彩乃ちゃんのお告げ

  • 講談社 (2007年10月1日発売)
3.58
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784062143288

みんなの感想まとめ

心温まる物語が展開されるこの作品では、小学5年生の彩乃ちゃんが教主としての特別な力を持ち、出会った人々に小さな幸せをもたらします。彼女は不思議な存在でありながら、時折見せる少女らしさが読者をほっこりと...

感想・レビュー・書評

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  • ほっこりの一冊。
    とても癒された。
    小学5年生にして、とある宗教の教主さまと言われる彩乃ちゃん。
    その彩乃ちゃんと出会った三人のひと夏の物語。

    終始不思議さを纏う彩乃ちゃんは大人びているけれど時折のぞく少女らしさにほっこり。
    誰もがちょっとだけ抱える心の曇り。
    彩乃ちゃんがその曇りを敏感に察知し未来を願う気持ちに更にほっこり。

    人の幸せを願う人は絶対に自分も幸せになれるはず。
    大切なプレゼントはお守りだね。

    暑さも和らぎ、ちょっとお疲れ気味の心身にいただいた彩乃ちゃんの優しさと可愛らしさ。
    それが読後の今、とても心地よい。

  • 彩乃ちゃん、小学5年生。とある教団の教祖様の孫娘。教主さまとして不思議な力を持つらしいのですが・・・

    付き合って三年の恋人との将来に悩む智佳子の「夜散歩」
    夏休みのボランティア課題で始めた里山再生の一環「石階段の発掘」を続ける徹平の「石階段」
    東京から引っ越してきて以来、家族や同級生との距離を掴めずにいる佳奈の「夏花火」

    期間にしたらほんの少し。でも彩乃ちゃんと関わった人たちは彼女に小さな幸せを分けてもらいます。
    生まれながらに背負うものを抱えた彩乃ちゃんは、自分の運命を達観しながらも普通の生活に憧れていて。それがせつない。

    シャネルの真っ赤なマニキュア、貝殻のシルバーネックレス、ビーズの指輪。彩乃ちゃんの宝物が彼女自身も幸せに彩ってくれたらいいなぁ。

  • 小学5年生の彩乃ちゃんは、教主さま。
    教主というのは、教えを体現し導く人、らしい。
    彼女には特別な力が備わっているようで、少し先のことが視えたりするようだ。
    そんな彩乃ちゃんが、とある事情から一夏の間に出会った3人の、ちょっと先の未来を少しだけ明るく指し示して導いていく。
    派手な超常現象なんて起きないけれど、ほっこりとした雰囲気と、ちょっとだけ不思議さがあるお話。

    「きっといいことがあるよ」
    という彩乃ちゃんのことばは、とても強い希望のことばだと思う。
    彩乃ちゃんみたいに、先を見はるかす特別な力はなくても、
    このことばを胸に刻んでおけば、希望ある明るい方を見続けること、できる気がするのだ。

  • 橋本さんの故郷で、何かと思い入れのある三重県伊勢市が舞台の三部作。三つの作品「夜散歩」、「石階段」、「夏花火」と、主人公である彩乃ちゃんが登場し、移動していく順番に沿って、話が展開されていく。お話の中に使われるアイテムが次のお話のキーになるところがミソ。

    しかしながら、橋本作品にしては納得がいかない中途半端な作品集。
    橋本さんの技量ならもっと面白い筋立てになるのではと、思いながら読み終えた。ひねりが足りずにいささか残念。

  • 橋本紡さんの『彩乃ちゃんのお告げ』を読了した。読後、心に残ったのは、ある種の切なさだった。

    それは、幸せを与えることしか許されなかった子どもの人生そのものの、切なさだ。



    「様」付けで呼ばれる小学五年生
    主人公の彩乃ちゃんは、とある新興宗教の教祖の孫である。次期教祖として期待される彼女は、周囲から「様」付けで呼ばれる特別な存在だ。

