時間とは何か

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  • Amazon.co.jp ・本 (127ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062147828

作品紹介・あらすじ

時間についてあらためて考えてみませんか 時間といってもさまざまな時間の流れと感じ方があります。人によっても年齢によっても動物によっても物質によっても異なります。時間について思いをめぐらしては

感想・レビュー・書評

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  • ヨシタケシンスケさんの挿絵に惹かれて手にとりました。まずは、時間の決め方の歴史や自然のリズムについてあれこれと。なんと百年の時間が測れる砂時計があるとか。人間のサーカディアンリズム(一日の周期)は25時間等など。そして、動物の固有時間。寿命は体重の四分の一乗に比例するのだそう。私たちの時計で測る時間では、ハツカネズミは3年、ゾウは100年。しかし、動物はそれぞれのサイズに応じて動く速さが違う時計を持っていて、どの動物も同じ回数だけ脈を打ち呼吸をして一生を終える。 固有時間で考えれば皆同じ時間を生きている。この動物の固有時間は、子どもの頃に、もしかしたら?と思っていて、大人になってそのとおりと知って嬉しかったもの。続いて、時間の相対性について。時間は絶対的なものではなく運動状態によって変わる相対的なもの。速く運動すると時間はゆっくり進む。さいごに、私たちが経験する心理時間。楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうあれ。著者によると、流れる時間のなかにどれくらい思いが詰まっているかによって伸び縮みするとのこと。要するにアレコレ考えていると長く感じて、夢中になって空白の時間が多くなると短くなると。子どもと老人の時間の差も同じで、子どもは次々となすべきことがありアレコレ考えるから長く感じて、年をとるとボーッと空白の時間が多くなるから短く感じるとのこと。つまり、年をとってもいろいろなことにチャレンジすれば「今年もあっという間に一年が終わる・・・」とボヤくことにならないと

  • 図書館でヨシタケシンスケさんの本を探したらこちらがヒット。
    挿絵と添えたつぶやきみたいなものがかなりツボ。
    時間に関する歴史や時間の計算の仕方、宇宙の話まで扱った幅広い切り口から心理時間についてまで取り上げている。
    教育系YouTuberヨビノリさんの相対性理論を何度見てもわからなくて凹んだがこちらの本でもぼんやりわかったようなわからないような。詳しいことは別の本で勉強してください、とある。はい、そうします。
    「先生!時間て何ですか?」「ウーン。教えてあげたいが今日は時間がない」
    「時間の正体がわかったのですが、時間がたって忘れちゃいました」挿絵とつぶやきにくすっとしまう。
    年をとると時間の空白が多くなりスカスカになっているから時間を短く感じるらしい。流れる時間にどれだけの思いが詰まっているかの差と言えるとのこと。これからは楽しい時間が進む過ごし方をしようと思う。

    覚書
    時間の定義 時計の発明から安息日 カレンダー 日本の暦など時間の決め方の歴史
    植物と日照時間との関係 体内時計に合わせたサーカディアンリズム 宇宙の時計など自然が刻む時間
    放射性同位元素を利用して時間の経過を計算
    「体は時間の感覚器」
    時間の長短については、心臓の鼓動数、鳥の位置変化、虫の声の抑揚、顔の動き、など前後の際を図っておおよそを推測している
    脳の働き自信が時間を意識するよう鍛えられている
    日常の中で感じ取る時間と歴史的に積み上げられた時間がある
    「平均太陽時」「恒星時」「振り子の等時性」「不定時法」

  • 時間とは何、お勉強すればするほど不思議なもの。
    ・時間という感覚。・物理的時間。・時間の決め方。・自然が刻む時計。・過去の時間(宇宙・地球と生物)・動物が持つ固有時間。・絶対時間と相対時間。・心理時間。

