新世界より (上)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 3803
レビュー : 599
  • Amazon.co.jp ・本 (498ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062143233

感想・レビュー・書評

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  • 貴志祐介さんの本はこれが初めてになります。
    心理的な描写が素晴らしい本が読みたいと思いまして、検索してみましたらこちらがお薦めということなので早速拝読させていただきました。
    ストーリーが詰め込まれている本で、私としては始め一朝一夕で読み切るのには辛い量だと思っていましたが、ものの数日で読み終え、また続きが読みたいと思える本でした。

  • 人間と自然の力関係が、単純な優劣ではなく複雑に絡み合い、奇形化した世界のお話。
    人間は現在の私たちよりもはるかに万能な「呪力」という魔法の力を手に入れているが、それゆえに、人間が自然界に及ぼす影響は今よりもずっと大きく、世界は何度も滅びかけている。
    そのたびに歴史を隠ぺいしたり、自らに枷をかけるシステムをどうにか考案しながら、仮そめの平和を保っている。
    その最もたるものが「愧死機構」と呼ばれるシステム。
    呪力によって自分の同族である人間は殺せない。攻撃しようとすると大変具合が悪くなる、というもの。
    臭いものにはフタをして、おびえながらものうのうと生き長らえる人間たちに、フタの中に押しとどめてきた者たちからの復讐が始まる。
    この象徴的でアイロニカルな世界観だけでも圧倒されるのだが、革命を企てる獣の正体は、かつて人間だったもの(人間は人間を殺せないというシステムを打破するために遺伝子操作で獣化した)という設定や、突然変異の人間の子供(愧死機構が備わっていない、人間を殺せる人間)の正体に関する最後のたたみかけは本当にすごい。

    人間を抑制するものは、愧死機構などという物理的な罰で管理されるようなものではなく、こういう物語そのものではないのかと思う。
    本文中で古事記の引用が出てきたとき、「神話というのは人類の知恵で、どこかで決定的に間違ってしまった宇宙の論理を思考によって正す行為だ」というのを、本で読んだことを思い出す。
    この本を読んで、人の愚かさみたいなものを考えたわけだが、それはきっと今日おいしい夕飯を食べるころには忘れてしまうのかななんて思う。出来れば覚えておこうと思うのだが、そんなに出来た頭は持っていないのである。
    だけど、忘れても何度も考える、頭の片隅にふっと去来することそのものが、まずは第一歩だし、この物語がもたらした意識の些細な変化だし、その延長線上にある方法が、愧死機構に変わる何かなのだ。

  • 別世界すぎて、話が見えなくて途中くじけそうになった。やっと世界が掴みかけてきたと思ったら上が終わった。貴志祐介の頭の中ってどうなってんの…

  • 上巻だけでもすごいボリュームながら、一気に読めた。瞬が結構好きなキャラやっただけに、上巻ラストはゾクゾクしたし、下巻でどう展開されるか楽しみ。

  • ワシは、神話の創成を見ているのかもしれない。

    大袈裟且つ若干的外れな言い方ですが、そう言いたくなるほどの描写。これはある種、「指輪物語」やクトゥルフ神話に匹敵する世界観の構築を目の当たりにした感です。

    物語は、全く見知らぬ世界なのに、今の我々の世界と共通感のある地名、固有名詞で語られ始め、いずれその理由が語られていきます。そして、そこで語られる「神話そのもの」の欺瞞も。ここで読者は、この世界に対する奇妙な既視感を感じると思います。

    知っている世界の延長にある、まるで見知らぬ世界。

    その世界が、先述の通り緻密に、まるで想像できないものが創造され、それが描写されている。

    とにかくまずは何より、この舞台設定に舌を巻きました。

    その中で進んでいく物語は、適度な緊張感と伏線をまき散らしつつですが、あえて物語の類型にあてはめるなら「成長物語」としての展開は、ワリと王道と言えるのかも知れません。

