天山の巫女ソニン(3) 朱烏の星

  • 講談社 (2008年2月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (246ページ) / ISBN・EAN: 9784062144858

作品紹介・あらすじ

「講談社児童文学新人賞」「日本児童文学者協会新人賞」受賞の長編ファンタジー、いよいよ佳境へ!

天が作ったものに、人は手を加えてはならない。 

「あの星は、<朱烏>と呼ばれていた。(中略)この国の伝説で、暁から生まれた三本足の朱い烏のことだ。そして別名<王の星>。我々、王族の星だったのだ。北の空の中心に位置する<北天星>が、天の帝を表す星であり、そのすぐそばに仕える地の王の星というわけだ」――<本文より>

みんなの感想まとめ

成長と自己肯定の物語が描かれる本作では、主人公ソニンが国境を越え、巨山の王女イェラと出会うことで新たな視点を得ていきます。彼女は、親友ミンやイウォル王子の成長を見つめる中で、自身の将来に対する不安を抱...

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ3作目は巨山でのお話。

    これで三国全ての内情が出そろったわけですが。
    それぞれの国でそれぞれの価値観、国王の人柄があって国を運営している。
    イウォル王子やソニンと出会った全ての人、国が都合のいいように変わるはずもなくてそういう現実的なところもまたおもしろいです♪
    今回はイェラ王女という、これまた魅力的な人物と出会うソニン。
    今後の三国関係、イェラ王女の成長もまた楽しみのひとつとなりました^^

  • 2巻に続いて、隣国へ。
    王子の声が聞こえる、というのはどういうからくりなのだろう??本当に王妃様の力??

    王子のソニンへの依存度も減ったし、ソニンの夢見も1巻ほどの勢いはなくなったけれど、
    だからこそ地に足のついた人生の中で、どう生きるかという難しさを感じる。
    統治するのって、良い暮らしをしていくって、本当に難しい。ラスト、森の民への父王、さらりと書かれていたけれど、そうなるよなぁ。。
    2巻の王子ほど3巻の王女は急接近できなかったので、今後どうなるのか気になる。ラスト、しんどい立場と決意にて、心許す人が彼女と出会えるよう願う。

    そして相変わらずミンは賢い。。

    『ようするに物や人を実物以上に価値があるように見せることによって、高く売れたり、感心されたり、羨望されたりすることがあるのです。』
    →大河ドラマのべらぼうめ、だとそれをひたすら考えているわけで、必要な事でもある。。

    『自分の事を賢いとか優しいと思っている者にとって、深く広く本物や真実を求めるものが恐ろしいのです。自分がニセモノだということを見抜かれてしまいますからね』

    「戦が起きないかって思ってるのは、すごくいい暮らしをしてる人たちか、すごく下のほうにいる人たちだね。戦って何でもありになるからさ。上の奴らは自分たちだけ助かるやり方を知っているし、どん底にいる奴らは、今よりひどくなることはないって思ってる。」

    「自分が見たものは何なのか、なぜそんな状態にあるのか、それは何のきざしなのか結果なのか考えなさい。…そのために知識を身につけなさい。知識がなければ見逃してしまうわ」

    「(地図の上で線が引いてあると、もうその向こうでは、何もかもまったく違う人々が暮らしているような気がしてしまうけれど…)」

    「人はちょっとした寂しさや悲しさや、小さな喜びをわかちあえる人がいるだけで、生きていくことが楽になるのに」

    「わたしが怖いのは、王子のような立場の方が、自分の感情に流されてしまう事です。単純な好き嫌いに大きな判断を誤ってしまうことです。そのことにどれだけ下の者が苦しむことになるか、考えるだけでも恐ろしいことです。」
    これを中学生の年の子が高校生の年の子に伝えているわけで。。
    ある意味巫女の暮らしは帝王学のようだけれども、同じ巫女でもレンファの例もあるし
    4巻でクワン王子がソニンがイウォル王子に仕えていることが奇跡だといったけれど本当にそうだなぁ。。

