- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062146906
感想・レビュー・書評
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とても読みやすい。ケースがあるので手を動かしながら思考法を学ぶことができる。
おお!と思ったのは、「簡潔」の対義が「複雑」ではなく「精巧」と訳出されていたこと。確かに複雑だと人間の解釈の余地が入っているので言葉の粒度としてフェアじゃない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
近年、コンサルタントやアナリリストの表現スキルの本が多い。
ほとんどはロジカルシンキング(MECE等の)の本なのだけど、アナリストは収集した情報から「仮説」を立てて、その仮説を「補完」する為にロジカル思考を使う。
「仮説」はロジカルな左脳ではなく、統合とパターン認識の「右脳」で作られる。
仕事でホワイトボードを使ったミーティングをしている場合、発表者が淡々とホワイトボードに書き込むよりも、参加者全員が付箋に意見やデータを書き、貼りつけてグルーピングして眺めていると、おもわぬ意見が出てくる事があるが、その時は「ロジカルな左脳」ではなく「右脳」を使っている。
つまり、「仮説」のような「ビック・ピクチャ」を描く為には、ロジカルでない発想が必要であり、その方法として本書では
「ビジュアル・シンキング」
を解説している。
ソフトウェアで「絵」を描く方法ではなく、紙ナプキンでスケッチする内容だ。(本書の図も全て手書き)
デルタ航空の有名な「三角の空路図」の着想や、Twitterのコンセプトアイディアも紙ナプキン上のスケッチで生まれた。
(面白いのは、これらが「下書き」ではなく、その一枚で全てのコンセプトを言い表していた事)
タイトルと表紙の印象から、「図を使ったプレゼンのハウツー」のように見えるが、本書で扱っている内容は、かなりハードコアな分析と表現の方法だ。
?見る (ほぼ自動で行われる原始的な視覚作用。)
・方位
・位置
・識別
・方向
?観る (フィルタをかけて認知する)
・誰(なに)を
・いつ
・どれだけの量
・どのように
・どこ
・なぜ
?想像する (見た結果に色彩を付与する)(OOP的に言うと、クラスからインスタンスを生成する)
・簡潔(Simple) vs 精巧
・質(Quality) vs 量
・構想(Vision) vs 実現
・個性(Indivisual attributes) vs 比較
・変化(Delta) vs 現状
※上記頭文字からSQVID
※上記要素は二択ではなく、イコライザーのようにそれぞれのレベルで調整される。
※その調整が「想像」
?伝える
?を図示するフレームワーク
・誰(なに)を -> ポートレート
・いつ ->時系列表
・どれだけの量 ->棒グラフ
・どのように ->フローチャート
・どこ ->プロット
伝えるべき相手によって、それぞれの表の?を調整する。
※本書では3次元表に上手にプロットされている。
ビジネスと視覚の話でよく挙げられる長所は
・簡潔
・100万の言葉より1枚の絵
とされる。
本書は絵で表現されるビジネス情報の価値を、以下のように定義している。
「そこで見せる絵はじゅうぶんな洞察をもたらし、興味深い会話を引き出し、重要な意思決定をサポートするものである必要がある。」
「つまり、じゅうぶんな情報を提供するだけでは足りないという事だ。」
「ビジネスの世界で多くの場合重要視されるのはピザだ。手早く栄養がとれて後片付けが必要ない。」
「だが、経営レベルの重要な意思決定で必要なのは、栄養が取れるだけのピザではなく、ちゃんとしたカトラリーを伴うコース料理である。」
※一部まとめている。
これは素晴らしい洞察だと思う。
資料を作成する時、どうしても「一瞬での説得」を目指してしまうからだ。
そして、図が必ず簡潔である必要はないという事。
多次元プロットの場合、3次元以上の座標がある図を一瞬で理解するのは難しい。
だけど、場合によってはその図が必要な場合がある。
ホワイトボードに全ての情報が列挙されていた方が、視覚による情報のトリアージ(取捨選択)がされて議論が進みやすいように。
その図の理解を誘導するのが、プレゼンターの技量なのだ。
プレゼンテーションといえばスティーブ・ジョブズのイメージになり、Apple的なスライドだけが価値があるような流れだけど、「シンプル」とは線や情報が少ないだけではない。
読み進めるのに、かなり集中力を用した本だけど、非常に得たものは大きかった。
マーケティング、開発の現場以外に、営業職にも向いている。 -
ビジュアルが楽しそう。
・黒ペン:すぐ描きはじめる人
・黄色ペン:ポイントをおさえる人
・赤ペン:添削する人
のひと、の分け方が面白かった。
<目次>
第1部 はじめに?絵を使って問題を解決しよう(まったく新しいビジネスのとらえかた
なにが問題なのか、どんな絵を描くのか?「わたしたち」は何者なのか? ほか)
第2部 アイデアを発見する(まずは見ることから
6つの方法で“視る” ほか)
第3部 アイデアを発展させる(“見せる”こととビジュアルシンキングMBA
わたしたちの顧客は?“誰/なに”の問題を解決する絵 ほか)
第4部 アイデアを売り込む(ビジネスについてわたしが知っていることは、すべてショー・アンド・テルで学んだ
結論を描く) -
【芝蘭友のトップストーリーニュース】vol.35で紹介。http://www.shirayu.com/letter/2009/000080.html
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・問題を6つに分解する 1)Who,What 2)How much 3)When 4)Where 5)How 6)Why
・基本となる座標系を決めて、方位と位置を確認する。
・6つのWが、座標系となる。
・そこに「ない」何かを視る最良の方法は、目を閉じて見ること。それが「想像」である。 -
図書館
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売却済み
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良書。但し翻訳と校正が残念。話題が散らかって突っかかり理解が詰まる。故に3点。
見る/視る/想像する/見せるの4つのステップを通し、5W1Hに整理する手法が具体的な絵や流れで説明されている(本文ではSQVIDと呼ぶ)。所々秀逸なメソッドがあるだけに読み辛さが余計に気にかかる。文章を気にせずに絵を真似しながら進めるとなかなか楽しい。
漫画=悪の構図があるが、感情表現や構成など学ぶには漫画ほどよい教材はないだろう。今後グローバル社会で左脳面で英語、右脳面で図解がますます重要になるであろうから、義務教育の授業に美術と漫画の選択式にしてもよいのではないかと思う。