- Amazon.co.jp ・本 (142ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062142137
作品紹介・あらすじ
デビューと同時に激しめに絶賛された文筆歌手が魅せまくる、かくも鮮やかな言葉の奔流!リズムの応酬!問いの炸裂!"わたし"と"私"と"歯"をめぐる疾風怒涛のなんやかや!とにかく衝撃の、処女作。第137回芥川賞候補作。
感想・レビュー・書評
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もの素晴らしくて、もう凄くて、なんか2週間くらいボーっとした。啖呵切るシーン、ページめくりながら「すげぇ」って声でた。あと終わり方。こんな終わり方ない。ちょーカッコイイ映像。お大事に。お大事に。
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人は脳で考えているというけど、それって確信が持てるわけじゃないし、自分の全ては奥歯の中にあるんじゃないかと考える女の人の話し。
そういうことは全然考えたことがなかったけど、
奥歯の中って自分じゃ全然見えないし想像出来ないし、すごく硬い中にあるし、
その中に宇宙や世界ががあるかもしれないって考えるのはなんとなく分かった。
主人公が他の女の人にめちゃくちゃブスだと言われるシーンがあって、
こういう女の人の一人称の話しって、自然に主人公は美人だと思って読み進めてしまうことに気づいた。 -
芥川賞作家川上未映子のデビュー作。
初めは息継ぎする間もなくまくしたてられる関西弁の、勢いに圧倒される。しかも言ってることがよく分からない。何だこの作家、頭おかしいの?いやいや、ちょと、自意識が奥歯気味な人のはなしなんだ。それにしても一文一文が長いからよみにくいったらないな。
と思っていたんだけど、読み進めるにつれてだんだんその独特のスタイルが心地よく馴染んでくる。川上未映子をはじめて読んだのが標準語の「ヘブン」だったから、このこってこての「わたくし率」はすごい衝撃だった。この人からしたらこっちが最初なんだろうけど。
この不条理さが、文学なのか。小説というよりは、哲学書という趣があった。好みが分かれそうな一冊だけど、私はこのざくざくと胸に切りかかる感じの文章好きです。 -
芥川賞候補作の超新人のデヴュー作!この世界の人たちが、自分たち何者であるかを考え続けているうちに、私は、奥歯のことばかり考えているのです。スーパーフラットな現実の初めての小説化!(Amazon.co.jpより)
NHK番組トップランナーで川上未映子さんが出演されたのをきっかけに、図書館で借りて読んでみる。読後の感想としては、うーむ・・・。正直、難しい。(笑)テーマは自我とか存在だったように思うが、禅問答のような自問自答を繰り返していく内容。やがて一つの結論を導いていくのだが、思考過程が普通ではなかったと思う。しかし、あるポイントで共感できたり、妙に納得できる時があったりと、楽しませていただいた部分もあった。普通は物事について表面的な事象のみしか認識しないのだが、唯一無二や存在理由まで考えるってスゴく突き詰めている。恐らく、幼少の頃はなんで?なんで?と母親などに良く聞いたりしたものだが、著者はそんなピュアなココロが残っているんだなと感じる。
主人公の回想などが、大阪弁で展開されている。女のコの関西弁ってとてもカワイイ。とてもリアルに表現されていて、情景が自然と浮かび上がってくる。また機会を見てもう一回読んでみよう。著者が伝えたいもっと深い部分が見えてきそうな感じがする。 -
衝撃(°ω°)
世界には、こんな言葉というか想いというか
堂々とぶちまけられる人がいるんやなあ、と思いました
流暢な関西弁でつらつらと「わたし」「私」「奥歯」「青木」「雪国」を繰り返し繰り返して、読み進めるにつれて
ようやく輪郭がぼやあ~って見えてくる、そんな感じ。
なんで脳でなくて顔でもなくて「奥歯」なんか、ちゃんと理由があってそれも面白かった。
わたしを笑ってるんやろか、私を笑ってるんやろか、こっちはどんなふうに見えてるの、ハローこっちが見えますか、いつだって、明確な終わりの期日を教えてほしくていっつも奥歯を鳴らしてた、
の場面と、「主語のない」世界って考えが好きやなあ。
理解できた気は全くしないし、たぶん川上未映子さんにしか解り得ない世界やし、もしかすると川上さんも全く解ってなかったりして(・ω・)
はじめの数ページで諦めないで、ぜひ最後まで読んでほしいです。 -
なに、なに、なんなんこれは。一気に好きになってしまったこのリズム。
前半はね、太宰治の滑稽小説に通ずるユーモアと言葉のリズム。
「〜かしら」を「〜か知らん」として自然な文は、私は好きで、そんなん実に個人的嗜好ではあるけれど、p19の「なにかこう、さすがに、奥歯的な何かはないものかしらんと、そんなことを巡らせる風な毎日であったのです」とこられた時、嬉しさでコツンと頭を叩かれた。
わたしの中の私、そう、わたくし率イン歯
まだ存在せぬ子にお母さんとして向けた日記とその日時の不調和
痛みの総和
存在、有と無
主語がない「雪国」の冒頭
トピックのそれぞれが不揃いのようで、いや、でも結局総じて主題に全て向かってく。
後半、p.80〜85の爆発にはやられた。
そう、そう、これよ。そういうことよ!
「世界に一個のなんでかこれが、なんでか生まれてぜったい死ぬてこんな阿呆なことあらへんやろうが、こんな最大珍事もあれへんやろが、なあ、なんでかこれのこの一致!わたしと私をなんでかこの体、この視点、この現在に一緒ごたに成立させておるこのわたくし!ああこの形而上が私であって形而下がわたしであるのなら、つまりここ!! この形而中であることのこのわたくし!! このこれのなんやかや!」 -
この頃はまだいい意味では尖っていて、悪い意味では虚勢を感じる。文章のリズム感は秀逸。
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前半はやたら難読に作為的にすることを良しとする芸術もどきの連続で、本を閉じようとした矢先の急展開には驚きがあった。