非常識経営の夜明け 燃える「フロー」型組織が奇跡を生む (人間性経営学シリーズ 2)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062149853

作品紹介・あらすじ

経営学はなぜ役に立たないのか? 合理性を追求する従来の経営学が、企業と社会の行き詰まりを生んでいる。今、社員を徹底的に信頼することで奇跡を生み出す、新しい企業経営の潮流が現れている!

感想・レビュー・書評

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  • 長老型マネジメントのススメ

    経営者の人間力のうち、
    「情」「徳」「ディープグラウンディング(人の世の相対的な評価を離れて、宇宙全体の営みの中で自分のどっしりした存在位置を獲得した状態)」に焦点をあてる。

    問題は、ペーパーテストで大脳新皮質ばかりを鍛えて、大脳辺縁系の働きが極めて弱い人が指導層に多い事。そういう人はやたらに言語能力が高く論理にも強いが、タオが見えず、現実のドロドロした問題にしっかりと対処する事ができない。

    天外塾ではアホな質問を歓迎する。古い脳(辺縁系)から発信する、物事の本質が見えるからだ。
    その物事の本質の事を「プロセス指向心理学」を提唱したアーノルドミンデルは「タオ」と呼んだ。
    タオとは老子の言葉で、宇宙の秩序の本質、あるいは大自然の大きな流れを意味する。
    タオが表に出てくるのは、瞑想に近いようなリラックスしたアホ丸出しの時か、怒りなどの激情にとらわれている時だ。
    一般には、会議は要領よく時間通りに進行させ、短時間に結論に導くのがよし、とされる。ところが、そういう会議はタオに欠けた無味乾燥な新皮質会議になる。

    新皮質は鳥類でその原基があらわれ、ほ乳類で大きく発達した。
    猿から人間に進化する過程ではわずか300万年という短期間に三倍にまで膨張しており、人間の高度な知的活動を支えているが、フロー状態を脳科学的に分析すると、爬虫類時代までに発達した古い脳(大脳辺縁系)の寄与が大きい。
    近代文明人の殆どは理性や論理を司る新皮質ばかり活性化させるのでフローに入れない。
    フローに入るには、チーム間の絶対的信頼感と全員の意識の進化と成長が重視される。

    経営学をお勉強して、新皮質を活性化させ、古い脳を抑圧した状態で実務に取り組むと確実に失敗に繋がる。なぜなら成功者達には必ずタオがあるが、成功だけを観た学者が論理化したものを模倣するフォロワーにはタオの痕跡しか残ってないから。経営学のフォロワーは必ず失敗する。


    ビジネスは必ず波があり、呼吸している。

    「プロセス指向心理学」はユング心理学と老子の思想を統合したもの。



    合理主義経営学の要点
    (外的特徴)
    1、上位下達が中心で、職制の権利と義務がはっきりしたピラミッド型組織
    2、経営の戦略や大方針は少人数の幹部で決定し、組織を通じて徹底
    3、就業規則、職務記述書などのルールをできるだけ具体的に詳細に制定し、組織や個人の行動、業務内容、分担や責任範囲を細かく規定。
    4、経営内容を正確に迅速に数値把握し、それを詳細に分析する。
    5、情報は組織の階層に応じて開示する内容を制限。
    (内的特徴)
    1、人間も組織も合理的な存在という前提。
    2、法と秩序と組織を重視。
    3、従業員の行動を厳しく監視し、パフォーマンスを評価。
    4、指揮統制を徹底。
    5、大脳新皮質の働きを重視。
    6、不安と恐怖、外発的動機づけによるコントロール。

    以上が現代のムカデ競走の呪縛。

    人間性経営学の要点
    (外的特徴)
    1、組織がない。もしくは実際の運用上、組織の壁や上下関係がきわめて希薄になるように工夫されている。
    2、殆どの意思決定は現場に任されている。また企業全体の方向性の決定にも多くの従業員が関与する仕組みがある。
    3、なるべくルールを少なくし、各自の常識に委ねるような運営をする。
    4、過度な数値的分析を避ける。経営内容を直感的に把握するように訓練。
    5、情報は全ての従業員に公開。

