新世界より (上)

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  • Amazon.co.jp ・本 (498ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062143233

作品紹介・あらすじ

子供たちは、大人になるために「呪力」を手に入れなければならない。一見のどかに見える学校で、子供たちは徹底的に管理されていた。いつわりの共同体が隠しているものとは-。何も知らず育った子供たちに、悪夢が襲いかかる。

感想・レビュー・書評

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  • 現在から1000年後の日本人の姿という設定。
    一度滅んだのちに再び昔に戻ったかのような暮らしぶりが逆にリアルに感じる。
    前半はやや冗長な印象で我慢して読んでましたが、キャンプの後半くらいからのめり込み始めました。

    下巻に期待!

  • 又、新しい地に踏み入り、
    その探索中にフト、思った。

    (そういえば、最近読んだ『僕は小説が書けない』の主人公。彼の苦悩が良くわかるなぁ。)

    本を手にとり、開く事は容易い。
    新世界への扉はいくつもあって、
    読者は常に
    ど、こ、に、し、よ、う、か、な?

    と、実にお気楽なものである。

    しかし、この真っ白な大地(ページ?)に、
    一から世界を創造して行く、となると
    例え生き物一匹にしても、新しい命(新種)を生み出すのは相当難儀であったはず。

    だからこそ、
    あれ、らは動き始めた。
    1000年後のこの地で、進化(退化?)した生き物達は
    意志を持ち、動き始めたのだ。

    生き物ドキュメンタリーに興味があり、その生態を観察するのが大好きな私は、
    すっかりこの世界に魅入ってしまった♪

    物語は呪術を操る少年少女が、新世界に秘められた謎を明かして行く、ハリポタ的ダークファンタジー。

    グイグイ読者を引き込む魔の筆力によって、
    魔術本の様な分厚さも全く気にならず、あっという間に読了。

  • 会社の読書部でお勧めされ読み始めたが、これは久しぶりに大当たりです。和製大人版ハリーポッターというべきか、著者の頭の中はいったいどうなっているのだろう。

  • 今から1000年くらい未来の、人が呪力を手に入れた時代に起きた「忌まわしい」事件の、その参考人と思しき女が書いた手記として始まる長い長い物語。


    165pくらいから急に俄然面白くなりました。そうです、あの図書館が出てくるあたりです。
    最初は「こんな新しい形の社会(まさに新世界か)を小説として1から構築するって凄いなぁ」くらいに思っていたのだけれど、だんだんそれが「やばい未来」だと気付かされていく。その過程がいい。

    上巻ラストはとても悲劇的だった。
    しかし残念ながら、彼以外のメンバーもこの後大きな不幸に見舞われるはずだともう暗示されていて、だから下巻は、既に約束されたバットエンドに向けて走り出すしか道がないのか。

    早く読みたい、続き。

  • しばらく前に図書館で見かけてまったくの先入観なしで借りて読んだのだが、久々にすごい傑作に出会ったという気がする。

    舞台は1000年後の日本の関東地方。この時代、人々は昔の農村を思わせるコミュニティという単位で生活しており、全員が「呪力」と呼ばれる強大な念動力を当たり前のように使いこなしているが、そのあまりの威力ゆえに呪力が人を害することに向けられないように高い倫理規定のもと、攻撃抑制と愧死機構を遺伝子に組み込むなどして、厳密に管理されている。主人公はちょうど12歳の少年少女、呪力の萌芽が芽生えたところであり、その「正しい」使い方を学ぶための上級学校に進むところから物語は始まる。物語は早紀という少女の視点から丹念に書き込まれるが、そこで描かれる世界の深さ、広さが尋常ではない。コミュニティは八丁標と呼ばれる結界で外部から「悪いもの」が入ってこられないように守られ、子どもたちが呪力を「正しく」身につけることができるよう、都合の悪い真実を知らせないように厳重に管理されており、その一方でコミュニティの外ではバケネズミと呼ばれる人間並みの知性をもった生物が種族間での抗争を続けていたり・・。すべてが作者のイマジネーションによって作り上げられた壮大な虚構世界なのだが、物語の最初から最後まで破綻することがない。この筆力はさすがだ。

    上巻では主人公たちが夏休みに、禁止されていた外部世界との接触を図り大人たちが隠していた世界の真実を知る冒険譚、下巻では、主人公たちが大人になった時期の話だが、上巻で描かれた外部世界との接触が原因となって血腥い大殺戮が展開されてしまう。いずれも描かれた世界の中では当然起こるべくして起こったように感じられる。最初に作者が作り上げた世界観の完成度が高いからであろう。

    タイトルの「新世界より」は、ドヴォルザークの交響曲「新世界より」からきている。主人公の居住するコミュニティでは、ちょうど夕方の刻限に街中でこの曲の第2楽章'遠き山に日は落ちて・・'が流れるのだ。私が通っていた小学校でも夕方のたそがれ時に、下校を促すアナウンスとともにこの曲が流れていたのを思い出した。沈む夕日の物悲しさと曲調が妙にマッチしており、胸が苦しいような寂しさに襲われたことを思い出す。外部との接触を遮断し進歩することを放棄した、まさにたそがれ時のコミュニティの中で流れるこの曲を主人公たちはどのような思いで聞いたのだろうか。

    あまりに壮大なので映像化は無理だと思っていたのだが、2012年秋にアニメ化されるようだ。期待して待ちたい。

  • 面白い世界感。
    下巻でどうなる!!

  • 独特の世界観だが、すんなりと理解できて入り込めた。こんな世界もあるのかもしれない。不思議な感覚を楽しみつつ、下巻へ続けることができた。

  • 貴志祐介さんの本はこれが初めてになります。
    心理的な描写が素晴らしい本が読みたいと思いまして、検索してみましたらこちらがお薦めということなので早速拝読させていただきました。
    ストーリーが詰め込まれている本で、私としては始め一朝一夕で読み切るのには辛い量だと思っていましたが、ものの数日で読み終え、また続きが読みたいと思える本でした。

  • 1000年後の日本。
    人が呪力(魔法)を獲得したことによって起こる悲劇。
    倫理というジレンマに立ち向かう冒険小説。

    おとぎ話のように魔法という力は、ただ空を飛んだり、
    物を思いどおりに動かしたりするのではなく、
    その力が強い程どうしようもなくなり、倫理観も崩壊する。

    科学による崩壊と、呪力による崩壊、
    文明が衰退してから1000年後という点では風の谷のナウシカと共通するところがある。
    ナウシカでは旧世代が生態系を元に戻すため、腐海を造ったが、
    人類を維持するため、新世界でも負けじとエグい方法が執られていて、
    物語の主人公たちはそれを知らず(隠され)生きている。

    単行本では900ページ以上の長編になりますが、
    悪鬼が登場する後半以降のスリリングな展開は引き込まれます。

    [2008年、日本、498P、日本SF大賞]

  • ★★★★★★★★★★!!

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学卒。96年『十三番目の人格-ISOLA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2023年 『梅雨物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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