    137億年前の宇宙の年齢とか、46億年の地球の歴史という、長い時間を考えると、地球の成り立ち、生命の起源、などさまざまなことがみえてきます。

    なにか、明日の落語会に遅れないように行くには何時の電車に乗らなくてはとあたふたとしている自分が、なにか小さく見えてきましたな。何をしても、しなくても、時は流れる、自然は流れる。

    時間は絶えず流れていくもので止めることができません。それだけに、私たちは時間を大事にして、生きていくことが大切ですね。

  • 分かりやすいお話と、ヨシタケシンスケさんの絵とが相まってすらすら読める本。
    私にとって池内さんの本は抵抗なく読めてしまう、名前で安心して手に取れる本。


    タイトルの通り「時間とはなにか」というのを、まんべんなく、しかしきちんと解説してくれている。
    結局なんなの?と、ばしっと決めた答えはないのだけど、私たちは様々な「時間」の中で生きているのだというのを感じさせてくれる。

    ほとんどが「物理時間」についての解説で、月の満ち欠けや太陽の動き(地球の動き)から時間を決めるところから、アインシュタインの特殊相対性理論まで。
    「生物のリズム」や、「過去の時間を測る」は個人的に面白かった。
    天文学で「遠くの星(光)をみることは、過去をみることだ」って言っていたのが理解できる。
    「タイムマシン」のところで、特殊相対性理論に触れる。たぶん私が読んできた本の中で、一番わかりやすく解説してくれている。
    最後、過去に戻るタイムマシンのところで
    「光速より早い乗り物があれば可能。しかし光速より早い乗り物は特殊相対性理論ではありえないことになっているので無理。
     だが量子論やブラックホール・ホワイトホールを使って可能とする説もある。
     詳しくは他の本で勉強してください」(私の要約)
    と書いてあって、ちょっと笑ってしまった。
    ちょっと気になったので、他の本も読んでみます……。
    時間が不可逆なのは、自然界の進む方向が決まっているため。というのも、なんだかしっくりくる。因果律がちゃんとあるんだな。

    最後に「心理時間」について。
    怒られているときは時間が長く感じるのに、楽しい時はなんであっという間に感じるの?というのは、心理時間の作用だった。
    時間が長く感じるのは、「想像する」という人間の力が働いているから。
    時間があっという間に感じるのは、空白の時間が多くなるから。
    どちらにしろ、時間にたいしてポジティブに向き合えたらいいなと思った。

  • 「時間とは何か」と問われて、すぐに答える事が出来るだろうか?と、思いながら、この本を図書館で、手に取った。

    はじめに・・・の所で、ヨシタケシンスケ氏の挿絵が、面白い。
    ついページをめくって 読み出すことにした。

    時間は、カタチが、目に見えない。
    勝ってに止める事も動かすことも、出来ない。
    そんな時間を 時計で測るという事が、身近だけど・・・と。
    ここから、本題へと突き進んでいくのだが、第8迄、色々書かれているのだが、字も大きく 空間のあるのだが、活字だけだと、きっと読んで無いだろうと、思いながら、ヨシタケシンスケ氏の絵を見ながら、宇宙の誕生から地球の46億歳、生命の誕生から38憶年のなんとも どれほどの長い時間かも 想像できない話や普遍的な物理時間(時計で測れる時間)など。

    普通は、統計などや有名な物理学者などの写真が掲載されるのに、ヨシタケ氏の挿絵の面白さで、なるほどと、思いながら、時計の決め方の歴史で、太陽系の星や月の満ち欠けなど・・・暦(カレンダー)が、出来るのも・・・。
    そうそう、アメリカに居る親戚から、夏時間というのを知った時に、なんで?と、思った事があったけど、日本ーフランスも1時間早くする夏時間も掲載されていた。

    自然が刻む時計も 30万年毎に磁場の向きが反転する!なんて・・・・
    宇宙の時計の所では、少し、理解するのに複雑すぎる。

    過去の時間を測る 所では、宇宙の温度間迄 掲載されて、少し本格的な話に。

    絶対時間と相対時間。
    アインシュタインの本を少し読んで積読したことがあるが、早く動きと、時間がゆっくり動くと・・・この本と同じような内容が、書かれていた気がする。