    (内的特徴)
    1、従業員を徹底的に信頼。
    2、人間の本質、深層心理に十分に配慮。
    3、参加意識に支えられた「やる気」を重視。
    4、組織が自律的に躍動的に活動するように、指示、命令が少ない。
    5、論理よりも古い脳が活性化した状態や、直感を重視。
    6、美しさ、高揚感、フロー、内発的動機づけを重視。




    「心の底から部下の成長を願う」というのはそれほど生易しい話ではない。
    自我の肥大を脱却して、自己顕示欲が薄くなり、あるレベルまで人間的な成長をとげていないとできるものではない。

    企業を上手に経営するために自分を磨くというのは本末転倒であり、経営の場が自分磨きの絶好のチャンスを与えてくれている。

    上司の言葉を全て鵜呑みにしないで自分で判断する事。
    人はやり過ごしをする事によってのみ、まともなマネジメントに成長できる。


    ヒューマンフォーラムの経営学
    http://www.humanforum.co.jp/philosophy/index.html
    (社長の出路さんは、会社が大きくなった時、様々な科学的経営手法を取り入れたが、ことごとく失敗し、倒産寸前まで追い込まれて今のスタイルを確立した)

    1、企業経営でもっとも大切な事は、まず自分が楽しい事。
    次に仲間やお客さんが楽しい事。人を喜ばせる事は本質的に楽しい事だ。

    2、意味のない自己満足や優越感、上辺だけのかっこつけ、虚栄心、業界の評判などのみせかけの表面的な楽しさと心の底からの本当の楽しさを混同しないこと。

    3、「ちょっとアホ!」に徹して、遊び心、いたずら魂を発揮する事。

    4、「正しいか正しくないか」「良いか悪いか」「するべきかするべきじゃないか」などの常識的な判断基準は「ちょっとアホ!」の天敵

    5、自ら懸命に努力し、反省し、根性を持って頑張り、他にもそれを強要する生き方は最悪。いい結果は生まれない。

    6、和気あいあいとダラダラ仕事をやったのでは、本物の楽しさは得られない。知恵を出し切り、工夫をしまくり、どんなアホな事でも徹底的に没頭してやり切ることにより、
    心の底から楽しさが湧いてくる。

    7、自分に対しても上司や部下に対しても、お客さんに対しても「正直」であること。「カッコつけない」「見栄を張らない」「ありのままの自分を好きになり、さらけ出す」
    「正直に怖いもの無し」

    8、社員に理念を徹底しなければならない。わかりやすく簡単な言葉で、いろいろな方法で、いろいろな場で、何度でも繰り返して。

    9、会社の本当の成長は規模が大きくなる事ではない。仲間がより楽しく、お客さんがより楽しく、会社に関係する人々がより楽しくなるような会社にする事だ。それは最大の楽しみだ。

    10、会社にとってもっとも大切な事は、社員一人一人の人間的成長。

    11、社員の採用基準は、先ず「いい奴」かどうか、次に「やったるで」と思っているかどうか、最後に能力だ。

    12、「現状分析して、問題点を見つけ出し、反省し、解決へ向かう」という従来の仕事の進め方は、アラ捜しをして文句をつける拷問を誘う。「楽しくないから反省は一切禁止」「予算管理や目標進捗状況の把握はゲーム感覚で」

    13、精密な計数管理をし、詳しく分析して現状把握したところで、やたらに忙しくなるばかりで、売上が増えるわけではない。むしろ経理処理は徹底的に手を抜いて、昔ながらの「どんぶり勘定」に戻せば、社員は暇になり楽しい事を企画するようになる。その方がはるかに売上が上がる。

