兄いもうと

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 28
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062141505

作品紹介・あらすじ

結核で若き命を散らした俳人・子規。無償の愛で、兄を支え続けた妹の律。死病と闘う日々、兄は妹に何を伝えたのか。生きるとは-今日を諦めないこと。正岡子規を支えた無償の愛。書下ろし長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 正岡子規とその妹。妹の観点から描かれる子規は興味深い。なんだろう、時代だろうか。どの人物も、なにがあろうとも芯が強い。

  • 正岡子規の最期を看取った妹・律の物語。
    近代俳句の土台を築いた正岡子規もよく考えたら三〇余歳で病没しているわけでその人生がいかに濃密であったかが窺い知れる。

    晩年、蝋燭の最後の輝きのように激しく筆を振った彼の日常は妹がすべてを整えていた訳であり、彼女が居なければ彼の業績も半減してたかもしれない。

    不幸な結婚を重ね、その後は病床の兄の看病、後半生も正岡家を独身で守り通した律刃自。
    一身に誰かを支える。
    その一瞬が、人に苦しみとしばらくたった後安らかな記憶を残してくれるのかもしれない。
    幕切れがあっけなくてちょっと物足りなかったけれど、兄と自分、叔父と母の関係を思い出して目が離せませんでした。
    (そう思うと結構この手のパターンはありなのか)

    全てのレビュー

  • 暗い中にひっそりと浮かぶ赤い円の表紙の妖艶さとその題名に、血を分けた妹とほにゃららという妖しい妄想を抱いて手に取った本でしたが、正岡子規の話でした。(表紙は柿)
    子規こと升(のぼる)の成長と、成人後の軌跡、そして脊椎カリエスによる床上の凄まじい闘病生活を、兄に対する憧憬と密かな愛を抱く実の妹である律視点で描いています。
    跡継ぎ、嫁入り、離縁、介護などのできごとを通して、たった数十年前である明治時代の価値観を感じました。

  • 正岡子規(升)と妹の律を描いた力作。

    才能に惹かれ、人柄に惹かれ、兄に献身する律。男性としても意識していたかどうかはともかく、身内に強い吸引力を持つ魅力的な個性を発揮する存在がいれば当然傾倒していくだろう。例えば宮沢賢治と妹のトシも固い絆を感じる兄と妹だ。

    作者はこの病身の兄の魅力を余すところなく活写している。「病床六尺」は有名であるが、ぎりぎりの命の際まで生きようとした子規の思いを載せて再読してみようと思った。



    作成日時 2007年11月14日 18:51

  • 正岡子規と、その妹、律。実の兄に恋情に似た想いを秘めながら、献身的に尽くす律の姿が印象的でした。この時代に、このように生きる女性はきっと描かれている以上に辛い世だったと思うので。あとがきに子規亡き後の律のことが少し触れられていますが、できればその辺りも小説として読んでみたかったです。

  • 正岡子規とその妹律の物語。脊椎カリエスの痛みはモルヒネも効かないほどに壮絶を極める。闘病の記述は読み進むのに耐え難いほどだ。病人の苦痛と焦燥感を受けとめて看病に尽くす妹の気丈さは兄への並々ならぬ愛情に他ならない。律は子規亡き後、職業学校に進み卒業後は母校の教師となり71歳で生涯をマットウした。生きるとは今日を諦めないことだと律は教えてくれる。著者は「夏目漱石の妻」を執筆中に漱石の親友子規の妹に興味を持ったとのこと。凛とした女性を描く著者の深い洞察と描写力にひきこまれる。

  • 兄は正岡升(のぼる)、妹の名は律。高濱清、夏目金之助らも登場。
    彼らが子規、虚子、漱石になっていく間、律はずっと律であり、律から見る兄は死ぬまで升なのでした。

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著者プロフィール

1944年、福岡県北九州市生まれ。
同志社女子大学英文科卒業。商社勤務ののち、90年、尾形光琳の生涯を描いた「雁金屋草紙」で第一回時代小説大賞を受賞。
主な作品に、「あがの夕話」「後朝」「萌がさね」「想ひ草」「蔦かづら」「一葉」「漱石の妻」などがある。
また、近著の「兄いもうと」では、妹・律の視点から正岡子規の壮絶な生涯を描き切り、子規の解釈にも一石を投じた。

「2014年 『花筏 谷崎潤一郎・松子 たゆたう記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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