。
    差し迫った仕事のないこの時間に味わってみようと思ったからだけど。
    私には、話題になった『蜜蜂と遠雷』よりも良かった。

  • お気に入りの恩田さん。今朝 通勤電車で読み始めたばかり。
    周辺の描写が多くて少し疲れる。これはstoryに必要なんだろうと今は我慢。後々もこのままだと手放してしまいそう。
    大分前に古本屋で300円。分厚い。久しぶりの紙の本。

    • toroyakkoさん
      読み進むうちに面白くなってきました!1/3てす。
      読み進むうちに面白くなってきました!1/3てす。
      2019/12/05
    • toroyakkoさん
      読了。つまらなくは無かったけど、中盤は面白かった。終盤は は??? こんな終わり方?な印象。
      読むより映像の方がいいのかも。

      さ、次は何を...
      読了。つまらなくは無かったけど、中盤は面白かった。終盤は は??? こんな終わり方?な印象。
      読むより映像の方がいいのかも。

      さ、次は何を読もう。
      紙の本で読んでないものが沢山ある。
      2019/12/13
  • 細かいエピソードの積み残しや終盤に駆け足になるところはあるけれど、文章のリズムや流れが読んでいて心地よい。
    現実のものか想像のものに関わらず、文章で描き出された情景が文章のなかから浮かび上がってくる。登場人物の一人が見ていたものも同様だったのではないかと思う。

  • 面白かった!好き!
    3つの塔とか、もうそれだけで惹きつけられるよね。
    一つは壊れてて補習されてないって!なんかある感満載!
    スポットが当たる登場人物も恩田ワールドっぽくて。
    そして何より、前半の「あなた」で語られることに寄る効果って凄いんだね。実験的な作品なのかな?って最初思った。
    もちろん、恩田ワールドだから色々スッキリはしないんだけど、それを補って余りある水柱の爽快感!
    解き明かされなかった謎達にも、きちんとした答えがあるんだろうな…私には解らなくても。っていう突き放された結末も個人的には嫌いじゃないのだ。

  • まだ他に、秘密や宝が隠されているのかと思っていたけど、何もなく終わった。最後が残念だった。

  • 「あなた」部分が読みづらくて、なかなか前に進めませんでした。途中であんなことになる人を「あなた」にするのがどうも・・・。弟の存在はどうなったんでしょう。ハンカチのことは?カラスのくだりもおいおい、そりゃないでしょって感じでした。恩田さん好きなんですが、これはいただけなかったです。

  • この人のミステリーは最後、完全に説明をつけず、含みを持たせたまま不気味に終わる。
    すっきりはしないが、私はそこからいろいろと想像ができるから好きだ。
    けれど、今回の他作品と比べで見てもちょっと消化不良感が多いような気がした。
    あまり読んだかいがなかったかも。

  • よくわからなかったし、無理くりこじつけて終わらせた感がすごく、読み終えた後の徒労感がすごかった。

    失踪したサラリーマンが1年後に田舎で殺されていたという事件で、その理由を調査していくというミステリ。
    そもそもの死因や、調査に来た人の理由や死因もひどいと感じでしまった。

  • サクサクと読める。町のシンボルである塔の謎、水路、そして殺人事件と分厚い本だけど、あっと言う間に読み終わる。暇つぶしにちょうどいいかも。

  • 一つの事件に対して、関係者それぞれの視点での話があり、一つになっていく。事件を調べる人、話を聞かれた人、被害者に関わっていた人、それぞれの視点でどう捉えられていたかが、おもしろい。ただ、事件の謎を探るにあたって、町の謎も見えてくるが、それぞれがちょっと消化不良な感じに思えた。

  • 水無月橋で倒れていた男は腹に傷を受けていた。塔と水路の町はその事件で発見された場所の「丘」の水無月橋を見に来る住民が多かった。そしてこの街には三つの塔があった。それが事件にどうかかわるのか。

  • 水。地図。塔。焚火。家紋。
    ある町で起きた事件をめぐって垣間見えてくる村が抱えた秘密。口数が少ないとか感情を表に出さないという人がたくさん出てくる。
    「(略)水位というのは地図自体を変えてしまうのだ。そもそも、現在の見慣れた世界地図は水が作っていると言ってもいい。大陸の輪郭は、イコール水との境目なのだから。」は、なるほどだった。

  • 真面目な会社員が突然失踪、そして見知らぬ土地で遺体となって発見される。
    秘められた能力と町の秘密。
    C0093

  • 以前 恩田陸を読んだ時はドタバタコメディーっぽいな。と思ってあまり好きになれなかった。

    この話は、全然印象が違うものの評価は難しい。
    ミステリーなのに推理がしずらく、新鮮だけど荒唐無稽。

    分厚い枚数で途中のディテールがよく描かれているが、その割には あれ?あの人もう出てこないの?あれからあの人どうなった?

    主人公の過酷な運命は重くならずに幻想的で良かったが、そんな描写で誤魔化されて消化不良な部分もある。

  • ある小さな町で起こった殺人事件と、町に纏わる謎の物語。その土地の日常の生活が、よそ者から見るとなんとミステリーに溢れていることか。殺人事件があったという1つの非日常が加えられるだけで、双子の老婆の散歩も、子供のイタズラ書きも、事件の鍵を握る重要なポイントになってしまう。すごくドキドキしながら読みました。それに加えて3つの搭と水路に隠された秘密とか…とっっても面白かった!!すばらしい!

  • 3つの塔が立つ街で、ある日一人の男が刺殺される。
    いろんな人がいろんな立場で謎に挑み、最後に大雨で真相がわかる。

    これ途中まではよかったんですが、死んだ吾郎が見たものすべてを記憶する能力を持っていたり、町の言い伝えや伝説があったりする処でどんどん面白くなくなったような…。

    最後塔が燃え尽きて、大雨で町が浮き上がった時もなんだかこじつけのような気がしてなりませんでした。

    いまいち物語に入り込めなかったなぁ。
    ちょっと残念。

  • 2008.12.05

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著者プロフィール

恩田 陸(おんだ・りく):1964年、宮城県出身。小説家。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞、06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞、07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞、17年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞を受賞。ほかの著書に『spring』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』『夜果つるところ』『夜明けの花園』『珈琲怪談』『酒亭DARKNESS』、エッセイ集『土曜日は灰色の馬』『日曜日は青い蜥蜴』『月曜日は水玉の犬』など多数。

「2025年 『spring another season』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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