    14、倒産の危機や病気は「気づき」へつながる有り難い出来事だ。

    15、学ぶという作業は、知り、納得し、行動し、他に影響を与えてようやく完結する。


    真空技術を使った液晶パネルの製造装置で世界シェア90%のアルバック(年商2,400億)の会議ルールは、「怒ってはいけない」「根に持たない」「自分の事は棚に上げてよい」「立場は全員平等」




    ブラジルセムコ社
    40%を超えるハイパーインフレや大不況の中、1982年当時売上USD4M、社員90名から、2003年には売上USD215M、社員3,000名の大躍進を遂げた元、船舶関連機器メーカーのコングロマリット。疲弊しきって合理主義経営を止め、人間性経営を導入した。

    経営の4要素
    1、直感
    2、幸運
    3、失敗体験
    4、セレンディピティ

    セムラー(二代目社長)経営学の要点
    1、従業員は皆大人であり、適切な判断力を持っているという徹底的な信頼感に基づく経営。
    2、セムコ社の基本政策は「政策のないこと」。
    3、ビジネス上のもっとも大切なコンセプトは上記4要素。
    4、会社の真の推進力は、従業員の仕事に関する純粋な興味と関心であり、とりわけ「やる気」。
    5、従業員は自分が全体の大切な一部である事を心から感じ、それぞれ自分がベストと思うやり方で
    仕事を遂行する事が望ましい。
    6、就業規則、出張規程、業務標準、職務記述書、キャリアプラン、企業理念を廃止した。
    自らの常識で判断するように指導。
    7、指揮統制は一切しない。レポートや経費を承認する人はいない。作業員を監視監督する人はいない。
    8、ボスの許可を求めずにまず実行することを勧める。「許可を願うより後で許しを請え」
    9、ビジネス戦略、仕事のやり方、責任範囲は自分で決める。
    10、従業員が会社の間違いを恐れずに指摘するように勇気づける。会社は謙虚に学ぶ。
    11、日々の意思決定の殆どは一般階級レベルで自主的に行われる。大きな経営判断は、従業員が参加する工場委員会で投票により決定される。
    12、ボスは「自分では意思決定しない」という真の参加型経営を忠実に実行。
    13、ボスは半期毎に部下が評価する。結果は公表する。
    14、地位による権威を誇示したり、情報を握りしめる事により権力を維持しようとするボスは排除されなければならない。そう言うボスは地位にふさわしい人間力を身につけておらず、深層意識の不安から「自分は部下より偉いのだ」と他人に認めさせようとする。
    15、ビジネスの責任者は、毎月会計が締まる前にその月の売上、利益などを山勘で予想する事が求められる。それは実績と比較され公表される。つまり、データで管理するより直感を磨くことが要求される。
    16、従業員は会社の目標達成に邁進する前に、自分のやりがいと満足感を追求する事を求められる。
    17、会社の最優先課題は従業員の生活の質の向上。製品の質、生産性、利益などの向上はそれにともなって自然についてくる。
    18、殆どの人が2~5年で自主的に配置転換をする。それにより惰性に流される事を防ぎ、
    複数の専門性を身につけ、会社全般の仕事の流れを把握する。セクショナリズムを防ぎ、自主的に仕事の穴を埋めることを可能にする。また、部門の主のような人が発生するのを防ぐ。
    19、新人社員は「宇宙遊泳」と称して、様々な職場を1年間渡り歩く。
    1年後にそれらの職場からのオファーの中から、本人が所属を決定する。
    どこからもオファーがなければ退職する。
    20、会社を休んで自己充電するための様々な仕組みが存在する。例えばコーディネーター以上は、1,2年に1回、急性肝炎と称する数ヶ月の休暇を取る事が奨励されている。
    21、会社は従業員のプライベートな生活には干渉しない。
    住宅、自動車などのローンサービスはしない。会社に運動場、プール、ジムなども設けない。
    22、事件が起きたら個人を裁くより再発防止を優先する。
    23、重要ポストの社外からの採用、あるいは社内からの登用は、部下になるべき人達が複数回面接を実施。
    その面接に従業員が誰も姿を現さなかったらそのポストは廃止。
    24、現場のリーダーは会社側が指名するのではなく、従業員の尊敬を受け、その結果皆に推されることが唯一の条件。
    25、理念、ミッションステートメント、企業目標、ビジネスプラン、企業戦略、短期戦略、中長期計画は全て廃止。
    26、組織図はない。
    27、職階は4階層。カウンセラー(トップマネジメント)6名、パートナー(事業責任者)7~10名、コーディネーター(現場責任者)、アソシエート(一般社員)
    28、コーディネーター以上の職階は給与を自分で決定する。給与情報は全て公開。
    29、本社はない。場所だけ存在し、大勢の人が出入りするが専任者はいない。
    「本社というのは管理と差別、権力欲の巣窟だ」
    30、全ての経営情報は全員に公開。従業員がバランスシートやキャッシュフローチャートなどの財務諸表の数値を理解できるよう、徹底的に教育。
    31、利益の何パーセントを従業員に還元するかは経営サイドと従業員が協議して決定。
    それをどう配分するかは従業員が話し合いで決める。
    32、役員会は、カウンセラーとパートナーのほかに、二名の従業員が先着順で参加できる。
    彼らも一票の投票権がある。討議される議題は事前に全従業員に公表。
    33、全ての会議にすべての従業員が参加可能。議事録は全て公開。
    34、あらゆる書類は、見出しにつき1頁に限定。(新聞記事のイメージ)
    35、副社長、CIO、COOはいない。
    36、CEOはカウンセラーの1人が6か月交代で就任。その間だけ代表権を持つ。
    37、情報システム部、品質管理部、人事部などを廃止。法律、会計、マーケティングなどの要員を75%削減。秘書は全廃。