    心理時間 のヨシタケ氏の絵が最高である。
    女の子が、「もう18歳です・・・」
    おじいさんが「まだ、90歳でーす!!」

    子供の時間と大人の時間。
    子供はあれもこれもしようと、色んな体験をして1日長く過ごしている。
    年を取ると、時間の空白が多くなり、スカスカになっているから、時間を短く感じるのだと・・・・

    チャレンジすると、やはり老人の時計も早く回るようになり、若さが保たれると。

    時間を大切に使いたいと思う昨今である。

  • 「時間とは何か」については、本書を読んでもわからない。でも、そこに至るまでにいろいろとわかることがあって、その過程が楽しい。
    本書は「時間とは何か」について一言でいいきるような答えは目指さない。その代わり、たくさんある時間を紹介してくれる。目次を眺めてみるとそれがよくわかる。

    第1章 時間の感覚
    第2章 物理時間
    第3章 時間の決め方の歴史
    第4章 自然が刻む時間
    第5章 過去の時間を測る
    第6章 動物が持つ固有時間
    第7章 絶対時間と相対時間
    第8章 心理時間

    さらにあとがきで「自己の存在や感覚と時間の関わり」「直感や連想など、科学と芸術に共通する心の時間」については書けなかった今後の宿題にさせて欲しいと述べている。

    科学的な知識の難易度でいえば、難しいことはまったく出てこない。それに結局「時間とは何か」についても答えを出してくれない。それなのに、読後感は不満ではなく期待に包まれている。これから私が出会い体験するであろう「時間」とはどんな時間なんだろう、というワクワク感。
    難しい話は出てこない。だからといって、手を抜いている感じはしない。
    やさしく書いてある。だけどきちんと手応えがある。
    これはもう著者が圧倒的な知力筆力の持ち主だからなんだろう。ヨシタケシンスケのイラストも、とぼけているのに哲学的で本書の雰囲気にマッチしている。

    子供に「時間ってなあに?」と聞かれた時のために読んでおくのにこれ以上ない本。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/696404

  • イラストがなかなかいい感じで、うんうんうなづける。
    時間の定義も良くまとめてありますので、
    また読みたいです。

  • 子どもの頃からずっと「時間」の不思議を考えている。目に見えず差し出すこともできないのに、誰にも等しく間違いなく流れ、時に追われ、戻され、惑わされ、巻き戻し、忘れることもある、時間。古代ギリシャのアリストテレスが認識した「時間」の概念は、太陽の位置、星の位置、水の流れを通して測られ、漠然と流れていたものが次第に輪郭を表し解明されていく。ニュートン、アインシュタイン、第5章からの宇宙の膨張、動物の固有時間、相対性理論、心理時間への流れに胸が震えるほど惹かれる。解らないことは私にとっては限りないロマン。

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著者プロフィール

1944年姫路市生まれ。名古屋大学・総合研究大学院大学名誉教授。1967年京都大学理学部卒業、1972年京都大学大学院理学研究科博士課程修了、1975年京都大学理学博士。京都大学理学部助手を皮切りに、北海道大学理学部・東京大学東京天文台・大阪大学理学部・名古屋大学理学研究科を経て、総合研究大学院大学教授・理事の後、2014年3月に定年退職。九条の会世話人、世界平和アピール七人委員会委員。著書に、『科学の考え方・学び方』(岩波ジュニア新書、1996年)、『寺田寅彦と現代』(みすず書房、2005年、新装版2020年)、『科学者と戦争』(岩波新書、2016年)、『物理学と神』(講談社学術文庫、2019年)、『江戸の宇宙論』『江戸の好奇心』(いずれも集英社新書、2022年、2023年)、『姫路回想譚』(青土社、2022年)他多数。

「2024年 『新潟から問いかける原発問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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