    「何事も経験を積まなければ、正しい使い方は身につかない。…人とぶつかって恥をかいて、後悔して反省して身につくことがたくさんある。…心は常に生き物のように変化する。わたしたちはそれに振り回され、身を滅ぼしそうになることもあるが、必ず飼いならすことができる。」

    「(商売の才能もないくせに大きな店を継いだ二代目とかについて) 恵まれていると思うよ。だって、家が裕福なら読み書きやそろばんだって習えるし、いろいろな人が出入りしてるでしょう。人に相談したり、話を聞いたりして、いい方法を考えられたはずだよ。…」
    「そうだね。それを考えられない人は逃げてるんだよね。自分がダメだってことを認めたくないから、目をそらして考えないようにしてるんだ。」
    「うん。才能が無くなって、見ることと考えることはできるのにね。…」
    この二人が出会って友人になってよかったなぁ。。
    ソニンのこれからの人生の決意シーンにて、自分的にはハイライト。

  • セオ、ここで!?
    イェラ姫が凛々しい、さらなる成長に期待。

  • 江南から帰国して半年が過ぎ、新しい年を迎える準備に大忙しの沙維の国。
    新年を迎えれば、ソニンは数えで14歳となる。天山を下山して1年が経つ。このへんの時間の流れを把握するのが、わたしはどうも苦手だ。

    さて、もう一つの隣国、巨山は、先の戦争から国交が途絶えたままでしたが、イウォル王子とともにソニンも彼の国へ赴くことになりました。
    江南への留学とは違い、国交回復の足がかりともなる外交の一歩となります。

    さて、国交が途絶えたと言っても、イウォル王子たちを出迎えた巨山の民人たちは皆穏やかな様子でした。
    それは現代社会を投影しているようです。
    ソニンたちと同世代の巨山の王女イェラと出会い、お互いがそれぞれ他者を見ることで己を知るという成長をしていきます。

    ソニンの成長は、巫女見習いとして過ごした12年間を否定するのでなく、そのことがあるから今があるという自分への肯定の物語。
    結果として失敗に終わったとしてもそれまでの努力は無駄ではないんだよ、とソニンは教えてくれます。

  • 第三巻。天山から帰らされた巫女のソニンは、王宮の末王子であるイウォル王子に請われて侍女となって暮らしていた。巨山と沙維の間の地域に暮らしている山間民の「森の民」が巨山の役人に捕まってしまった。沙維王が何度も民の解放を望む書簡を出しても返事がなかった。「森の民」が巨山をスパイしているのではないかと疑っているのだ。ようやく返ってきた書簡には、沙維王か王子が迎えにきたら解放しようとあった。そして、イウォル王子が巨山に出かけることとなった。もちろんソニンも一緒に。巨山ではどんな出来事が待っているのだろうか。

  • 4:3作目。大きな戦を仕掛け、しかもそれに敗れたというのに民から絶大な支持を得る王の国、巨山へ向かうソニンとイウォル。前回のクワン王子もだけど、一連の出来事の後に登場人物みんながソニンとイウォルと仲良しこよしになるわけではない、というシビアさがすごく好きで、今回は特にこの一面が強調されていたように思います。今後の展開が楽しみ!

  • 表紙の絵が好きで読み始めた本ですが、どんどんはまっていきます。ソニンも好きですが、ミンも素敵な子です。自分の立場を理解して、そこからよくなろうと努力していく姿がいい。手を差し伸べてくれる人はいるけど、それに甘んじるのではなく、自分の力で進むところが好きです。イウォル王子もずいぶん成長していい青年になってきた。

  • 今回は隣国・巨山を舞台に繰り広げられる権謀術数に巻き込まれるソニンとイウォル王子。
    ソニンも少しずつ人間らしくなってきて、王子もまた名君になるべく成長を遂げている…。
    そしてどこまでもレンヒさんの幻影が現れるのな…。