    セムラーの経営学の骨子を支える三大要素は、
    深層心理学、カウンターカルチャー、教育学


    イロコイ族は必ず7世代後の事を配慮して物事を決める。(日本だと260年後)

  •  某研究所長の推薦図書、会社の本棚に面出ししているのを借りた。ここ100年の経営学は合理性を追求をしてきたが、これからの経営学は人間学と、筆者は述べている。内容を端的に示すのは心苦しいが敢えて表現すると、効率や論理性を前提とした経営は社員が卑屈になってかえって生産性を下げる、社員を信頼して自由にやらせることで結果的に生産性が上がるというもの。

     昇格してからのここ半年、後輩の成長や組織の強化について色々考えていたが、この作品を読んでいて今自分に欠けていたことが胎の中スーっと入っていく感覚を受けた。どんな小さいな組織でも人の上に立っている方にはオススメ。

  • ぐあ!!!!

    経営学部!
    よめ!

    お前らが勉強しているのは意味ねーぜ

    お願いします・・・・

  • <目次>
    「フロー経営」に学ぶ 岡田武史 1
    「人間性経営学」シリーズによせて 2
    前書き 9
    第1章 ひと筋の光明 19
    第2章 天外塾 29
    第3章 経営学は人間学 41
    第4章 「やり過ごし」宣言 51
    第5章 楽しむことでV字回復ー出路の経営学 61
    第6章 「アホ!」の真髄 71
    第7章 「楽しい!」の真髄 85
    第8章 破綻を誘う経営学 95
    〇「天外塾」実況中継1 105
    第9章 「老子」再発見 113
    第10章 ピラミッド型組織の問題点 127
    第11章 新しい潮流 137
    第12章 ムカデ競争の呪縛を逃れて 151
    第13章 運命、そして情動や身体性への接地 161
    〇「天外塾」実況中継2 173
    第14章 ディープ・グラウンディング 183
    〇「天外塾」実況中継3 192
    第15章 徹底名信頼による活性化ーセムラーの経営学 207
    第16章 甦るカウンターカルチャー 237
    第17章 新潮流のルーツは教育学 249
    むすび 264
    参考文献 267
    付録「人間性経営学」のケース・スタディ 269
    <hr>
    <メモ>
    6 「人間性経営学」のキーワード
    「プロセス指向心理学」アーノルド・ミンデル提唱 ユング心理学と老子の思想の統合
    「長老方マネジメント」集団ワークにおけるファシリテーターの理想像が、アメリカ・インディアンの長老
    「燃える集団」チームが凄まじい勢いで活性化し、あらゆる困難を克服し、ついには運まで見方につてけしまう現象
    10 従来の企業経営は「あなたを信頼していませんよ」というメッセージを従業員に送り続けている。