    そして彼女には、自分の未来や他人の未来を見通す力、他人の考えていることがわかる力、死んだ者を見ることができる力といった、不思議な能力が備わっている。

    まだ小学五年生。本来なら友達と遊び、宿題に追われ、給食を楽しみにする年頃だ。

    けれど彩乃ちゃんは、子どもらしい一面を見せる一方で、既に「大人であること」を求められている。

    いろんな家に預けられながら、転々と生きている彼女の日常は、同年代の子どもたちとはあまりにもかけ離れている。



    「ほんのちょっとだけ」の幸せ
    物語の中で、彩乃ちゃんはこう言う。

    「誰かの人生に関わって、ほんのちょっとだけ方向を変える。それでみんな、ちょっと幸せになる」

    彼女の助言は劇的なものではない。人生を180度変えるような大きな奇跡ではなく、あくまで「ほんとちょっと」のこと。

    けれどその「ちょっと」が、周囲の人々の運命を確かに「幸せ」の方向へと変えていく。

    たとえば、「このペンダントをして、マニキュアを持ってお祭りに出かけると良い」「これをやり続ければきっと良いことがある」などだ。
    彼女がかける言葉は、決して劇的ではない。

    道に迷っていた人が、わずかに角度を変えることで正しい道を見つけるように。

    彩乃ちゃんの言葉は、人々の人生という航路をほんの少しだけ修正する羅針盤のようなものなのかもしれない。

    他人の心の中が見え、未来が見通せる彼女だからこそ、その「ちょっと」の加減が絶妙なのだろう。



    わずか小学五年生には酷な運命
    読み進めるうちに、私の胸を締め付けたのは、彩乃ちゃん自身が背負っている運命の重さだった。

    わずか小学五年生の女の子に、これは酷すぎる運命ではないだろうか。

    他者を幸せにする力を持ちながら、自分自身は「様」と呼ばれる檻の中で、子どもとしての自由を奪われている。

    転々と預けられる生活は、安定した居場所を持たない不安定さを意味する。他人の考えが見え、死者まで見えてしまう彼女にとって、この世界はどれほど騒がしく、重苦しいものなのだろう。

    人を幸せにすることができる彼女。では、彩乃ちゃん自身の幸せはどこにあるのか。

    もし、それが彼女自身の定めだとしたら──生まれながらにして他者の幸せのために存在することが、彼女の宿命だとしたら──それはあまりに酷なことだと思う。



    定められた運命を生きるということ
    彩乃ちゃんは、自分の運命を理解している。
    おそらく、自分の未来も見えているのだろう。

    それでも彼女は、人々の間を転々としながら、出会った人たちに小さな幸せの種を蒔き続ける。

    選択の余地がない人生。
    拒否することのできない役割。

    それを受け入れて生きる小学五年生の姿には、諦念さえ感じられる。けれど同時に、彼女の中には確かに「誰かを幸せにしたい」という純粋な願いもあるように思える。

    それが本心なのか、それとも定められた役割を演じ続けるうちに刷り込まれた感情なのか。読者である私には判断がつかない。いや、もしかしたら彩乃ちゃん自身にも、もうわからないのかもしれない。



    この物語が問いかけるもの
    橋本紡さんは、この作品を通じて私たちに問いかけているのかもしれない。

    他者を幸せにする者は、自分自身も幸せでなければならないのか。

    それとも、自己犠牲の上に成り立つ「善行」もあるのか。

    子どもに大人の役割を押し付けることの是非は。
    「特別な力」を持つことは、本当に祝福なのだろうか。そして、生まれながらに定められた運命を生きることは、幸福なのか不幸なのか。

    読後、私は彩乃ちゃんの笑顔を想像してみた。
    きっと彼女は小さく笑うのだろう。

    人を幸せにしたとき、静かに微笑むだろう。
    けれどその笑顔の裏側に、どれほどの孤独と諦めが隠れているのだろうか。



    おわりに
    『彩乃ちゃんのお告げ』は、優しさに満ちた物語である。同時に、読む者の心に小さな棘を残す物語でもある。

    ページを閉じた後も、彩乃ちゃんの姿が心に残り続けている。小さな体で大きな運命を背負った少女。

    他者の幸せのために生きることを定められた子ども。彼女自身の幸せを、私は願わずにはいられない。

    それが叶わぬ願いだとしても。それが彼女の定めに反することだとしても。

    もしあなたが、誰かの幸せについて、運命について、あるいは子どもの純粋さと残酷な現実について考えたいなら、この本を手に取ってみてほしい。きっと、心に何かが残るはずだ。

