黒髪

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (534ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062143882

感想・レビュー・書評

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  • 床上手な女の話。
    全てが中途半端というか、薄暗いというか、べとつくというか…。
    08.03.19

  • 読了日2009/11
    60を過ぎ、子供たちを巣立たせ、夫と2人平穏に暮らすりえは、突然、1枚の写真と数通のロシア語の手紙を手にする。
    そこから、生い立ち、父と母など、自分のルーツを探すことに没頭していくりえ。

    そして、戦争という激動の時代に飲み込まれていく中、激しく深く一人の男の人を愛するさわの物語。

    現代のりえの物語と過去のさわの物語が交互に展開していく。

    1930年代、この時代だからこそ、ここまで一途に一人の人を思い、自分の命を賭けてまで愛を貫くができたのかな
    現代では考えられない。少なくとも私には(笑)
    優柔不断な家庭持ちのダメ男をそこまで深く愛し、翻弄されるさわに苛立ちも感じ、共感はできなかった。
    浮世離れした恋愛物語に私は感じてしまった。

    でも、すでに老夫婦のような私たちにはすこしは学んだほうがいいのか?(笑)

    この、戦前の、戦争に突入していく時代背景が好きなので、とても興味をもって読み進めました。
    それに、函館の美しい街並みの描写が印象的で、いつの日か夫婦2人でのんびり旅してみたいなぁと感じました

  • あーあと言った感
    ついこの間の事なんですね
    戦後70年なのにずっと遠く出来事ではなかったのですね
    戦争の悲劇
    誰も戦争望んではいないと言いながら巻き込まれて行く事へのふあん

  • 小杉りえが、自分の出生を探す、産みの親と育ての親。同時にりえ自身の子どもの家族に起こる出来事。
    本筋とは余り関連しないが、
    P461
    りえの娘のさとみが夫を亡くしたとき、そばにいてくれなかったから、という理由で亡くなった夫の実家に身を寄せるところ、自分の人生と重なり、とてもよく想いが伝わってきた。

    ドミトリーとソフィア夫妻のもとに女中として、15歳のさわは、住み込みを始める。その主人と恋に落ち男の子を産み、さらに妻にばれ、子どもとドミトリーは姿を消す。彼を追い求め大連にたどり着く。そこで客として知り合った秋山嘉直に身請けされて、さわは遊女から足を洗う。
    でもドミトリーを忘れられないさわは、秋山を裏切り、ドミトリーと再び日本へ戻る、その途中に宿った子どもがりえであり、出産と同時に亡くなった、さわの母代わりになっておりょうが、育てる。

    さわも、りえも、どうしてこの道を選んじゃうかな?と感じることが多かった。

    りえがルーツを探り、最後にロシアに渡った辺り、話の最後を決める重要なところなのに、ハイスピードですすんでしまい、少し残念。

    でも、これだけの大作を、先が読みたくてたまらない気持ちにさせてくれた谷村志穂さん、凄いです。いい本でした。

  • 自分の両親と全然違う容姿を持ち、違和感を感じながら生きていくという心許なさ。何が何でも知りたいという強い気持ちが持てて良かったです。私もりえと一緒にロシアを旅している気持ちになりました。さわの強さがりえにも受け継がれているようです。

  • 前に読んだような…?
    でも、よかった。
    奉公先のロシア人の主人を愛してしまうさわ、娘のりえがその事実と波乱の人生を追いかける物語。

  • 谷村さんてほんと寒い地方が似合うよな~
    報われない人生大集合って感じです。

  • ロシア人と恋愛と聞いて、「海猫」に出てくるタミが主人公かと思ったら

    違いましたね。

    感想といえば、宮本輝を彷彿とさせる謎解き展開っていったところでしょうか。

    正ハリツトス教会、函館、大門

    海猫でも登場したこの光景も含めて、旅順、大連、ロシアと

    舞台が変わります。

  • 谷村志穂さんの本を読み終わった後は、心がモヤモヤしてしまう事の方が多いのですが
    (それでも何故か読んでしまうー!)
    今回読んだ黒髪は心が静かになる様な、そんな本でした。