    第1章
    26 革新的な企業経営を行っている企業
     ・ブラジル・セムコ社
     ・アメリカ・ゴア社
     ・アメリカ・パタゴニア社
    26 経営者が従業員を徹底的に「信頼」すること。無政府状態・ボトムアップ。上からの指揮統制はない。階層型組織運営もない。
      セムコでは、清掃係にも財務諸表の読み方のトレーニングをしている。

    第2章
    31 チームの凄まじい勢いでの活性化。スポーツの世界では「ゾーンに入る」と表現される。
    32 チクセントミハイの「フロー理論」 ガルウェイの「インナーワーク」、深層心理学・トランスパーソナル心理学
    38 古い脳が極端に活性化した状態が「フロー」
    40 「ことばでは記述できない」 禅の説法、天外塾

    第4章
    52 インナーワーク
    テニスプレーにおいて、指示・反省する自分=「セルフ1」が、常にプレーしている自分=「セルフ2」を妨害している。「インナーワーク」というのは、いかにセルフ1の妨害を軽減するかというテクニック(ガルウェイ)。

    第6章
    72 物事の本質のことを、「プロセス指向心理学」という新しい心理学を提唱したアーノルド・ミンデルは「タオ(道)」と呼んだ。タオというのは、いにしえの中国の賢人の老子のことばだが、宇宙の秩序の本質、あるいは、大自然の大きな流れを意味する。
    80 トヨタ
    奥田「半分もわからんなあ。ちょうどいい。俺が全部わかるようならやらんほうがいい。これでいこう」
    豊田章一郎「何でこんなことを会社一の年寄りなんかに説明するんだ。そんなことは年寄りに相談せずに勝手にやれ」

    第7章
    86 精密な経営システム、経営分析という名のアラ探し

    第8章
    102 タオの痕跡
    経営学は、成功体験が出発点なので、タオの痕跡は残っている。しかしながら、それは生々しいタオそのものではない。タオの痕跡を文章で読んで、生々しいタオを肌で感じることができる人は、多くはいない。

    第9章
    123 統制はタオの天敵
    指導者の分類
    最上の指導者は誰にも知られない(誰も知らない)。その次の指導者は人々に親近感があり、ほめたたえられる。その次の者は人々に畏れられる。最下等の指導者は、人々に軽蔑される。『道徳経』第十七章

    第10章
    132 ピラミッド型組織
    ピラミッド型の組織は、人間を自我の肥大へ導く力をもっている。コントロールできる部下の数が増加することに、自らが成長したかのような錯覚をする。これは人間本来の意識の成長・進化の道程からいうと成長に逆行する脇道だ。ピラミッド型組織と人間の意識の成長・進化は、基本的には矛盾しており、相容れないのだ。

    第11章
    147 (『コア・コンピタンス経営』ゲイリー・ハメル著で)グーグルのセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジがともにモンテッソーリ校出身であることを特記している。チクセントミハイが「フロー」の研究に着手する50年も前に、「フロー」という現象を発見し、それを中心にした教育学を提唱した人がいた。その人の名が、マリア・モンテッソーリなのだ。

    第12章
    159-160 人間性経営学要点
    (外的特徴)
     1.組織がない。もしくは希薄。
     2.デジションは現場にまかされている。多くの従業員が企業全体の方向性の決定に関与する。
     3.なるべくルールを少なくする。各自の常識にゆだねる。
     4.過度な数値的分析を避ける。経営の内容を直感的に把握するように訓練。
     5.情報はすべての従業員に公開。
    (内的特徴)
     1.従業員を徹底的に信頼。
     2.人間の本質、深層心理に十分に配慮。
     3.参加意識に支えられた「やる気」を重視。
     4.指示・命令が少ない。
     5.論理よりも直感。
     6.楽しさ、高揚感、フロー、内発的動機を重視。