  • 2017/12/6

  • イウォル王子がどんどん器が広く、頼もしくなってきた。そんな姿を見て置いていかれたようで焦るソニン。いろいろな経験をして学び、自分を見失わない、そう生きることが大事だと伝えてくれる。狼殺しの王は国民から慕われているけど、綻びはあり、娘を使って評価を高めるなど策略家で、でもそれも政策で、なにをもって国を統べるのか難しい。

  • 2016.12.26
    森の民のササイの飾りが役立つ。
    為政者の弱者を切り捨てるやり方はこすい。
    ぷすぷすとくすぶる不満をひた隠す。
    それもそう、本当に虐げられた人は戻ってこられない。悪口言う口がない。
    それに気づいても、自分ができることはほとんどなく…その中でささやかに助けとなる。
    イウォル王子がだんだんステキに頼もしくなってきた。

  • 落ちこぼれの元天山の巫女ソニンが、イウォル王子とともに巨山(こざん)へ「森の民」を救いに行く。
    そこで、王女イェラと出会う。

    各国の関係が微妙で~面白い。

  • 20160429

  • イウォル王子と共に“巨山”へと向かうソニン。国境付近で捕らえられた“森の民”を救うためだった。一方、自分の将来を考え始めている親友ミンや、兄王の傍らで着実に仕事をこなすイウォル王子を見ているとソニンは自分が取り残されていくように思えてしまう。やがてソニンはこの北の国で孤独で賢明な王女イェラに出会う…。

  • ソニン&イウォル王子、巨山の国へ行くの巻。巨山では、王女イェラと出会うソニンたち。イェラも、ソニンに何か惹かれるものを感じたようですが、やり手の巨山王を見てると、これからの三国の関係に、ちょっと緊張を感じます。ソニンたち若い世代が、流れを変えてくれるはずと期待してますが・・・。ラストでは、ソニンが自分の過去を受け入れるところや、「才能なんかなくたっていいんだ」って言葉に、大切なことを改めて気づかされました。

  • 今回の舞台は巨山。
    イェラというまたまた魅力的な人物が登場しました。三国それぞれに様々な背景があり、思惑もありこれからどうなるのか気になる回でした。
    ソニンの、どんな人にも平等な目線を向ける様がとても好きです。
    そして自分の考えをしっかり持ち、王子にも道を誤るなと諭せる強い心がある。
    これからもっと色んな面で成長していって、きっと三国にとって、重要な人物になっていくのではと期待が膨らみます。

  • 今度は巨山編。これで三国がすべて出揃いましたね。ここのイェラ王女はやがて大きなライバルとして立ちふさがる予感がします。イウォル王子が成長して素敵になりました。「必要とするのはおまえだ」発言は告白に聞こえるのですが、そういう意味じゃないですか。そうですか。児童書のせいでラブが足りない!!でも、そこが好き。クワン王子の出番がないと思ってたら、最後にセオと不穏な腹黒い会話してますね。この物語は為政者の覚悟や決意というか、それぞれの国で違った王のあり方があって、それを侍女のソニンの立場から見て行くのが面白いです。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    イウォル王子と共に“巨山”へと向かうソニン。国境付近で捕らえられた“森の民”を救うためだった。一方、自分の将来を考え始めている親友ミンや、兄王の傍らで着実に仕事をこなすイウォル王子を見ているとソニンは自分が取り残されていくように思えてしまう。やがてソニンはこの北の国で孤独で賢明な王女イェラに出会う…。「講談社児童文学新人賞」「日本児童文学者協会新人賞」受賞の長編ファンタジー、いよいよ佳境へ。

  • 昨日の Review では書き忘れたことなのですが、この物語は巨山(コザン)、沙維(サイ)、江南(カンナム)の三国が並び立つ半島を舞台の歴史物風ファンタジーです。  そして第1作では落ちこぼれ巫女のヒロイン、ソニンが天山と呼ばれる修行の地から「才能なし」ということで里に返され、その後王宮の第七王子付きの侍女となり、沙維(サイ)国内の事件に巻き込まれるお話でした。  第2作はその王子の遊学に付き添ったソニンが江南国のゴタゴタに巻き込まれるお話で、この第3作は残る1つの国、巨山国でのゴタゴタに巻き込まれちゃうお話です。