    ともあれまずは、この世界観にどっぷり浸かれる幸せを、この上巻では感じることができます。さてこれが、下巻でどう展開するやら。

  • 夜空を彗星のようにぶっ飛んで行く日本版ハリーポッター。

  • SF系の小説にも関わらず、情景が非常にイメージしやすく引き込まれました。上巻では徐々に世界の秘密?が明らかになってきたため、下巻を読むのが楽しみです。

  • 最初の200ページくらいは読みすすめるのがたいへんで途中でやめてしまいそうな雰囲気だったけど、その後は、先が気になってスイスイと読めました。面白い漫画のようです。

  • 書き下ろし、SFホラー長編作 上巻。

    日本の神栖66町に住む少女で、主人公・渡辺早季の手記という形で物語は進行していく。

    終末を迎えた世界から数百年後の未来が舞台。

    それは人間が呪力という魔法を操り、他の生物から神と崇められ、統制される世界だった。

    早季とその仲間・瞬、覚、真理亜、守が学校の秘密や、八丁標という町の結界の外に出て遭遇する化け物達から、この世界の謎のヒントを得ていくうちに、統制された世界が恐ろしいシステムの元に成り立っていくことに気付いていく。

    統制・管理された世界はどうなってしまうのか?

    上巻はかなり前置きの要素が強いので、読み進めるのが大変でしたが、後半は一気に加速。

    前半無くして、後半のスリル感は味わえません。

    下巻は一気読みかも。

  • 「新世界より(上)」
    箱庭の平和な世界の秘密。


    分厚い量を見て億劫になり、なかなか手が出せずにいた「新世界より」を図書館から遂に借りて読了。いやぁ、長い、長いぜよ。捲る手が疲れ、紙の古臭い匂いに疲れた。


    ざっくり言うと、人々が念動力を手にした1000年後の世界を舞台にしたサイエンスファンタジー作品である。注連縄に囲まれた自然豊かな集落「神栖66町」は、子供達は念動力を学びながら暮らし、大人達はバケネズミと呼ばれる生物を使役する。平和な生活を確立した安全な空間だ。


    ある日、その町に生まれた12歳の少女・渡辺早季は、青沼瞬、 朝比奈覚、 渡秋月真理亜、 伊東守らと共に、入ってはならない場所に立ち入り、先史文明が遺した図書館の自走型端末「ミノシロモドキ」と出会い、大人達からは知らされていなかった歴史を知る。それは悪鬼と業魔の正体、呪力がもたらした文明の崩壊、そして現在の社会が作られた経緯であった。動揺する早季達。しかし、僧侶・離塵が現れることで更なる混沌なる状況に引きずり込まれる。


    12歳・14歳・26歳の時期の3部に分けられる為、上巻では、ピンチに次ぐピンチが発生し、なんとか解決して大人達にばれず上手くやり過ごせたか!?となる怒涛の展開の12歳シーンと仲間で一番の秀才である瞬の周りに異変が起きる14歳シーンがメインになっている。


    念動力と集落「神栖66町」で秘密にされている数々の歴史や真実、そしてSF感を感じさせるバケネズミやミノシロモドキと言った生き物達と1000年後っぽさを印象づけるものばかり。


    とはいえ、一番印象深いのは、男女の交際に関するしきたりだった。男女はダメで同性同士は交際を許すという規律を1000年後の世界を形作る一つのものにした理由はどこにあるのだろう。14歳シーンから立て続けに出てくるそれに、え、え、え?なんじゃそれ、と思ってしまった。猿と同じように性欲をコントロールする為の規律がなんとも強烈。


    ミノシロモドキに出会い、禁断の歴史を知ったことから早季達は、安全な空間に見えた神栖66町の裏にある歪さを感じ始める。そして、その歪さがバケネズミにも見え、遂には業魔が身近に迫ってくる。


    物語は更に展開されるに違いないと期待を持って下巻に。

著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学経済学部卒。96年『十三番目の人格-ISORA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2017年 『ダークゾーン 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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