赤い諜報員 ゾルゲ、尾崎秀実、そしてスメドレー

著者 :
  • 講談社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062143622

作品紹介・あらすじ

世界に名を轟かせたスパイリヒャルト・ゾルゲと、日本のエリート知識人だった尾崎秀実、二人を結びつけたアグネス・スメドレー。主義と理想のために謀略の世界で闘ったこの三人の出会いと別離、そして死までの真相に迫った渾身のドキュメント・ノベル。

感想・レビュー・書評

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  • ゾルゲ事件の本は数多いが、私にはこれが一番面白かった。「人間ゾルゲ」に重きが置かれ、実にドラマチックに描かれている。オートバイを飛ばし、女に溺れる。有能なスパイは機械ではなく、血の通った人間なのだ。(竹内明)

  • ロシアのボルシェビキ革命から第二次世界大戦末期までの国際諜報員の暗躍を描くドキュメンタリー。背景がモスクワ、ベルリン、上海そして東京。こんなことが、戦前の日本でも行われていたという歴史的事実に慄然とする。しかも歴史的なドラマだけでなく、どの登場人物も酒好きで、セックスに溺れているという点が人間臭い。いつか、映画化してほしい。女スパイでセックス好きのスメドレーのキャスティングを誰にするかがポイントですね。

  • 以前に『国際スパイゾルゲの真実』(角川文庫)を読んだことがあります。
    その文庫に比べると、情報量が多いです。
    ゾルゲ個人だけでなく尾崎、スメドレー、宮城といった
    立場の違うスパイ仲間がより詳しく取り上げられています。

    スパイの本質的な孤独感が良く描かれています。
    ノンフィクションというよりは小説的な書かれ方です。

    現代社会にもスパイはいるでしょう。
    ただ時代背景が違うので、この切迫した感じは
    平和ボケの凡人(ニッボンジン)にはまるで想像も出来ません。

    妻や子供のシーンが、また愛人との風景があります。
    なんだか奥歯を食いしばって読んでしまいます。
    イデオロギーに殉死するのは「生き方の美」なのでしょうか。
    自分で選んだ人生なのでしょうか。
    えむをえずこれしか生きられない人生なのでしょうか。
    苦しい、まことに息苦しいすさまじい人生。

    harryのライブの前後に読んだせいもあると思いますが
    「痛々しさ」という情感は、胸の奥深くに突き刺さります。
    harryの放つ痛々しさ。

    スパイという人生のやり場のない痛々しさ。
    読みたいわけではありません。
    でも読まずにはいられません。
    今朝から、窓の外はものすごい風。嵐です。

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著者プロフィール

太田 尚樹:1941年東京生まれ。東海大学名誉教授。専門は比較文明論。著書に、『パエリャの故郷バレンシア』(中公文庫)、『満州裏史─甘粕正彦と岸信介が背負ったもの』(講談社文庫)、『死は易きことなり─陸軍大将山下奉文の決断』(講談社)、『伝説の日中文化サロン 上海・内山書店』(平凡社新書)、『満州と岸信介─巨魁を生んだ幻の帝国』(KADOKAWA)、『ヨーロッパに消えたサムライたち』(ちくま文庫)、『満洲帝国史─「新天地」に夢を託した人々』(新人物往来社)、『支倉常長遣欧使節 もうひとつの遺産─その旅路と日本姓スペイン人たち』(山川出版社)などがある。

「2022年 『南洋の日本人町』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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