    きっと北海道とロシアに限った事ではなく
    戦中、戦後はこう言う事実が実際に起こっていたんだろうな。

    今現在では、どの国の方を好きになっても何も咎められはしないですが
    誰かを好きになる事にも制限があった過去が日本にもあったのですね。

  •  運命的な出会い、そう思える時がある。
     人との出会いではない。ひょんな切っ掛けから手に取った見知らぬ作家の未知の作品から、身が振るえる程の衝撃を受けることがある。それこそが読書の醍醐味だ、ともいえる。
     だがこの『黒髪』と私の出会いは、「運命的」でも出会い頭の衝突でもなかった。あらかじめ相手の人となりを信頼する人から聞かされ、親の素性も親が語るその人の誕生の様子も聞かされた。その上で会ったのだから、いわば「お見合い」であろう。
     
     三月程まえ、ご自身も作家である西木正明氏が、「作家が生涯に一度、作家としての矜持を賭して書かねばならぬ、と思うことがある。この『黒髪』はそんな物語だ」と評していた。これ以上の絶賛はないのではなかろうか。
     程無くして、著者の谷村さんが同じ番組に特集ゲストとして出演し、「渾身のラブロマンス」を書くに至ったワケを語っておられた。物語の舞台となった函館は彼女の母の生まれ故郷であること。同時に、数多くの「白系」とよばれた亡命ロシア人の悲劇の舞台となったこと。またそのことが殆んど世に知られていないこと。そして舞台を彩った歴史的建造物の多くが今まさに失われようとしていること。「禁断の愛」だの「渾身のラブロマンス」だのという安手のコメントではなく、あくまで淡々と語っておられたのが印象的であった。取材のプロセスで訪れた建物が、ちょうどその時取り壊しの寸前だという瞬間に何度も立ち会った、とも語られていた。

     主人公は現代を生きる60代の主婦。一枚の写真を切っ掛けに封印された出生の秘密を追う旅が始まる。戦前の函館と満州とで、あまりにも苛烈な愛を貫いたもう一人の主人公については、ここで詳しく語ることは憚られよう。
     珍しく読了に半月も要した。500ページ超の大冊である。4月から満員電車で通勤する身の上になったが、その間、鞄はふくれたまんまだった。時間を要したのは読み難さの故ではない。著者の「書かねばならぬ」との思いが、満ち潮のように、ひたひたと静かにうねりながらせり上がってくる。それが読んでいる私にあくまでゆっくりと迫ってきて、読み急ぐことを許さなかった。
     主人公が真実に迫ってゆく道のりは、著者が取材で辿ったプロセスに重なりあっている。自らの大きな胸に、育ての親とは異なる「血」を感じる主婦も、少女の身ながら、抱いた幼子が「身を反らせてぐずっていたはずが力尽きて寝息を立て始めるようなとき、ふとこれが女の幸せというものだろうかと、大人びた気持ちになった」という、もう一人の主人公も、いずれも著者自らの感覚に重なり合う著者自身の身体表現に他なるまい。
     
     歴史の大きな渦は、今を平凡に生きる私たちと決して無縁ではなく、私たちの体内に「血」として流れ、目に見えぬ遺伝子として隅ずみにまで潜んでいる、勿論潜在意識の奥底にも。愛したのが白人であり、彼らが歴史の中でいたぶられ尽くす白系ロシア人であったことも、自らの胸が大きく巻き毛であることも、皮膚が白すぎることも全てが、その目に見えぬ私たちの真実を、目に見える物語として語ってくれているのだ。
     
     久しぶりにしみじみと「良い物語」との出会いを楽しむことができた。信頼できる紹介者と生みの親たる著者自身の「仲人口」に感謝せねばならない。

     お見合いってえのもなかなかいいもんだ。

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著者プロフィール

1962年、北海道生まれ。北海道大学農学部卒業。90年『結婚しないかもしれない症候群』がベストセラーに。2003年『海猫』で島清恋愛文学賞受賞。著書に『余命』『黒髪』『尋ね人』『大沼ワルツ』等多数。

「2017年 『チャイとミーミー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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