  • 彩乃ちゃん
    とある新興宗教の次期教祖さま
    ほんのひと時だけ、彼女を預かることになった人たちのお話

    彩乃ちゃんはいかにも教祖さまという感じではなく普通の小学生のよう
    でも、ふとした時の立ち居振る舞いが美しかったり、預言のようなものを残したりする

    もう少し読みたいなというところで終わってしまった
    彩乃ちゃんの今後が気になる

  • ほのぼのと、いいお話し
    タイトルって、どう??

  • 5月の風みたいなお話。軽やかで、爽やかで、でも気付く頃には通り過ぎている。私が通ってきた道では、どれだけの人が幸せになっただろう。

  • テーマ的にちょっと怪しげな話かと思ったけど
    そんなことはぜんぜんなく。

    やっぱり橋本さんの作品はじーんときてほっこり。

  • 2017/9/12(火曜日)

  • 2012.5図書館本。
    タイトルからも想像できるとおり、とある宗教の教主が彩乃ちゃん。
    教主と教祖の違いなんて、この本で初めて知った。

    ・第一話:夜散歩
    ・第二話:石階段
    ・第三話:夏花火

    一話から三話につながる小道具の使い方が良かった。古来からある宗教はともかく、口が上手いだけの普通の人間に貢ぎ続ける新興宗教とか全く理解できない私は、そんな人達の言葉など全然ありがたいとは思わないが、この彩乃ちゃんの言葉だったら素直に聞いちゃうかもしれない。そして、少し幸せなことがあって喜びたい(笑)
    それくらい宗教色のない話。

  • 面白かった
    彩乃ちゃんには会ったことはないけど、見えない彩乃ちゃんみたいなものがこのお話みたいに幸せを繋いでくれてるんじゃないかな、と思えた。

  • 1

  • 新興宗教の教主であり、不思議な力を持った小学五年生の彩乃ちゃん。
    そんな彼女と関わった三人の人物の視点から描かれる短編連作。

    新興宗教とか言われて構えてしまうかもしれないが、本編に宗教色はない。
    いささか展開が読みやすいが、あたたかいお話で、なにより彩乃ちゃんが可愛いのでそれで良しと思えてしまう。橋本紡が書く『子供』は愛しい。

  • 特別な能力を持つ彩乃ちゃんと出会った人々が、幸せな方向へ導かれていく~
    「もう決まってること」綾乃ちゃんは自分の人生を受け入れ身をまかせている・・・「出会った人達にたくさん幸せをもらったから」と。
    とても純粋な優しい気持ちになるお話、続編は読みたいな・・綾乃ちゃんにも幸せになってほしいです

  • 教主さまの彩乃ちゃんがかわいらしい。
    どの話も彩乃ちゃんがいなくなったところで終わってて、関わった人たちのその後の話は書かれていないのがちょっと残念。
    スッキリした爽快感はないけど心がほっこりした。優しい気持ちになれる。

  • さらっと読めるけど、なんだか幸せな気分になれるお話だった。少しずつ話が繋がってるのも良かった。彩乃ちゃん可愛い。2011/405

  • どれもささやかな話ではあるけれど、ささやかである分、心に残るものは大きい。そんな短編集です。彩乃ちゃんと過ごすことで幸せをつかめた人たち。でも彩乃ちゃん自身の幸せは?3話目の佳奈ちゃんの言葉が切実でした。

  • 少しの変化。考え方を変える。

  • 素朴で真面目で礼儀正しくて。一見ふつうの5年生だけど彩乃ちゃんには見えている。周りの人のちょっとした未来。うまくいかない相手と仲良くする方法。幸運を呼ぶ少女と迷える人たちのひと夏のできごと。

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