    第13章
    168 人間力の三つの要素
    「情」と「徳」と「ディープ・グラウンディング」
    172 ディープ・グラウンディング
    情動や身体性を統合し、深いレベルの本質的な自分自身に接地し、自分は本当に何を感じ、何を求めているかが実感できるようになること。

    第14章
    186-188 古い脳を鍛える教育とは
    何かを創造すること。農業・園芸などの宇宙の創造、大工仕事・機械製作などの人工物の創造。演技やスポーツなど、身体性に接地する体験。
    187 近代文明人は、ほぼ全員、情動や身体性を切り離した状態で生きている。
    189 『ここまで来た「あの世」の科学』本人著

    実況中継3
    200 スティーブ・ジョブスーサンフランシスコ禅センターの高弟。

    第15章
    208 深層心理学
    カウンターカルチャー 参加者経営、上司を部下が評価
    ルールと組織図を全廃

    15章から付録まで要メモ

  • 長老型マネジメントややりすごしマネジメントは、うまくいくときはうまくいくがうまくいかないときはうまくいかないと思う。うまくいったときだけを取り出してうまくいきましたというのはなんだかなーという気がしますが。違いますか天外先生。

  • 経営スタイルはいろいろあることがわかる。
    ソニーは今どうなんですか?

  • 非常式だが雇用される側からすると理想
    経営者側がどれだけ手を掛けられるかなのか?

  • ビジネス書だけど心理学の本です。

  • 実際のセミナーのときのやりとりが入ったことで、
    より、『場』を感じ、理解することができた。
    天外さんの本の中では、自分のなかでは
    今のところ、一番、バランスがよく感じた。

  • 人間性経営学、良いと思います!
    (外的特徴)
    1.組織がない。
    2.ほとんどのデシジョンは現場に任されている。
    3.なるべくルールを少なくし、各自の常識にゆだねるような運営をする。
    4.過度な数値的分析をさける。
    5.情報はすべての従業員に公開。☆
    (内的特徴)
    1.従業員を徹底的に信頼。☆
    2.人間の本質、深層心理を十分に配慮。
    3.参加意識に支えられた「やる気」を重視。
    4.組織が自律的躍動的に活動するように、指示・命令が少ない。
    5.論理よりも古い脳が活性化した状態や、直感を重視。
    6.楽しさ、高揚感、フロー、内発的動機づけを重視。

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著者プロフィール

工学博士(東北大学)、名誉博士(エジンバラ大学)。1964年、東京工業大学電子工学科卒業後、42年間ソニーに勤務。上席常務を経て、ソニー・インテリジェンス・ダイナミクス 研究所(株)所長兼社長などを歴任。現在、「ホロトロピック・ネットワーク」を主宰、医療改革や教育改革に携わり、瞑想や断食を指導。また「天外塾」という企業経営者のためのセミナーを開いている。さらに2014年より「社員の幸せ、働きがい、社会貢献を大切にする企業」を発掘し、表彰するための「ホワイト企業大賞」も主宰している。著書に『「ティール時代」の子育ての秘密』『「人類の目覚め」へのガイドブック』『実存的変容』『ザ・メンタルモデル』(由佐美加子・共著)『自然経営』(武井浩三・共著)『幸福学×経営学』(小森谷浩志・前野隆司・共著)『人間性尊重型 大家族主義経営』(西泰宏・共著)『無分別智医療の時代へ』『「自己否定感」』『「融和力」』(いずれも小社刊)など多数。2021年の夏、これからの生き方や在り方、暮らし方をみんなで学ぶオンラインサロン「salon de TENGE」をスタートした。

「2022年 『「正義と悪」という幻想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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