冬の喝采

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 205
感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (630ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062150415

作品紹介・あらすじ

北海道で走り始めた一人の少年は、一般学生として早大に入学し、2年生になる直前、準部員として競走部に入った。それは30年の時を超えた宿命のなせる業だった。早稲田大学競走部員として2年連続箱根駅伝出場!自伝的長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の経済小説を読んだ直後だけに、箱根ランナーだったとは!駅伝小説は数多いがこれ以上のリアリティと作家ならではの文章力を併せ持つ作品は無いだろう。陸上ファン必見です。

  • 瀬古や新宅と同じ世代。箱根駅伝出場。スター選手ではないが血の滲むような努力をした陸上競技者から描いたリアルな自伝的小説。「若い頃に流さなかった汗は、年老いてから涙となって流れる」とも申します・・。(中村清)

  •  北海道出身の筆者を金山雅之としての自叙伝。中村清監督の元、瀬古利彦らとともに箱根駅伝
    を駆け抜けた思い出が綴られている。
     筆者の詳細な練習日誌の内容もベースになっている。
     私の遊び呆けた大学時代とは違う、陸上に打ち込む大学生の生活が見えるようであり、
    弟も連想され、楽しく読めた。

  • 「都の西北、早稲田の杜に」
    早大競争部の監督が箱根駅伝で選手を鼓舞するために伴走車から拡声器を使って歌って鼓舞したことには驚いた。
    (2年ほど前に読んだが途中で放置してたため読み直した。)
    それにしても著者が早大法学部に入学前に、実の父母は別人と判明、30歳のときに実の父は明治大学駅伝主将で、走った区間が同じことがわかるとは。。
    事実は小説より奇なり。

    「四年の箱根駅伝を最後に競技を辞め、銀行に就職し、ロンドン支店転勤の内示をもらったのは三十歳のときだった。赴任前に一度実の親に連絡だけはしてみようと思い、戸籍をたよりに居場所を捜しあて、手紙を書いたら、すぐに返事が来た。Mのマークの入ったシャツを着て箱根駅伝を走っている選手の古い写真が同封されていた。
     実の父親は、明治大学の駅伝主将、田中久夫であった。箱根駅伝には四年連続出場し、三年は三区、四年は八区である。わたしは実父が走ったちょうど三十年後に、その足跡をなぞるように同じ区間を走っていた。四年のときチームは三位で区間順位が六位というのもぴたりと同じである。
     実父母に初めて会ったのは、三十九歳のときだった。実父は、北海道岩見沢市で長年陸上競技の審判員をつとめ、高校一年のわたしが走るのを目の前でみたり、各校OBが集う箱根駅伝六十周年のパーティーでもわたしをみたりしていたが、名乗れなかったという。
     毎年、箱根駅伝をみると、走りながらみた新春の陽光にきらめく相模湾を思い出す。わたしを早稲田に進ませ、阿部馨先生、河野稔先生、落ち目の競走部、中村清監督といういくつもの出会いを用意し、北海道の秩父別という小さな町から、戸塚・平塚間の二一・五キロメートルへと導いたのは、確かに運命だった。」(日経新聞1月15日朝刊)

  • 箱根駅伝選手への道
    筆者の実体験をもとにリアルに描かれるランナーの挫折と栄光
    ランナー小説のオリジン

  • 1

  • 著者と面識はないが、自分と同時代の同窓生で、舞台の下宿も同じ駅とは。ラジオ番組でこの作品を語っていた著者が泣きながら語っていて、読んでみた。いい作品だ。

  • 2018.09.02
    箱根駅伝は大好きで毎年欠かさずに見ているが、こんなに大変な練習をしているとは!中村監督がこのような人だったとは、ちょっと想像とは違った。今更ながら瀬古は凄い選手だったのだと思う。期待を裏切らない綺麗なフォームの走りだった。実に面白い一冊だった。

  • 大変に面白い。一気読み。経済小説作家で元実業家の黒木亮の自伝的スポーツノンフィクションである。
    黒木は、早稲田大学時代、3区と8区を走った箱根駅伝の選手であった。高校時代怪我で休部を余儀なくされつつも、陸上が忘れられず、黙々とトレーニングを重ね、2年生で早稲田の陸走部の門を叩き、箱根駅伝の選手に。同期はあの瀬古である。出生の秘密もあって・・・。
    当時の自分のラン日記や資料を駆使した押さえた筆致の当時の描写には臨場感があり、別の分野での成功者でありながら、「もう一度人生をやり直せるなら陸上を一からやり直したい」との最後の言葉に、陸上が黒木の人生に与えた重みを感じる。
    それにしても、印象に残るのが、奇人として名高かった、早稲田の中村監督。短距離選手も箱根駅伝のために無理矢理長距離選手に変えて片端から潰す。足を凄い勢いで踏みならして選手を怒鳴りつけていたら踏みならした足が骨折。選手は監督が命令したら土も食えといい、自身が土を食べてみせる・・・。実際に接する方がたまらなかっただろうが、とくにかく、生き生きとこの本の中で(主人公よりも)輝いている。

  • 1月-3。3.5点。
    作者の自伝。高校から早稲田競走部、箱根駅伝出場の物語。
    淡々と書かれているが、その分記録のすごみが際立つ。
    瀬古のすごさもよくわかる。

    ランニングしていない人には、かなり厳しい小説の気がする。

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著者プロフィール

黒木 亮:1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。都市銀行、証券会社、総合商社を経て2000年、大型シンジケートローンを巡る攻防を描いた『トップ・レフト』でデビュー。著書に『巨大投資銀行』『エネルギー』『鉄のあけぼの』『法服の王国』『冬の喝采』『貸し込み』『カラ売り屋』など。英国在住。

「2021年 『カラ売り屋vs仮想通貨』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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