    基本は巻き込まれ系ヒロインのソニンなんですが、その一つ一つの巻き込まれた事件で最善を尽くして乗り切っていく姿に清々しさを感じると共に、ソニンのみならず彼女が仕える第七王子(イウォル)の成長していく姿に齢50を超えた KiKi は微笑ましさみたいなものを感じながら読み進めています。

    この物語が素晴らしいと感じるのは、主に脇役、時に主役に語らせている著者の人間観察の言葉が子供向けとは思えないほど深く鋭いこと、そして為政者の考え方と庶民の考え方の違いをはじめとする人間社会が必然的に抱える矛盾を難しくなり過ぎない言葉でさらりと描いていることです。  ことにこの第三巻では歴史が為政者によっていかに描き変えられるのかとか、ある1つの事件を解決しようとした際に立場が異なれば、異なる解決方法をとろうとするし、そこにあるのは単純な善悪ではないということがしっかりと描かれていると感じました。

    本作で初出の巨山の王女、イェラが実に魅力的です。  彼女が物語の最後で吐くモノローグ

    消えた星、見えない声、いなかったことにされる人々。  そういったものをわたしは忘れない。  でも、それらを見知ったうえで、わたしは行くべき自分の道をゆく。  泣くまい。  決して泣き言は言うまい。  誰のせいにもできない道を、自分から選んだのだから、それが楽なわけはない――。
    が、強く印象に残ります。

    最終章では今後の物語の伏線となりそうな三国それぞれの人々の想いが描かれているのだけれど、ことにこのイェラの独白は第2巻でソニンが

    「私はこれまで自分で選んだことがない。  自分で選べと言われるとどうしたらいいのかわからなくて途方に暮れてしまう」

    という趣旨のことを言っていたのと対照的です。  もっともソニンは巫女の修行中はよく知らないけれど、里に帰されてからはちょっとしたことから大きなことまで自分では「選んだことがない」つもりでも、それとは意識せずに多くのことを選んで行動しているんですけどねぇ・・・・。  それが物欲絡み・私欲絡みじゃないとか、敢えて「私はこっちを選ぶ」と行動する前にいちいち言葉にしたり意識したりしていないというだけで・・・・。

    KiKi にはそれだけソニンがかくとした自分の立ち位置、判断基準を本能的にわかっている証に思えるし、敢えて自分に言い聞かせるように口にしなければいけない人間にはない強さのように見えるのですが・・・・・・。

    さて、図書館からはこの3巻までしか借り出してきていないのでここで「天山の巫女ソニン・シリーズ」はちょっとお休みです。  でも、次に図書館に行ったら残りの本編2巻と外伝2巻を借り出してくるぞ!!

  • ソニンを通じて作者からのメッセージ伝わってきます
    正義をつらぬいていくこと
    大人になっても持っていられるようにってね

    児童書なのに政治とか人権とかモリモリなんだよな
    でも、今回は安心して読めた
    イェラが、がんばってくれたからね
    今後クワン王子とつながっていくのかな

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著者プロフィール

1969年、福島県南相馬市生まれ。2002年、「橋の上の少年」で第36回北日本文学賞受賞。2005年、「ソニンと燕になった王子」で第46回講談社児童文学新人賞を受賞し、改題・加筆した『天山の巫女ソニン1 黄金の燕』でデビュー。同作品で第40回日本児童文学者協会新人賞を受賞した。「天山の巫女ソニン」シリーズ以外の著書に、『チポロ』3部作(講談社)、『羽州ものがたり』(角川書店)、『女王さまがおまちかね』(ポプラ社)、『アトリと五人の王』(中央公論新社)、『星天の兄弟』(東京創元社)がある。ペンネームは、子どものころ好きだった、雪を呼ぶといわれる初冬に飛ぶ虫の名からつけた。


「2023年 『YA!ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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